カウンターの後ろに焙煎室。豆や焙煎法の研究に力を入れるStumptown Coffee Roasters
アメリカのコーヒーカルチャーは今、「サードウェーブ」と呼ばれる“こだわりコーヒー時代”。ワインにおけるブドウのようにコーヒー豆を楽しむという新しいトレンドが生まれています。アメリカにおけるコーヒートレンドの変遷を少し紐解くと、まず「ファーストウェーブ」と呼ばれる時代がありました。第二次世界大戦後から1980年代ぐらいまで続いたこの時代の主役は、大量生産された豆で作る薄い「アメリカンコーヒー」です。そんな味はもうたくさんとばかりに80年代からアメリカで台頭してきたのが、深煎りの濃いコーヒーを提供するシアトル系コーヒーショップです。新しい味は瞬く間に人々を魅了し、スターバックスをはじめ、いくつかの店は世界規模の大型チェーンにまで成長しました。これが「セカンドウェーブ」と呼ばれる時代です。
そしてサードウェーブ。90年代から徐々に広がりを見せるこのトレンドの立役者は、「反大型チェーン店」ともいわれる新しいコーヒーショップのオーナーたちで、ここロサンゼルスにも数多くのオーナーたちがいます。ハンドドリップなど新しい形のサービスが次々と取り入れられていきますが、それらを生み出す大根源となったのが「シングルオリジン」という新しい概念でした。1種類の豆で1杯のコーヒーを作るというシングルオリジンのコーヒー(それまでは色々な豆を混ぜて人口的に味を調節する「ブレンド」が主流)には、豆の個性がダイレクトに現われます。この新しい概念に挑戦すべくショップオーナーたちは高品質な豆を求め、世界の栽培地と直接取引するようになりました。この「豆へのこだわり」が、自家焙煎やハンドドリップなどさらなる味への追究につながっていきます。
コーヒー好きにはうれしいサードウェーブという新しい波。格段に広がった多種多彩な味わいのコーヒーの中から、自分にぴったりの味をロサンゼルス滞在中にも探しに出かけてみませんか。
Stumptown Coffee Roasters / スタンプ・タウン・コーヒー・ロースターズ
コーヒーカルチャーを牽引する有名店の味をぜひロサンゼルスで
ポートランド生まれのこの店は、コーヒーカルチャーのトレンドリーダー的存在。グルメ都市ニューヨークでも大成功を収めています。扱うコーヒー豆はラテンアメリカやアフリカ諸国の農家と直接取引し、質と価格を厳重管理。お薦めはハーブのように香りが良く、ナッツのように香ばしいインドネシア産コーヒー。
806 S. Santa Fe Ave., Los Angles
☎ 213-337-0936
stumptowncoffee.com
▶ 営業時間 毎日7:00am-7:00pm
Intelligentsia Coffee / インテリジェンシア・コーヒー
サードウェーブ御三家といえばココ
Stump town Coffee Roastersと並んで“サードウェーブの立役者” と称される老舗コーヒーショップ。ハンドドリップなどのサービスを早い時期から取り入れたことで知られています。有名店の「Handsome Coffee Roasters」のオーナー3人も、ここから独立しました。知識豊富なバリスタに質問しながら、好みの味を探してみましょう。
55 E. Colorado Blvd., Pasadena
☎ 626-578-1270
www.intelligentsiacoffee.com
▶ 営業時間 日x@μ擶1:00am-12:00am、金土11:00am-3:00am
Jones Coffee Roasters / ジョーンズ・コーヒー・ロースターズ
遠方から訪れるファンも多い職人技コーヒー
焙煎工房を併設するコーヒー店。焙煎したての豆で入れる香り高いコーヒーは、毎朝行列ができるほどの人気です。店で販売もしている豆は、オーナーが経営するグアテマラの農園をはじめ世界中から輸入。品質はもちろん製造者の労働環境も判断基準にして、納得のいくものだけを取り扱っています。
693 S. Raymond Ave., Pasadena
☎ 626-564-9291
www.thebestcoffee.com
▶ 営業時間 月x@Χ盒:30am-6:00pm、土7:00am-5:00pm、日8:00am-5:00pm
Coffee Tomo / コーヒー・トモ
その1杯に耽溺 カップの中の美学
