アメリカ大学進学ガイダンス

将来のキャリアステップであるアメリカ大学進学について、サンフランシスコ・ベイエリアを拠点に、中・高校生の進学指導や大学生・大学院生のキャリア指導を行う教育コンサルタントが、大学進学の準備から、日本の大学との違い、奨学金制度などについて解説します。
 
コラムニスト:原田 誠
三菱総合研究所のコンサルタントを経て、渡米。進学とキャリアのコンサルタントとして、グローバルな活躍を目指す学生の指導と育成に携わるとともに、教育機関向けのコンサルテーションや講演活動を行っている。 筑波大学第三学群基礎工学類卒業、フロリダ大学ウォリントン経営大学院MBA修了。

原田 誠
原田 誠◎MACS Career & Education代表

ライトハウス電子版アプリ、始めました

レガシー・アドミッション排除の意義

(2024年11月号掲載) 2024年9月30日、カリフォルニア州では、州内の私立大学に対し、卒業生および寄付者を入学審査で考慮することを禁じる法律が成立しました。この法律は25年9月に発効します。 アメリカの多くの難関大学では、レガシー(卒業生)やドナー(高額寄付者)の親族を入学審査で優遇することが、当たり前のように行われてきました。アメリカの大学でレガシ … »アメリカ大学進学ガイダンス「レガシー・アドミッション排除の意義」の続きを読む

カリフォルニア州立大学のドロップアウト救済プログラム

(2024年10月号掲載) 大学入学者の9割以上が卒業できる日本では考えにくいことですが、アメリカでは、大学をドロップアウトした学生が学位を取得できるようにする支援が課題となっています。NSC(National Student Clearinghouse)によると、大学入学から6年以内に卒業する学生は約6割です。今回は、ドロップアウトした学生を救済するために … »アメリカ大学進学ガイダンス「カリフォルニア州立大学のドロップアウト救済プログラム」の続きを読む

コミュニティー・カレッジから4年制大学へトランスファーのリスク

(2024年9月号掲載) 近年の物価上昇に伴い、大学の学費も高騰しています。例えば、2024-25年度のUCLAのCost of Attendance(全額自費で払った場合の1年間の学費)は5年前と比較し、州内学生が4万2059ドルで17.5%増、州外学生は7万6259ドル16.3%増です。 学費を抑えるため、高校卒業後に学費の安い公立の2年制大学、コミュニ … »アメリカ大学進学ガイダンス「コミュニティー・カレッジから4年制大学へトランスファーのリスク」の続きを読む

ソーシャルメディアを活用したアドミッションの新潮流

(2024年8月号掲載) 大学のアドミッション担当者は、入学審査の際に、受験生のソーシャルメディアをチェックするのでしょうか?教育サービス会社のKaplanが2023年に実施した調査によると、アドミッション担当者の28%が、Instagram、TikTok、YouTube、Threadsなどを利用して、志願者のソーシャルメディアの投稿をチェックしたと答えてい … »アメリカ大学進学ガイダンス「ソーシャルメディアを活用したアドミッションの新潮流」の続きを読む

コンピューターサイエンス専攻を目指す大学進学

(2024年7月号掲載) 大学での人気の専攻は、時代と共に変化します。中でも、近年、履修を希望する学生が最も増えている専攻がComputer Science(CS)です。 CS専攻を目指す学生の変化 21世紀初頭、CSは人気の専攻ではありませんでした。ITバブルの崩壊で、2002年のアメリカのIT関連失業者数は56万人に達し、多くのIT関連の業務は他国にアウ … »アメリカ大学進学ガイダンス「コンピューターサイエンス専攻を目指す大学進学」の続きを読む

2024-25年度アドミッションテスト最新情報

(2024年6月号掲載) アプリケーションの増加 アメリカの大学の入学審査でアドミッションテストが出願要件の場合、ACTかSATどちらか片方のスコアを提出します。パンデミックの影響で2020-21年度はACTやSATの受験が難しい学生が急増し、ほとんどの大学でテストスコアの提出を必須条件から外すテスト・オプショナルとなりました。 テスト・オプショナルによって … »アメリカ大学進学ガイダンス「2024-25年度アドミッションテスト最新情報」の続きを読む

