かつてはアメリカの中で犯罪発生件数が最も多い都市の1つであり、「治安の悪い都市」とされていたロサンゼルス。いまだに、その時代のロサンゼルスをイメージして、「ロサンゼルスは危険」「治安が悪い」と考えている日本人の方も多いようで、いざ旅行するとなると不安になる方も少なくないようです。
ところが実際のロサンゼルスは、ここ10年の間に大きく犯罪件数が減少、治安が大きく改善してきていることで知られています。もちろん日本とは違い、旅行中はアメリカだからこその注意は必要ですが、治安に対して過度な不安を感じる必要は無さそう、というのが最近のロサンゼルスなのです。
- 犯罪件数が年々減少、治安が大きく改善しているロサンゼルス
- 極力近づくことを避けた方が良い“注意エリア”、治安の悪い場所
- ロサンゼルスの中で治安が安定している、治安の良いエリア
- 犯罪・トラブルに巻き込まれないために…
犯罪件数が年々減少、治安が大きく改善しているロサンゼルス
ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police Department: LAPD)の統計によると、2000年代のはじめ、年間およそ50万件を記録していた犯罪発生件数は、ここ10年の間に年間20万件弱、約1/3程度にまで減少しています。さらに遡って20年前と比べると、犯罪発生件数は8割以上減少し、当時の2割以下に。日本と比べた場合、やはりアメリカの方が犯罪発生率は高いものの、過去10年から20年ほどの間に劇的に治安が改善され、治安が悪い・危険な場所が減少しているのがロサンゼルスなのです。また、最近の人口10万人あたりの殺人発生率を見ても、ロサンゼルスはニューヨークなどと並びアメリカの中では数値の低い都市になっており、データからはアメリカの中でも治安の安定した都市としてのロサンゼルスの姿が浮かび上がって来ます。
また、外務省在留邦人統計によると、2023年のロサンゼルス在住日本人数は約6.5万人と、日本人が住む海外都市としては世界で最も日本人在住数が多い都市とされています。これだけ多くの日本人が日々ロサンゼルスで生活を営んでいるという事実からも、治安や危険に対する過度な不安は必要ないと言えそうです。
極力近づくことを避けた方が良い“注意エリア”、治安の悪い場所
ロサンゼルスの治安が改善されてきているとは言え、中にはいまだに治安が不安定で、極力近づかない、足を踏み入れない方が良い場所がいくつかあります。「治安が悪い」とされていて、注意が必要な主な場所は以下の4カ所です。
サウス・ロサンゼルス(サウスセントラル地区)/South Los Angeles
ロサンゼルスのダウンタウンの南西に位置するこの地域は、1965年、1992年に暴動が発生した地域としても知られています。暴動が発生した当時は「サウスセントラル」と呼ばれ、ロサンゼルスの中でも危険な場所とされていましたが、その後治安は改善、イメージを一新するため、現在の「サウス・ロサンゼルス」と呼ばれるようになりました。
コンプトン/Compton
ロサンゼルスの中心部から南へ15マイル(約24km)ほど離れたこの地域は、アメリカの中でも特に犯罪発生率の高い、治安の悪い一帯として知られています。貧困率も高く、またギャング同士の抗争などによる殺人事件の発生率が高いのも特徴で、ロサンゼルス全体の犯罪件数、治安は改善しているにもかかわらず、このエリアの犯罪件数は増加傾向にあり危険な場所とされています。ただし、ロサンゼルスのダウンタウンや空港からは離れており、周辺に観光スポットもないため、よほどのことがない限り近づくことがなく、またその必要もない場所です。
スキッド・ロウ(ダウンタウン)/Skid Row
この地域はロサンゼルスのダウンタウン内にあり、ここで紹介する要注意エリアのうち、旅行者が最も足を踏み入れやすい場所と言えます。夜は当然ですが、昼間でもホームレスの多く治安が悪いとされている場所で、旅行者を狙った犯罪、トラブルに巻き込まれる危険もあるため注意が必要です。ダウンタウンを徒歩で観光中は、地図を確認して近づかないようにしておくのが賢明です。
