アメリカらしい大自然の醍醐味がぎっしり詰まったグランドサークル。世界でも特異で唯一といえるダイナミックな絶景は、感動を超えて衝撃的ですらあります。そんなグランドサークルの最も美しい姿を楽しむためのプランを、同エリアの専門家であり、ライターの芦刈さん&写真家のTAKさんに紹介してもらいました!(写真・TAK ITOMI)
6泊7日で巡る、
グランドサークル絶景の旅
ユタ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、コロラド州にまたがる国立公園や州立公園が集まったエリア、グランドサークル(Grand Circle)。ベストなシーズンは6月で、この頃には、アンテロープキャニオンに光のビームがはっきりと入り始めます。また、真夏は気温が100℉を超えることも多いグランドサークルも、6月はまだそれほど暑くなく、快適に旅ができます。
「私たちが、グランドサークルを旅するようになったのは約20年前。Trek Americaというツアー会社の多国籍キャンプツアーに参加したことがきっかけでした。そのツアーでは、多国籍の仲間たちと10日間、国立公園のキャンプ場を転々としながら旅をしました。毎日のトレッキング、ホースバックライド、リバーラフティングなどのアクティビティーを通して、『眺めるだけではなく、自然に飛び込んで思い切り遊ぶ』というアメリカの国立公園の本当の楽しみ方とその素晴らしさを体験し、以降、毎年何度もこのエリアに足を運んでいます」(芦刈さん&TAKさん)。
今回は、そんな同地の遊びを知り尽くしたお二人が、ラスベガス発着を想定した6泊7日で回るグランドサークルのパーフェクト旅行プランをご提案。次の休みはぜひ本特集を参考に、世界で唯一無二の大自然の旅へ出かけてみては?
ナビゲートしてくれるのは…
芦刈いづみさん(右)
ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』に憧れ、大学生の時に1カ月、LAでホームステイを経験。大学卒業後、大学院に留学し、映画の脚本を学ぶ。小さい頃から書くことが好きで、卒業後ライターに。2008年にメディア&PR会社「Seven Seas Media」を立ち上げ、以来、LAやラスベガス、グランドサークルなどの観光情報、アメリカ文化や映画情報を、日本のメディア向けに執筆している。
TAK ITOMIさん(左)
Tak S. Itomi Photography and Design代表。カリフォルニア州立大学卒。2004年にアメリカ大自然をテーマにした作品で、総合写真展「大賞」「朝日新聞広告賞」「コニカミノルタ賞」を受賞。その後、世界の大自然をテーマにした作品の制作に加え、旅を通して出会った風景、人々、文化についての講演活動、各種教育プロジェクト、地域貢献プロジェクトなどにも関わっている。
どの国立公園も、
まずはビジターセンターへ!
国立公園にはどこでもビジターセンターがあり、パークレンジャーが常駐しています。マップは、入り口でもらえることが多いですが、それ以外の資料や展示物もあるので、初めての国立公園に着いたら、まずはビジターセンターへ。パークレンジャーに滞在時間ややりたいことを伝えると、最適な遊び方を教えてくれます。また、国立公園の成り立ちを紹介するビデオを上映している所も多く、それを見てから観光すれば、国立公園への理解がより深まります。
<基本情報>
◆拠点:ラスベガス
◆年間パス:80ドル(年間で4つ以上の国立公園を旅行する場合は購入した方が安い)
※今回の旅では、グランドキャニオン、アーチーズ、キャニオンランズ、ブライスキャニオン、ザイオンで利用可能。アンテロープキャニオンとモニュメントバレーは、国立公園ではないため、利用できない。
◆LAからのアクセス:ラスベガスまでI-10→I-15で約5時間。ラスベガスからグランドキャニオン国立公園までUS-93→I-40→AZ-64で約5時間。
出かける前に知っておきたいこと
◉服装
夏:グランドサークル内は、だいたいどこも日中は86°F(30℃)以上になるため、昼間は半袖に薄手のパーカーがあれば十分です。ただ、ブライスキャニオン国立公園など標高が高い所もあり、夜や朝は寒くなるので、薄手のダウンジャケットなど防寒具の用意も忘れずに。
春秋:気温は、68℉(20℃)前後。半袖に厚手のパーカー、それに加えてダウンジャケットなどを用意しておくと良いでしょう。
冬: 気温がマイナスになり、雪が降る場所も多いので、防寒対策を万全に。事前に道のコンディションを、それぞれの国立公園のウェブサイト等でチェックしてから出かけましょう!