メディカルスクールを目指す進学準備

(2024年5月号掲載) アメリカでは、医療の専門家を目指す場合、学部を卒業した後にメディカルスクールに進学します。メディカルスクールは、ロースクールやビジネススクールなどと同じく専門家の育成を目指す大学院レベルのプログラムで、4年で修了するのが一般的です。 学部の専攻は自由 メディカルスクールは学部を卒業してから進学します。学部での専攻は何でも構いません。 … »アメリカ大学進学ガイダンス「メディカルスクールを目指す進学準備」の続きを読む

アドミッションの推薦状概要と対策

(2024年4月号掲載) アメリカの大学の入学審査は書類選考で行われ、その際に高校の先生やカウンセラーからの推薦状の提出が必要となる場合が一般的です。大学のアドミッション担当者は、高校の成績やテストスコアに表れない人物像を知るために、エッセイを課したり面接を行ったりしますが、推薦状も活用されます。 推薦状だけで合否が決まることはあまりありませんが、難関大学の … »アメリカ大学進学ガイダンス「アドミッションの推薦状概要と対策」の続きを読む

コミュニティーカレッジの復活

(2024年3月号掲載) 減り続けた学生数 近年、大学に進学する学生は減少傾向にありましたが、2023年秋は増加に転じました。パンデミック以降、コミュニティーカレッジに進学する学生が大幅に減りましたが、23年秋は2.6%増と、わずかながら上向いています。 パンデミックを機に、難関大学のアプリケーションが急増し、アメリカの大学全体が活気づいていると思われがちで … »アメリカ大学進学ガイダンス「コミュニティーカレッジの復活」の続きを読む

外国人留学生のトレンド2024

(2024年2月号掲載) IIE(国際教育研究所)によると、2022-23年度のアメリカの高等教育機関の留学生は105万7188人で、これは全学生数の5.6%を占めています。 多様性を高める留学生 アメリカの大学にとって、留学生は極めて重要です。どの大学も、アメリカ人学生とは異なるカテゴリーで留学生のアドミッションを行い、優遇します。 留学生は、大学の多様性 … »アメリカ大学進学ガイダンス「外国人留学生のトレンド2024」の続きを読む

2023-24年度の大学アドミッション速報

(2024年1月号掲載) 2023-24年度のアドミッションは、12月までにEarly Admissions(早期出願)がほぼ締め切られ、アドミッションサイクルの終盤を迎えました。アメリカ連邦最高裁判所が、23年6月28日に「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」は合衆国憲法に違反すると判断してから、初めてのアドミッションです。アドミッションで … »アメリカ大学進学ガイダンス「2023-24年度の大学アドミッション速報」の続きを読む

AIを使ったエッセイ作成と大学の入学審査

(2023年12月号掲載) 2022年11月にChatGPTが一般ユーザーに公開されて以来、AI(Artificial Intelligence)は、大学のアドミッション担当者にとって関心事となりました。生成AI( Generative AI)で作ったアプリケーションをどう評価すべきかという課題に加え、アドミッション担当者自身が、AIを活用して業務の効率化を … »アメリカ大学進学ガイダンス「AIを使ったエッセイ作成と大学の入学審査」の続きを読む

Common App 2023-24(2)アプリケーション・エッセイ

(2023年11月号掲載) 近年は複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを採用する大学が増え、中でも、最も多くの大学で採用されているのがCommon App(コモン・アプリケーション)です。 出願書類の中で最も重要なのがエッセイで、Common Appでは、パーソナル・ エッセイとアディショナル・インフォメーションの2種類があります。この二つ … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 2023-24(2)アプリケーション・エッセイ」の続きを読む

Common App 2023-24(1)アファーマティブ・アクションの対応

(2023年10月号掲載) 2023年8月から、Common App(コモン・アプリケーション)が新年度に切り替わりました。24年秋入学を目指す12年生が対象となります。 アメリカの大学では、出願をオンラインで受け付けるのが一般的です。近年は複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを採用する大学が増え、最も多くの大学に採用されているサービスがC … »アメリカ大学進学ガイダンス「Common App 2023-24(1)アファーマティブ・アクションの対応」の続きを読む

