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ゴルフ徒然草
ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。
ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。
vol.17 ゴルファー遠方より来る。また嬉しからずや。(前編)
世界有数のゴルフ環境を誇る南カリフォルニア。
日本からも多くのゴルファーが、機関銃でも入っているのか?
と一瞬疑うぐらい頑丈そうな黒いケースでマイクラブを携え、
もう1番ホールに立っているかのような眼差しで、LAXに毎日のように降り立ってきます。
LA在住の我々にとって、ゴルフ仲間の来訪はとても楽しいひと時であり、
精一杯のおもてなしで迎えたいと思うのは私だけではないでしょう。
でも以前から不思議だったことがひとつ。
日本では結構お上手な部類に入るのに、何故かアメリカに来ると良いスコアが出ない、
という人をたくさん目にしてきたことです。
それが単なる時差ボケが原因と思われないほど大叩きして、
ガックリと肩を落として帰っていくシーンを何度も見ました。
何か秘密があるのでしょうか?…
そして先日、ある知人とのプレーでその疑問が見事に解決されたのです。
LAXの到着ターミナル。
私を見つけた途端に不安そうな表情が崩れ、満面の笑みを浮かべて小走りで駆け寄ってくるTさん。
スーツケースともう一方の手には、しっかりとマイクラブ。
Tさんは私が日本にいた時からのゴルフ仲間で、JGAハンディも4か5の実力者です。
彼の仕事では珍しいLA出張があり、自由になる時間も多いとのことなので、
是非こちらのコースでやりましょうとなったのです。
聞けばTさんは初めての海外ゴルフらしく、ホテルに向う車中もとても嬉しそうで、
新婚旅行に旅立つ新婦よりも頬が紅潮していました。ウエルカム・ツゥ・ゴルフ銀座。
翌日、某ゴルフコースに早速訪れました。日本では何度も、
Tさんの華麗なスイングと繊細なスコアメイクに魅了された記憶があります。
しかし今日はいつものTさんと何かが違う感じ。
アメリカに来たのは初めてらしいので、多少の緊張感は止むを得ないでしょうが、
ゴルフ場に来れば水を得た魚になると思っていたのに、
何故かスイングのリズムそのものが狂っていて全く精彩を欠いているのです。
日本とアメリカで何が違うのか聞いてみました。
「まず明らかに芝が違うよね。」アメリカではラフは文字通りラフで、
表面のネットリとした芝がボールに絡み付き、草むらの底にボールが埋もれているような状態になります。
皆様もよくご存知のように、
芝の長さは大した事がないので一見易しそうに見えるのですが、実は相当厄介な芝なのです。
日本の芝はその性質上、ラフでもたまにティーアップされたように芝の上に乗っかっている事がありますが、
アメリカのラフではそれは有り得ません。
確実にボールだけをクリーンにヒットしないと、たった数十ヤードしか飛ばないこともご承知のとおりです。
「それから距離も長い。PAR4で430Y~440Yぐらいは普通だし、
グリーンも早いし、ハザードも多彩で効果的だな。フー…」
と珍しく言い訳ばかりブツブツと言っています。
でも何かもっと決定的な理由が有るに違いない…
と考えていたら、突然「あー!」と言って、Tさんが走り出したのです。
その瞬間、なるほどそういうことか!と私はすべてが理解でき、思わず膝を叩いたのでした。
(以下後編に続く)
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