アメリカで暮らす

移民法Q&A

会社設立に伴うビザ取得

私は、現在、日本の某メーカー海外事業部で働いています。アメリカとの取引が拡大されるため、この度、アメリカに子会社を設立し、私が責任者として赴任することになりました。会社を設立したばかりですが、アメリカに合法的に滞在し、働けるビザを取得することはできるのでしょうか? また、会社を設立してからどれくらいの時間が経てば、ビザを取得することができますか?

日本の会社がアメリカに子会社を作り、その後、日本からの駐在員のためのビザを申請するには、E-1、E-2、Lビザの可能性が考えられます。

まず、E-1、E-2ビザに関してですが、これは日米通商条約に基づいて規定されているビザで、日本の会社、または個人がアメリカに対して、貿易(E-1)、あるいは投資(E-2)を行っていることを前提として申請を行うビザです。

また、この貿易・投資を行っていること以外に、アメリカにある会社の50%以上の株式を通商相手国(日米間で貿易、または投資が行われている場合には日本)の会社、あるいは通商相手国の国籍保持者(米国籍やグリーンカード保持者は認められません)が所有していることが条件です。さらに申請者自身も、通商相手国の国籍(パスポート)を有している必要があります。

E-1ビザに関しては、アメリカに会社を設立した後、日米間で複数(少なくとも2回以上)の貿易を行っていることが必要です。E-2ビザに関しては、アメリカに会社を設立した後、日本からその会社の銀行口座に資本金を送金し、そのお金を米国内で使った後、申請することになります。従って、E-1、E-2とも、米国に会社を設立するだけでなく、その後、貿易を行うか、投資後そのお金を使うまで、申請を行うことはできません。

また、この申請は、既に何らかのビザを所持してアメリカに滞在している場合を除いては、日本のアメリカ大使館・領事館にて行う必要があります。これには約3カ月を要します。従って、会社設立の手続きを開始した後、ビザが取得できるまで、少なくとも約半年はかかると見ておいた方が良いと言えます。

Lビザ申請1年後にEビザに切り替え
L-1ビザは、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社(子会社)に派遣される人のためのビザです。このビザの主な条件は、米国にある子会社の原則50%以上を日本にある親会社、あるいはその株主が直接的、または間接的に所有していること、また、申請者が申請前の3年間のうち、少なくとも1年以上は親会社、あるいはその関連会社において管理職、特殊技能者として勤務していたことなどが挙げられます。

L-1ビザ申請のメリットは、申請条件として、特に最初の申請の場合、貿易や投資を行っている必要がなく、アメリカに会社を設立し、その後、会社の銀行口座を開き、会社の所在(存在)を示すために賃貸借契約書を取得した時点で、申請が可能です。もちろん、ビザの延長の際には、会社の会計報告・決算書等を添付する必要がありますが、最初の申請では、事業計画書で代用できます。

申請はEビザと違って、最初にアメリカの移民局の許可を得る必要があります。この申請には通常3カ月程度を要しますが、移民局に従来の申請料(320ドル+500ドル)に加え、1000ドルを支払うこと(Premium Processing)によって、15日に縮めることができます。

移民局の認可を受けた後、日本のアメリカ大使館・領事館にてビザの申請を行うことになります。従って、会社設立の手続を開始した後、ビザが取得できる(日本の会社からの書類等がすぐに揃い、場所が迅速に見つかることを前提として)までに、早ければ約2カ月程度で可能になります。

さらに、Eビザの場合、申請前に貿易、または投資を完了していなければならない、言い換えると、申請前にビジネス上のリスクを大きく負わなければならないことと比較すると、Lビザは申請前に大きなビジネス上のリスクを負うことなく、申請を行うことが可能であると言えます。

従って、あなたの場合、早期にビザの取得を希望されているのならば、最初はLビザの申請を行うことが賢明かもしれません。ただし、Eビザが通常5年(会社ができて間もなく、貿易額や投資額が十分でない場合は、2年の場合も多い)の期間が与えられるのに対して、Lビザは会社が登記されて1年以内の場合は、1年間の期間しか与えられないので、あなたが、もし相当額の貿易、あるいは、投資を行うことを考えているのならば、1年後にEビザに切り替えることも、視野に入れておいた方が良いかもしれません。

(2008年9月16日号掲載)

【解答者:瀧 恵之