混迷を深めるカレッジスポーツ

(2023年9月号掲載) 2023年8月4日、アメリカを代表するカレッジスポーツのカンファレンス(競技連盟)のひとつであるPac-12が、事実上崩壊しました。この日、Oregon、Washington、Arizona、Arizona State、Utahの5校が、Pac-12から他のカンファレンスへ移籍することを発表したのです。すでに移籍を決めたUCLA、U … »アメリカ大学進学ガイダンス「混迷を深めるカレッジスポーツ」の続きを読む

アドミッションテスト最新情報2023-24年版

(2023年8月号掲載) 2023年3月、アイビー・リーグのColumbia Universityが、今後も永続的にテストオプショナルを続けると発表したことに注目が集まりました。アメリカの大学では、入学審査の際にACTまたはSATの成績の提出を求められる場合があり、これらのテストは、アドミッションテストと呼ばれています。アドミッションテストが出願要件の場合、 … »アメリカ大学進学ガイダンス「アドミッションテスト最新情報2023-24年版」の続きを読む

非永住学生の大学進学(2)奨学金の獲得方法

(2023年7月号掲載) 前回、アメリカに非永住ビザで滞在している学生が、アドミッションで優遇されることについてお伝えしました。市民権や永住権を持つ学生と比べて、非永住ビザの学生は合格しやすくなると共に、より多くの奨学金が大学から提示される可能性があります。ただし、非永住学生が奨学金を獲得する方法は、アメリカ人学生と少し異なります。今回は、学費を考慮した非永 … »アメリカ大学進学ガイダンス「非永住学生の大学進学(2)奨学金の獲得方法」の続きを読む

非永住学生の大学進学(1)日本人学生の価値

(2023年6月号掲載) 家族の海外転勤などで一時的にアメリカに滞在している学生の中には、アメリカの大学に進学したいと考える方が少なくありません。しかし、入学審査でアメリカ人と競争できる力があるのか、たとえ合格しても学費が払えるかなど、進学に不安を感じる家庭も多く見受けられます。 非永住学生のアメリカの大学進学は難しく感じるかもしれませんが、ダイバーシティー … »アメリカ大学進学ガイダンス「非永住学生の大学進学(1)日本人学生の価値」の続きを読む

10年生が終わったら始める大学進学準備

(2023年5月号掲載) 「大学進学準備は、いつから始めたら良いですか」とよく聞かれます。一概には言えませんが「一般的には10年生が終わったら」とアドバイスをしています。大学のアドミッションで最も重視されるのが11年生の成績です。高校4年間の成績全てが評価の対象となりますが、現実的に評価される最後の成績は11年生です。また、大学のリストアップと絞り込みを行う … »アメリカ大学進学ガイダンス「10年生が終わったら始める大学進学準備」の続きを読む

大学のランキング離れ

(2023年4月号掲載) 大学ランキングは、順位が少し上がるだけで、アプリケーションが増えたり、優秀な学生が獲りやすくなったり、大学には重要なマーケティングツールです。U.S. News & World Report(以下U.S. News)は、1983年から全米の大学や大学院のランキングを毎年発表しています。高等教育の専門家は、ランキングがエリー … »アメリカ大学進学ガイダンス「大学のランキング離れ」の続きを読む

淘汰される小規模大学

(2023年3月16日号掲載) アメリカ国内で相次ぐ統廃合 2022-23年度のアドミッションでは、大学出願者数が過去最高を更新しました。海外からの出願増など、アメリカの大学は、景気の良い話題に溢れています。ところが、経営難でキャンパスを閉じる大学もあります。 カリフォルニア州オークランドのHoly Names Universityは、23年春学期で大学を閉 … »アメリカ大学進学ガイダンス「淘汰される小規模大学」の続きを読む

Early Decision(ED)のケーススタディー

(2023年2月16日号掲載) 近年のアドミッションの特徴の一つに、早期締切でアプライする学生の増加が挙げられます。パンデミック以降、難関大学への進学がさらに難しくなったこともあり、アドミッションで有利になるEarly Decisionの利用者が増えているのは特筆すべき点です。 Early Decision(ED)の特徴 アメリカの大学の出願には、一般締切( … »アメリカ大学進学ガイダンス「Early Decision(ED)のケーススタディー」の続きを読む