『Los Angeles Times』のコーヒー特集で何度も紹介された人気店。店内で焙煎し、3日間熟成させるシングルオリジンのコーヒー(常時6種類)はどれも個性豊かな味わいです。前半に落ちるおいしいコーヒーの部分だけで1杯を満たすため、2杯分の豆を使って贅沢な1杯を作っています。
11309 Mississippi Ave., Los Angeles
☎ 310-444-9390
www.coffeetomo.com
▶ 営業時間 月x@μ攘:30am-10:00pm、金7:30am-10:30pm、土9:00am-10:30pm、日9:00am-9:00pm
Funnel Mill Rare Caffee & Tea / ファンネル・ミル・レア・ コーヒー&ティー
迷ったときはコーヒーテイスティング
コーヒー豆は全てオーガニック。季節限定コーヒーをはじめ、ジャコウネコの糞から採った未消化の豆「Kopi Luwak」のコーヒーなど、変わり種もあります。多彩なメニューを前にしてどれにするか迷ったときは、コーヒーテイスティング(15ドル/4種)を。豆の個性を味わい、ワインのように楽しんでみましょう。
930 Broadway #A, Santa Monica
☎ 310-393-1617
www.funnelmill.com
▶ 営業時間 月x@Χ盥:00am-7:00pm、土10:00am-7:00pm
Caffe Luxxe /カフェ・ラクセ
ヨーロッパスタイルで楽しむコーヒー
話をしながらゆっくりコーヒーを飲む “ヨーロッパスタイル” がコンセプトのカフェ。インテリアも、ヨーロッパの街角にある小さなカフェといった感じです。人気メニューは、伝統的なイタリア方式で深く煎った豆を使って作るエスプレッソ「Testa Rossa」。ペットフレンドリーの席もあります。
Montana Ave., Santa Monica
☎ 310-394-2222
www.caffeluxxe.com
▶ 営業時間 月x@Χ盒:00am-6:00pm、土日6:30am-6:00pm
Lamill Coffee Boutique / ラミル・コーヒー・ブティック
風土が生み出す個性を味わう
栽培地の風土を学び、高品質で個性豊かなコーヒー豆を世界中から買い付けている店。特に味わってほしいのは希少価値の高いエチオピア産。通常は酸味が強いこの豆ですが、高緯度で栽培された同店の豆はチェリーのような甘さがあります。豆の生まれた土地に思いを馳せながら味わってみたい逸品です。
1636 Silver Lake Blvd., Los Angeles
☎ 323-663-4441
lamillcoffee.com
▶ 営業時間 日x@μ攘:00am-10:00pm、金土7:00am-11:00pm
イケメンロースターの横顔
もくもくと働いている横顔が素敵!
素敵オーラ全開のあの人は誰?
37歳の若さでマスターロースターを務めているラファエルさん。メキシコ、シナロア出身で、22歳のときにJones Coffee Roastersで働き始めました。以来、勉強を重ね、現在はメインロースター、バリスタ、さらにはQグレーダー(米国スペシャルティコーヒー協会認定の技能者。コーヒーの品質を評価することができる)としても活躍しています。「知れば知るほどコーヒーへの情熱が深くなるんです」とまるで恋人のようにコーヒーを語るラファエルさん。コーヒー豆や焙煎法を、ワインの産地や製法になぞらえて研究しているそうです。店で彼を見かけたらぜひ声をかけてみてください。バリスタとして好みの味を探すお手伝いをしてくれますよ。
エキスパートが教えるコーヒーの豆知識
1. 焙煎後2週間以内に飲み切る
新米のご飯っておいしいですよね。コーヒー豆も同じで、新鮮な豆ほどおいしいコーヒーになります。ベストなのは焙煎後2週間以内の豆。焙煎したての豆を、2週間で飲み切れるくらいの量だけ買うのがポイントです。
2. 飲む前に飲む分を挽く
コーヒー豆は挽いた直後から急速に香りと味が失われていきます。理想的なのは飲む前に飲む分量だけ挽くこと。自動のグラインダーなら10秒もかかりません。おいしさが全然違いますよ。
3. 挽き方を変えて好みを見つける
豆の味は挽き方によっても変わります。細かく挽けば苦く、粗く挽けばマイルドになります。挽き方を変えて、自分が一番好きな味を探してみましょう。