移民法Q&A
投資によるグリーンカード申請メリットとデメリット
私は日本に会社を持っており、今回、アメリカに支社を設立します。アメリカ支社立ち上げに際して1億円以上の投資を考えていますが、1億円以上の投資をアメリカで行うと、グリーンカードが取得できるという話を聞きました。私がこの計画でアメリカで事業を始めれば、グリーンカードは取得できるのでしょうか?
投資によるグリーンカード取得は、EB-5(第5優先)と言われるカテゴリーに属します。この方法でのグリーンカード取得には、100万ドル(指定の特定地域においては50万ドル)投資するだけでなく、従業員を10人以上、2年間にわたって雇い続ける必要があります。また、この10人の従業員は、米国市民、グリーンカード保持者、あるいはグリーンカード申請中で就労許可を保持している人に限られます。つまり、Hビザ等で合法的に働ける従業員を雇ったとしても、この10人にはカウントされないということです。
申請は、まず第1段階の審査を通過すると、2年間の条件付きグリーンカードが与えられ、その後、2年間、10人の従業員を雇い続けたことを証明して、条件解除の手続きを行います。ただし、このEB-5の審査基準は非常に厳しく、申請者のうち認可を受けられるのは、全体の約3分の1に過ぎません。従って、EB-5以外のカテゴリーでグリーンカードの申請が可能であるならば、他のカテゴリーにおいて申請する方が賢明であると言えます。
あなたの場合、日本に会社を持っているわけですから、EB-5ではなくEB-1(第1優先)での申請が考えられます。このEB-1とは、多国籍企業の重役等が申請可能で、EB-2(第2優先)やEB-3(第3優先)のカテゴリーにおいて必要な、労働局での審査を省くことができます。このEB-1のカテゴリーには、極めて高度な技術・能力・知識を保持する者、著名な教授、研究者なども含まれます。
EB-5の基準をクリアできれば
EB-1での申請が可能
EB-1のカテゴリーにおいては、以下のことを証明することによって、永住権の申請が可能です。
(1)日本(海外)にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これは、米国にある会社の50%以上の株式を日本(海外)にある会社が直接的に所有している場合です。また、米国の会社の50%以上の株主が日本(海外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も、親子関係にあるとみなされます。
(2)駐在員として米国の会社で、部長、あるいは重役クラスの管理職に就いていること。移民局では、一般的にこれに関して、申請者の下に部下がいるということだけでは十分でなく、申請者の下に部下を持つ役職者がいることを要求しています。つまり、申請者を頂点として2段階のピラミッド型の管理体系があることが必要ということです。
(3)駐在員として、Lビザ、あるいはEビザにて米国に入国する前の過去3年間のうち、少なくとも、1年間以上、部長、あるいは重役クラスの管理職として、日本(海外)にある親会社(子会社、系列会社でも良い)において勤務していたこと。
(4)米国での役職が短期のものではなく、永久的なものであること。これには米国の会社が、日本(海外)の親会社から永住者を送らなければならないほどの規模であるとみなされなければなりません。それには相当額の売り上げと、相当数の従業員(例えば10名以上)の存在が要求されます。
従って、あなたの場合、Lビザ、あるいはEビザにてアメリカに入国し、その後、アメリカの会社が、あくまで目安ですが年商約150万ドル、従業員8人以上の規模になれば、EB-1のカテゴリーにおいてグリーンカードを申請することができます。
この場合ですと、投資金額の100万ドル以上という規定がないので、多額の投資を行う必要がありません。また、EB-5におけるような厳しい審査基準をクリアする必要がありません。言い換えると、もしEB-5をクリアできるだけの業績を2年間維持できるならば、容易にEB-1の審査基準を満たすことができるはずだということです。さらに、EB-5よりも時間的に早くグリーンカードが取得できるといったメリットもあります。
EB-5でのグリーンカード申請を考える場合には、このようにリスクの少ない他の方法があるかどうかを検討した上で、慎重な判断を行うことをおすすめします。
(2008年8月16日号掲載)