カナダのリベラルアーツ・カレッジ

(2023年1月16日号掲載) アメリカの大学教育で特徴的なのがリベラルアーツ教育です。特定の職業に直結する専門知識や技術の会得のみに注力するのではなく、幅広い教養の修得を重視することで、さまざまな分野で活躍できる人材を育てます。アメリカのリベラルアーツ・カレッジは、最先端のリベラルアーツ教育機関として世界で認知されています。一方、カナダではUniversi … »アメリカ大学進学ガイダンス「カナダのリベラルアーツ・カレッジ」の続きを読む

2022-23年度の大学アドミッション速報

(2022年12月16日号掲載) 2023年に卒業する12年生は、9年生と10年生でオンライン授業を経験するなど、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、11年生以降は、通常の学校生活に戻りました。キャンパスツアーも復活して、パンデミックによる制約のない進学準備ができています。 パンデミックによりオンラインの大学説明会やバーチャルツアーが普及し、また、パンデ … »アメリカ大学進学ガイダンス「2022-23年度の大学アドミッション速報」の続きを読む

アドミッション・インタビューの受け方

(2022年11月16日号掲載) アメリカの大学では入学審査でアドミッション・インタビュー(面接)を行う場合があります。今回は、面接の受け方についてお話します。 オンラインが主流の面接 面接は、大学のアドミッション担当者が行うこともありますが、多くの大学は卒業生に面接官を依頼します。卒業生との面接は、大学職員の視点ではなく卒業生の視点で話が聞ける点で学生にと … »アメリカ大学進学ガイダンス「アドミッション・インタビューの受け方」の続きを読む

エンジニアリングが学べる小規模大学

(LA版2022年10月16日号掲載) 米教育省の調査によると、エンジニアリングは、アメリカの大学生が選ぶ専攻の中でトップ4に入る人気の分野です。しかし、エンジニアリングは州立大学などの大規模な総合大学に多く、少人数クラスで質の高い教育が受けられる小規模大学やリベラルアーツ・カレッジでは、エンジニアリング専攻を有する大学は限られます。ですが、学部でリサーチの … »アメリカ大学進学ガイダンス「エンジニアリングが学べる小規模大学」の続きを読む

CoalitionとCommon Appの違い

(LA版2022年9月16日号掲載) アメリカの大学にアプライ(志願)する際、複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを利用する場合が多く、中でも、最も多くの大学に採用されているサービスがCommon App(www.commonapp.org)です。 しかし、共通アプリケーション・サービスはCommon Appだけではありません。2016-1 … »アメリカ大学進学ガイダンス「CoalitionとCommon Appの違い」の続きを読む

ファイナンシャル・エイドの基礎(2)タレントベースの奨学金

(LA版2022年8月16日号掲載) アメリカの大学の学費は極めて高いですが、ファイナンシャル・エイドを得て、学費を下げて進学するのが一般的です。ファイナンシャル・エイドでは、ニードベースやメリットベースの奨学金を獲得する学生が多いですが、課外活動などにおける特別な能力が評価され、奨学金を獲得する学生もいます。このような奨学金を、タレントベースの奨学金といい … »アメリカ大学進学ガイダンス「ファイナンシャル・エイドの基礎(2)タレントベースの奨学金」の続きを読む

ファイナンシャル・エイドの基礎(1)ニードベースとメリットベース

(LA版2022年7月16日号掲載) アメリカの大学進学を考える上で忘れてはならないのが学費の問題です。物価上昇の影響もあり、学費は高騰しています。大学によっては年間8万ドルに上る学費を楽に払える学生は多くありません。 アメリカでは、経済的な理由で学生から学ぶ機会を奪うべきではないという考え方が根付いています。そのため、さまざまななファイナンシャル・エイド( … »アメリカ大学進学ガイダンス「ファイナンシャル・エイドの基礎(1)ニードベースとメリットベース」の続きを読む

FAFSA リニューアル 最新情報

(LA版2022年6月16日号掲載) アメリカの大学の学費は高額なので、多くの学生はファイナンシャル・エイドを得て進学します。ファイナンシャル・エイドにはさまざまな種類があり、その中で、学費全額を自費で支払うのが困難な学生が不足分(ファイナンシャル・ニード)の一部または全部を負担してもらう制度が、ファイナンシャル・ニードベースの奨学金です。 そして、このファ … »アメリカ大学進学ガイダンス「FAFSA リニューアル 最新情報」の続きを読む