◉ガソリンスタンド
だいたい60~100マイルぐらいおきに町があり、ガソリンスタンドもあります。ただ、どこで何が起こるか分からないので、ガソリンのメーターが半分を切ったら補給しておいた方がベターです。
◉携帯電話の電波とトラブル
国立公園内の主な施設内であれば携帯電話の電波が入ることが多いですが、その他のエリアは入らない場所が多いです。もし、電波の入らない道路上でトラブルが発生した場合、路肩に車を停め、通る車に助けを求めれば、誰かが止まってくれます。今回のルート上は基本的にどこも一定量の交通量があるので、すぐに誰かが通りかかると考えて大丈夫です。
◉持ち物
・水や食料
常に多めに準備を!トレッキングの際には、500mlのボトルを2本程度持って行きましょう。
・クーラーボックス
水や食料を冷やしておくのに便利です。氷は、ガソリンスタンドやスーパーで購入、またはモーテル、キャンプ場のアイスマシーンなどで調達できます。
・トレッキングシューズ
トレッキング(特にアーチーズ国立公園のデリケートアーチへのトレッキングなど)では、きちんとトレッキングシューズやランニングシューズを履きましょう。底がツルツルのスニーカーは、お勧めできません。
・日焼け止め、帽子&サングラス
夏のグランドサークルはほとんど雲がなく、太陽がギラギラしています。日焼け止め、帽子、そしてサングラスは必需品です。年間を通して、傘などの雨具はほとんどいりません。
DAY1 グランドキャニオン国立公園
年間600万人が訪れるグランドサークルの顔であり、世界遺産にも指定されている「グランドキャニオン」。自然という言葉を通り越した、むき出しの地球がここにあります。
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<基本情報>
◆最寄の街:ツサヤン/Tusayan(ゲートから約5分)
◆時間帯:アリゾナ州/山岳部標準時/MST(夏時間不採用)
◆国立公園指定:1919年
◆世界遺産指定:1979年
◆開園時間:1年中24時間オープン
◆料金:20ドル/1人 or 35ドル/車1台
◆気温:夏の平均最高気温が86℉、最低気温が50°F。冬の平均最高気温が59℉、最低気温が41℉
◆Web:nps.gov/grca
◆アクセス:ラスベガスからUS-93→I-40→AZ-64で約5時間
初日は、アメリカで最も旅行者が多い国立公園の1つ、グランドキャニオンへ。観光の中心は、園内を東西に流れるコロラド川の南側、サウスリムで、その中心をGrand Canyon Village(写真①)、東側をイーストリム、西側をウエストリムと呼びます。
正午くらいに着いたらまず、有名なポイント、Mather Point(写真②)へ。ゲートからパーキングまで約10分のドライブ中、グランドキャニオンは全く見えません。車を停めてポイントまで歩く間もまだ見えません。そして突然現れるのが、地球をえぐり取ったような32億年の地層。遠くをよく見ると、谷底にはグランドキャニオンを削ったコロラド川と、トレイルを歩かないとアクセスできない宿、Phantom Ranchが見えます。
その後は、すぐ近くにある、谷底まで続くSouth Kaibab Trailを少しだけトレッキング。30分ほど下ると、絶景ポイント、Ooh Aah Point(写真③)に到着。ここに来ると誰もがあまりの素晴らしさに「ウーアー!」と歓喜の声を上げるため、この名前が付いたそう。
日没は、ウエストリムのMohave Pointへ。ここでは地平線に沈む太陽と、夕日で金色に染まるキャニオン、そして悠然と流れるコロラド川が見られます。そして夜はキャニオン内で星空観察。星空のドームが頭上に覆いかぶさり、天の川や、無数の流れ星が見られ、時間を忘れてしまうほど。
翌朝は、ビレッジ内のYavapai Point(写真④)でサンライズ。できれば1時間前には行っておきたいところ。わずかに明るさを帯びた紺色の空が、紫、ピンク、そしてゴールド、スカイブルーへと移り変わっていく様は圧巻です。
宿泊&レストラン
