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ゴルフ徒然草
ヒデ・スギヤマが、ゴルフに関する古今東西の話題を徒然なるままに書きまとめた、時にシリアスに、時にお笑い満載の、無責任かつ無秩序なゴルフエッセイ。
ヒデ・スギヤマ/平日はハリウッド映画業界を駆け回るビジネスマン、
週末はゴルフと執筆活動に励むゴルフライター。
vol.23 ニッサンオープン観戦記。
2007年2月15日。
快晴微風の絶好のゴルフコンディションの下、世界を代表するPGAトッププロ達が、
米国を代表するゴルフコースのリビエラ・カントリークラブに集結しました。
そう、今日はニッサンオープン2007の初日です。
私もあまりの好天気に誘われて、
『取材に行かなきゃ』と自分に言い聞かせながら“大義名分”という名の隠れ蓑を被り、
ふらふらとオフィスを抜け出して観戦に向ったのでした。
今回はPGAトーナメントの現場を覗いてみましょう。
まず入場後の、各スポンサーのブースはなかなか頑張ってディスプレイしていました。
私もかなり以前になりますが日本でゴルフの仕事をしていた時は、
色々なトーナメントに出向きましたが、やはりプロモーション先進国の米国、
手のかけ具合に『一日の長』が感じられます。
もっとも最近では、日本のトーナメントも進化していることと思いますが。
導線をうまく使って販促をしかける手法は、
アミューズメントパークの入り口に似ていますね。
早速コース内へ進入。今日は木曜日で初日。
「空いているだろうな」と予測していた私の読みは見事に外れ、
驚くほど多くのギャラリーがコース内を闊歩していました。
好天気だったこともその理由かもしれません。まずスタート表を見て誰を見るか考えます。
一緒に行ったM氏はここでよくプレーするという羨ましいゴルファーで、
彼がコースレイアウトを完璧に把握しているので非常に助かりました。
やはり私が注目したのは、ここ数年必ず世界ランクのトップ5に入っている二人、
フィル・ミケルソンとアーニー・エルスがいるパーティでした。
今回は残念ながらタイガー・ウッズが欠場したので、
やはりギャラリーの注目はこの組が一番でしょう。
まず12番ホールのグリーンサイドに行ってみると、
誰かが打ったセカンドショットのボールが私の目の前に転がってきました。
本当の目の前。もう1mぐらいのところにあります。
ここで驚いたのはギャラリーが入れるロープがグリーンに近い!
日本ではこれほど近いところまで入らせないのでは?
では何故日本では入らせないか?
考えられること
① 選手が嫌がる。選手は自分のバッグやクラブをギャラリーに触られるのを嫌う人が多い
(例えるなら侍の刀ですから)。
② 危ない。ちょっとでも曲がったら、ギャラリーの頭部を直撃!
そこは“グリーン”ならぬ、“レッド”一色状態の血まみれの悲劇が起きそう・・・
③ ライが変る。人に当たらなくても、これだけ近いと必ずギャラリー群の中に入る。
すると蹴られたり、何かに当たったり、また踏みつけられた芝の上でのプレーを余儀なくされる、
などの“運”で状況が左右しそうで選手は嫌がるのではと思います。
でもファンとしては、近くで見られる状況は最高です。
おかげで、アーニー・エルスのアプローチショット
(グリーン横から10ヤード程のウエッジショット)を、本当に真横で見ました。
ボールは右足の前。軽くオープンスタンスだけど思ったほどでない。
始動は一度打球方向に微妙に体重を移動してからバックスイングが始まる
(ジャック・二クラスの始動タイミングと同じ)。
結果はほとんどOK状態の10cmぐらいに寄りました。
お見事!さすがに世界のトッププロですね。
そのまま次のホールに帯同し、真後ろでミケルソンとエルスのティーショットを見ました。
ミケルソンは、結果的にこの試合はプレーオフで敗れて2位でしたが、
連続優勝もかかっていて、かなり調子が良さそうでしたね。
迫力のドライバーショットを眼の前で見て鳥肌が立ちました。
決して寒かったわけではありませんよ。
他の選手とショットの切れ味が明らかに違うのです。
他のプロが“斧”ならミケルソンは“日本刀”みたい。
“スパッ”という音が聞こえてきそうなほどです。
エルスはここではちょっとミスショットで、左に曲がりました。
弘法も筆の誤り。エルスもドライバーの誤り。納得。
今回驚いたことは、プロのティーアップが意外と低かったことです。
みんなてっきり、高~いティーでハイドローを打っているのかと思いましたが、
自分のティーアップよりも全然低かったです。
おそらく左に曲がる(右利きの場合)ことを、何よりも嫌がることがその理由でしょうか?
憧れのプロたちがみんな低いティーだったので、もちろん私もその次のラウンドから低くしました。
プロがやっていることって絶対に疑いませんよね。
アマチュアは誰もが、自分の好きなプロにほとんど洗脳されている状態ですから。
非常に暖かい日だったので、ついビールなんか頂き、ホットドッグを食べながらご機嫌な状態で、
練習場を覗いてみました。
遅い時間帯にスタートの選手が練習しています。
日本人選手の丸山茂樹プロ、片山プロたちも黙々とボールを打っていました。
競馬で言えばパドックといったところ。やはりPGAプロ達は存在感がありますよね。
他の出場日本人選手、今田プロは早いスタートだったので、何ホールか一緒について回りました。
精度の高いアイアンショットが光っていましたね。
今田プロが見事バーディを取った時に、グリーンから一番離れているのに、
一番大きな拍手をしていた日本人(らしき)女性。
「今田プロの奥さんかな?」と直感的に思いました。やはり美しきは内助の功なり。
ロサンゼルスという土地柄かそうさせるのか、
リビエラ・カントリークラブという名門がそうさせるのか、
とにかく“華やかさ”を感じさせてくれるトーナメントでした。
ニッサンオープンは毎年結構、天候が悪い印象があるのですが、
その日が見事な快晴だったことも、起因したのかもしれません。
皆さんもまた機会があれば、プロの試合観戦にも足を運んでみられたらいかがですか?
テレビでは見られない、貴方だけの新発見があるかもしれませんよ。