こうした治安面で不安がある場所は、広いロサンゼルスの中のごくごく一部。これらのごく限られた治安の悪い場所に近づかなくとも十分に旅行を楽しむことができますので、ご安心ください。
また、車を運転中に道に迷うなどして、気づかないうちに治安の悪いエリア、危険度の高い場所に近づいてしまった!ということもあるようです。ただし、治安の良くない地域に近づくにつれて、落書きが増えたり、窓に鉄格子がつくようになったりと街の雰囲気が徐々に変わってくるので、街の様子に注意して運転していれば気づくことができるはず。その場合は闇雲に先へ進んでしまうのでなく、Uターンするなどして、別のルートを選択すると良いでしょう。
ロサンゼルスの中で比較的治安が安定しているエリア
ロサンゼルスは世界的にも人気の観光都市。日中の時間帯であれば、有名な観光スポット周辺にはたくさんの旅行者がいますので、特別に治安面を気にする必要はなさそうです(もちろん、ひったくりやスリなどに対する最低限の注意は必要です)。中でも比較的治安が良いエリアとされているのは、以下のようなエリアです。
サンタモニカ周辺/Santa Monica
有名な観光スポット、サンタモニカピアや、サンタモニカサードプロムナード周辺は比較的治安が良く、夜もディナーを楽しむ人たちで賑わっています。大通りから外れた裏道に入ったり、よほどの深夜で無ければ、人通りが少なくて怖いというようなことはまずありません。治安が比較的良く、また海沿いにホテルが数多くあるため、滞在先としても人気のエリアです。
サウスベイ・トーランス周辺/Torrance – South Bay
日系企業のオフィスや日系の食品スーパーが集中しており、またロサンゼルス在住の日本人が数多く住んでいるエリア。それだけの日本人が日々生活を送っているだけに治安面での不安が少ないほか、日本語の通じるレストランやホテルもあるので英語に自信が無い方でも安心して滞在できるエリアです。
コスタメサ・アーバイン周辺/Costa Mesa & Irvine
人気のショッピングモール「サウスコーストプラザ」があるほか、ディズニーランド・リゾートからも比較的近いのがこのエリアで、比較的治安が良いとされているエリアです。特にアーバインはアメリカの人口20万人以上の都市の中で“最も治安の良い都市”に選ばれたことがあるほど犯罪発生率が低く、特に治安の良いエリア。この周辺に滞在してディズニーランドやショッピングを楽しむのも良いかもしれません。
犯罪・トラブルに巻き込まれないために…
治安が良くなってきているとはいえ、やはりアメリカ。日本と比較すると、やはり犯罪発生率は高いのです。「日本とは違う」ことを絶えず意識しながら、以下のようなことに注意すれば、楽しい観光滞在となるはずです。
1.置き引きやひったくりには注意
レストランやフードコートでの座席の確保のために荷物を放置することは危険。決してしないようにしましょう。また徒歩での移動中はしっかり荷物を抱える、またはたすき掛けにするなどひったくりの被害にあわないよう注意してください。比較的治安の良いエリアでも、スマートフォンを狙ってのひったくりなどの軽犯罪が起こりがちです。スマートフォンを見ながら歩いたり、レストランやカフェでテーブルの上にスマートフォンを出しっ放しにしたりするのは避けた方がよいでしょう。
2.夜間は極力出歩かず、また移動はできるだけ車・タクシーで
当然、日中よりも暗くなってからのほうが治安は悪くなります。夜間になってからの特に徒歩での外出は危険です。犯罪に巻き込まれる危険性もそうですが、そもそもロサンゼルスは車社会で徒歩で移動している人があまりいません。ドライバーも歩行者がいることに慣れていないため、交通事故にあう危険性も高くなります。夜間は徒歩での移動は極力避け、車・タクシーを利用しての移動をオススメします。メトロレイルやバスなどの公共交通機関も、日没以降は日中とはやや異なる雰囲気になりますので、こちらも日が暮れてからの利用は控える方が無難でしょう。
3.車上荒らしに注意!
レンタカーを利用される方は特に注意が必要です。車内に荷物があることが、車外から見て分かってしまう状態では車上荒らしにあう危険性が高くなります。車を離れる際は、取り外しのできるナビゲーションを含め、必ず荷物を持ち歩くようにするか、車のトランクに入れておくようにしましょう。