宿泊は、ビレッジ内のホテルやキャンプ場がオススメです。数軒あるホテルやロッジの中では、Yavapai LodgeやMaswik Lodgeがリーズナブル。夏の時期は要予約。ちなみに、園内にはフードコートやレストランが約5軒と、スーパーマーケットがあって便利です。
DAY2 アンテロープキャニオン&ホースシューベンド
狭い渓谷内に鉄砲水が入ることで毎年少しずつ変化する自然の彫刻、アンテロープキャニオンと、かつてコロラド川の濁流によって形作られた絶景、ホースシューベンド。想像を超える美しさに圧倒されます。
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<基本情報>
◆最寄の街: ペイジ/Page(アンテロープキャニオン&ホーシューベンドまで約10分)
◆時間帯:アリゾナ州/山岳部標準時/MST(夏時間不採用)
◆料金:アンテロープキャニオン:ツアーにより異なる、ホーシューベンド:無料
◆気温:夏の平均最高気温が89.6℉、最低気温が68℉。冬の平均最高気温が46.4℉、最低気温が32℉
◆Web:アンテロープキャニオン:navajonationparks.org/tribal-parks/lake-powell
ホースシューベンド:horseshoebend.com
◆ツアー会社:アッパー:antelopecanyon.com
ロウワー:lowerantelope.com
◆アクセス:グランドキャニオンサウスリムからAZ-64→US-89で約2時間半
グランドキャニオンのサンライズを見たら、アンテロープキャニオンへ出発。ナバホ族のツアーでのみ入ることができるこの場所は、鉄砲水が削った渓谷。隙間の空いた天頂から光が差し込み、幻想的な世界を作り出しています。アッパー(Upper)とロウワー(Lower)があり、有名な「光のビーム」(写真②)が見られるのはアッパー。光のビームは太陽が昼間に天頂に来る夏季しか見られず、ベストシーズンは6〜8月。この間の正午〜2時くらいに渓谷内に入ると、強いビームを見られます(4〜10月のお昼頃なら通常のビームは見られる)。ツアーはすぐ売り切れるので、要予約。ベストのツアーは11時半スタートで、グランドキャニオンからは約2時間半のため、8時半には出発しましょう。
一度アッパーに行ったことがある人や、より冒険的な体験がしたい人は、ロウアーへ(写真③)。渓谷の深い場所までハシゴで降り、より複雑で入り組んだ地形を楽しめます。こちらも夏季は要予約ですが、当日にツアーデスクでその日のツアーに参加できることも。
また、アンテロープキャニオン近くのもう一つの名所、ホースシューベンド(写真④)もお忘れなく。レイクパウエルから流れ出るコロラド川がホースシュー(馬の蹄)のように蛇行しているポイントです。
宿泊&レストラン
ペイジはこのエリアでは大きな町で、モーテルやホテルが約10軒あるのに加え、Walmartやレストランなどもあります。さらに、近くにはLake Powell ResortsやRVキャンプ場、アマングループの高級リゾート、Amangiriなどもあります。
DAY3 モニュメントバレー
真っ赤な大地に突き出す岩。ナバホの人々が昔から崇めてきた聖地モニュメントバレーでは、映画で見た心震えるアメリカの大地を体感できます。
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<基本情報>
◆最寄の街:カイエンタ/Kayenta (ゲートから約20分)
◆時間帯:アリゾナ州&ユタ州/山岳部標準時/MST(夏時間採用)
◆開園時間:1年中24時間オープン
◆料金:10ドル/1人 or 20ドル/車1台
◆気温:夏の平均最高気温が86°F、最低気温が62.6°F。冬の平均最高気温が50°F、最低気温が32°F
◆Web:navajonationparks.org/tribal-parks/monument-valley
◆アクセス:ペイジからAZ-98→US160→US-163で約2時間
3日目、ペイジの町を後にして向かうは、モニュメントバレー。〝Middle of Nowhere〞という言葉がふさわしい、携帯の電波もラジオも入らない真っ直ぐな道を東へ。地平線まで見えそうな平らな大地の奥に目をやると、徐々にモニュメントバレーの「ビュート(Butte)」(孤立丘)が見えてきます。聖地という言葉がふさわしい、ナバホ族の神聖な土地です。
