健康志向に押されて、すっかり肩身が狭くなっていたステーキ。ところがここ最近、赤身の肉は栄養たっぷり、美容にも良し…と復権の兆し。しかも日本では、アメリカ発の熟成肉が大ブーム。せっかくアメリカにやってきたのです!その本場アメリカの、うまいステーキをロサンゼルスで食べようじゃありませんか。
1. The San Franciscan / ザ・サンフランシスカン
トーランスで52年。知る人ぞ知る名店
トーランスのSepulveda Blvd.に立つ、黄色く目立つ看板。若干殺風景な外装の同店は、知る人ぞ知る、ロサンゼルスのサウスベイ地区にある人気ステーキ店。裏手の駐車場側が入り口で、扉を開けると思いがけず、しっとりとしたエレガントな雰囲気が漂います。同店のオープンは1963年。以来52年間、家族経営ならではの頑固な肉質へのこだわりと共に、ステーキやリブなどアメリカの伝統食を提供してきました。看板メニューは「Prime Rib of Beef」(19.95ドル、ランチは18.95ドル)。ジューシーかつ驚きの柔らかさで、開店以来のファンがいるほど。けれど、52年間変わらぬ味…というわけではなく、常にさらなるおいしさを求めて、改善を行っているそう。それはステーキも同じです。ステーキ肉には、あれこれ試した末に辿り着いた、とうもろこしで育ったUSDAチョイスを使用。一方でグリルは開店当時から同じものを使い続けていて、半世紀の肉の脂の旨味が染み込んだグリルで焼かれた肉は、歳月を経てこそ出せる伝統の味を醸し出しています。
2520 Sepulveda Blvd., Torrance
☎ 310-325-5231
www.the-sanfranciscan.com
▶ 営業時間 月~木11:00am-10:00pm、金土11:00am-11:00pm、日2:00pm-10:00pm(バーは毎日2:00amまで)
2. Arroyo Chop House / アロヨ・チョップ・ハウス
USDAプライムにこだわった
ロサンゼルス・パサデナのステーキハウス
アメリカで生産される牛肉の2%にも満たない最高品質の肉、USDAプライム使用にこだわる同店。その極上の肉を芸術的なステーキに仕上げるのは、高温で表面を一気に焼き上げて、肉汁を閉じ込める1200℉のグリル。そして味付けは、肉そのものの旨味を味わえるように、軽い塩こしょうのみ。肉好きをうならせるステーキの中でも、一番人気は「 Filet Mignon 」(45ドル)。口にすると、ふくよかな味わいに悶絶…。柔らかさとワイ ルドな風味が共存する「 Bonein-Filet 」(56ドル)も、通好み。「 Lobster Mashed Potatoes 」(12ドル)や「 Truffle Mac & Cheese 」(11ドル)など、伝統の味にアメリカ西海岸流の味付けをした付け合わせは、大きめサイズなのでシェアしても良さそうです。
House 536 S. Arroyo Parkway., Pasadena
☎ 626-577-7463
www.arroyochophouse.Com
▶ 営業時間 日~木5:00pm-9:30pm、金土5:00pm-10:30pm
3. Selanne Steak Tavern / セランヌ・ステーキ・タバーン
アイスホッケーの伝説が開いた
コンテンポラリー・ステーキハウス
2013年にオープンした同店は、NHLのアナハイム・ダックスなどで活躍し14年に引退した伝説のFW「フィンランドの閃光」、テーム・セラニが友人と共に開いたステーキ店。ダイナミックな攻撃で知られたセラニが愛する「完璧なステーキ」を実現したのが、看板メニューの「Lord Stanley Cut」(105ドル)。下ごしらえに地元で採れたハーブを使い、肉の味を引き立てるシェフ特製のソースで仕上げるなど繊細な工夫が凝らされています。名前はもちろん、セラニが導いたNHL優勝杯スタンレーカップにちなんだもの。美食家が絶賛するのは、「Black Angus Filet Mignon」(8oz・42ドル、12oz・52ドル)。 塩こしょうだけでも肉を、贅沢にトリュフ骨髄バターと赤ワインのボルドレーズソースで味付けしてあり、柔らかい肉から溢れる肉汁と混じり合って、奥深い味わいです。
1464 S. Coast Hwy., Laguna Beach
☎ 949-715-9881
selannesteaktavern.com
▶ 営業時間 火~木・日5:00pm10:00pm、金土5:00pm-10:00pm(バーは火木日は11:00pmまで、金土は12:00amまで)(月休み)
4. 555 East American Steakhouse / 555・イースト・アメリカン+ステーキハウス
1984年創業。伝統を感じさせる
ロサンゼルス・ロングビーチの有名店
住所をそのまま店名にしたシンプルな姿勢は、「良質のものを最適の方法で提供する」というシンプルで、実は難しい店の哲学にも共通しています。31年の歴史はそれが地域で評価されてきたことの証明と言えるで しょう。1920年代のニューヨークを思わせる華やかな雰囲気の店内では、店を知り尽くしたサーバーたちが、古き良きアメリカのステーキ店そのもののサービスで客を迎えています。同店の看板であるステーキはアメリカ西海岸の牧場産で、もともと柔らかいフィレミニヨン以外は全て美しく脂の乗ったUSDAを使用。しかもリブアイやニューヨークは28日間、サーロインは35日間の熟成で、香り高さを引き出しています。「ステーキのおいしさの条件は、無論この質の良さが最重要。でも、その旨味をさらに引き出す魔法があるんですよ」とシェフのダグラスさんが教えてくれた同店のおいしさのヒミツは、なんとカモの脂。これをステーキに塗ることで、1600℉の高温のグリルによる焦げ付きを防ぎ、さらにコクと風味を高めます。焼き方は7レベルから選択可能ですが、肉の赤身と水分がしっかり残るミディアムレアかミディアムがオススメです。なお、同店は1テーブルにつき2本までワイン持ち込みが無料。こんなところも、同店が地域で愛されてきた理由の一つかもしれません。
555 E. Ocean Blvd., Long Beach
☎ 562-437-0626
www.555east.com
▶ 営業時間 月~木11:30am-3:00pm・ 5:30pm-10:00pm、金土5:00pm-11:00pm、日4:00pm-10:00pm
参考!アメリカにおける牛肉の「等級」システムについて
アメリカで生産・販売される牛肉は、肉の種類、成熟度、霜降りの度合いなどにより全部で8個の等級に区分され、この等級はアメリカの農務省が細かく定義しています。ここではよくレストランやスーパーマーケットで見かける3つの等級について簡単にご紹介します。
USDAプライム
アメリカで生産される牛肉のうち、ごくわずかしか格付けされない最高品質の牛肉で、「霜降り肉」とも言えるのがこのUSDAプライム。肉本来の旨みを味わえたり、霜降りならではの柔らかさとジューシーさを兼ね備えた、贅沢な味わいが特徴的。値段も比較的高めのため、ここぞという時に味わいたい牛肉です。
USDAチョイス
USDAプライムに次ぎ、適度にサシが入った比較的高品質の牛肉。味わい、柔らかさともにプライムほどではないものの、十分牛肉本来の美味しさを楽しめる上に、価格はプライムよりもリーズナブル。アメリカ産牛肉の40%弱は、このUSDAチョイスで占められています。
USDAセレクト
脂肪分が少なく、赤身が多いので低カロリーでヘルシーというのがUSDAセレクトの特徴。価格も比較的安く、普段から口にしやすいというのが魅力。