モニュメントバレーの入場ゲート先には、ギフトショップやビジターセンター、園内の宿泊施設であるThe View Hotelがあります。各種ツアーはここからスタート。ツアーではナバホのガイドが自分たちの神聖な土地について各所で説明をしてくれたり、昔から伝わる歌を歌ってくれたりします。パーキング内にツアーブースがあり、その場で予約可能。
園内には17マイルのループ状のシーニック未舗装ドライブがあり、自家用車で入ることも可能。ビジターセンターから下を眺めると、たくさんの車が砂煙を上げて未舗装道路を進んでいます。最近は整備が行き届いているので、雨の日でなければどんな車でも問題なく走行可能。11カ所のビューポイントがあり、それぞれの場所に看板とパーキングがあります。必ず立ち寄りたい場所は3カ所。まず1つ目は、3つのビュートを近くに見ることができるMittens & Merrick Butte(写真①)。次に、映画監督ジョン・フォードが愛したJohn Ford Point(写真②)。そして、まるで「地球の最果て」を感じさせてくれるような、遠くまで続く地平線とそこから突き出るビュートのコントラストが美しいNorth Window Overlook(写真③)。
園内の2カ所では乗馬が楽しめます(写真④)。西部劇さながらの大地を馬で駆ける体験は、世界でもこのモニュメントバレーでしか体験できない特別なもの。ぜひチャレンジしてみては。
宿泊&レストラン
宿泊は、モニュメントバレーを一望できるThe View Hotel(一般的な部屋とキャビンあり)がおすすめです。夜は満天の星空を、朝は正面からのサンライズを、客室から見ることができます。ホテル内にはレストランもあるので、食事には困りません。
DAY4&5 アーチーズ国立公園 & キャニオンランズ国立公園
大小2000以上ものアーチ状の岩が1カ所に集中する、世界でも珍しい国立公園、アーチーズと、“ミニグランドキャニオン”と称されるキャニオンランズ。2日間で、この2つの国立公園を楽しみ尽くします。
<基本情報>
◆最寄の街:モアブ/Moab(アーチーズまで約20分、キャニオンランズまで約1時間)
◆時間帯:ユタ州/山岳部標準時/MST(夏時間採用)
◆国立公園指定:アーチーズ1917年 / キャニオンランズ1964年
◆開園時間:1年中24時間オープン
◆ 料金:15ドル/1人 or 30ドル/車1台
◆気温:夏の平均最高気温が86℉、最低気温が64.4℉。冬の平均最高気温が46.4℉、最低気温が32℉
◆Web:アーチーズ:nps.gov/arch、キャニオンランズ:nps.gov/cany
◆アクセス:モニュメントバレーからUS-163→US-191で約2時間半
翌朝、モニュメントバレーを出発。東へ30分ほど行ってForrest Gump Pointで後ろを振り返ると、映画『フォレスト・ガンプ』の名シーンが蘇ります(写真DAY4ー①)。全米を数年間走り続けたフォレストが、走るのをやめる場所です。道路左側にある「Forrest Gump」のサインが目印。
さて、車は次の目的地、アーチーズ国立公園へ。前日のモニュメントバレーへ向かう真っ平らな大地とはまた違った起伏のある地形の中を北東へ向かうこと3時間。アーチーズ国立公園と向かい合うキャニオンランズ国立公園の間の町、モアブに到着します。2つの国立公園を回るので、ここで2泊。
アーチーズはとても広く、入園後、すぐにアーチが現れるわけではありません。最初のアーチが集まるのは、The Windows Sectionと呼ばれるエリア。ここでは、ほぼ同じサイズのアーチが横に並んだメガネのようなNorth WindowとSouth Window(写真DAY4ー②)、そしてDouble Arch(写真DAY4ー③)など、ダイナミックな自然の造形美を楽しめます。The Windows Sectionから北へ20分ほどドライブし、Wolfe Ranchのパーキングに駐車。ここから、シグネチャースポット、Delicate Arch(写真DAY4ー④)まで約1時間トレッキング。サンセットの2時間前に駐車、そこから1時間歩き、サンセット1時間前に到着というプランがベストです。徐々にアーチの色が、オレンジから、赤、ゴールド、ピンク、紫と変化し続ける様は圧巻。帰りは暗くなるので、懐中電灯を忘れずに。
翌朝は、もう1つの国立公園、キャニオンランズの有名な撮影スポット、Mesa Arch(写真DAY5ー①)へ。撮影のベストスポットを取るなら、夜明けの3時間前にはスタンバイが必要です。その後、キャニオンランズを一望できるGrand View Point Overlook(写真DAY5ー②)へ。さまざまな地形が、地球の大きな動きによって作られたことが分かる場所です。
宿泊&レストラン
最寄りのモアブの町には、ホテルやモーテル、キャンプ場が約20軒に加えて、レストランやスーパーなどがあります。朝早くキャニオンランズに向けて出発したいので、ホテルは両方の国立公園のゲートに近い、町の北側に取るのがおすすめです。
DAY6 ブライスキャニオン国立公園 & ゴブリンバレー州立公園 & キャピトルリーフ国立公園
標高が高く、気温の変化が激しいブライスキャニオン。柔らかくもろい岩の中に入り込んだ水分が、気温の変化で膨張と伸縮を繰り返し、岩の中を侵食。その結果できた無数の突塔群「フードゥー(Hoodoos)」は、一見の価値ありです。
<基本情報>
◆最寄の街:ブライス/Bryce(ゲートから約5分)
◆時間帯:ユタ州/山岳部標準時/MST(夏時間採用)
◆国立公園指定:1928年
◆開園時間:1年中24時間オープン
◆料金:20ドル/1人 or 35ドル/車1台
◆気温:夏の平均最高気温が73.4℉、最低気温が46.4℉。冬の平均最高気温が41℉、最低気温が23℉
◆Web:ブライスキャニオン:nps.gov/brca、ゴブリンバレー:stateparks.utah.gov/parks/goblin-valley、キャピトルリーフ:nps.gov/care/index.htm
◆アクセス:モアブからUS-191→I-70→UT-24→UT-62で約8時間(ゴブリンバレー、キャピトルリーフに寄り道含む)
モアブでの2日間の滞在を終え、朝8時にブライスキャニオンへ出発。UT‐24沿いで、巨大なマッシュルーム形の岩がゴロゴロ転がるゴブリンバレー州立公園(写真①)、キャピトルリーフ国立公園(写真②)に寄り道しながらのドライブです。ゴブリンバレーでは、岩の中を歩いたり登ったり、自由に園内を散策。キャピトルリーフには、Fruitaと呼ばれる果樹園があり、収穫の時期には無料でさまざまなフルーツを採取できます。UT‐12は、アメリカの最も美しい道の1つに指定されていて、これまでの砂漠や荒野の風景とは打って変わった、美しい白樺の並木道が続きます。また標高が上がると、道の両側が崖という、スリリングながら見晴らしの良いドライブを楽しめます。
ブライスキャニオンに到着する頃には、もうサンセットの時間。ただ、ここは朝日が最高なので、慌てず、先にホテルにチェックイン。朝日は、Inspiration Point(写真③)で見るのがおすすめ。パーキングからも近いので、サンライズの1時間ほど前からスタンバイして、ゆっくりと目覚めるブライスキャニオンを楽しんでください。
その後は、Inspiration Pointから車で5分ほどのSunrise Pointへ行き、そこから、Navajo Loop Trailをトレッキング。約2時間のループトレイルの両側には突塔群「Hoodoos」がそびえ立ち、その大きさに圧倒されます。
余裕があれば、ブライスキャニオンの最高標高地点Rainbow Pointまで約1時間ドライブしてみましょう。このポイントの標高は2800メートル。ここまで旅をしてきたグランドサークルの中でも一番標高が高い場所です。
宿泊&レストラン
ブライスキャニオンは園内に高級ホテル1軒とキャンプ場が3カ所あります。最寄りの町ブライスには、モーテルが5軒ほどと、キャンプ場やレストラン、フードコート、スーパーがあるので、ここに宿泊すると便利です。小さな町なので、夜は街灯などがあっても満天の星空が拝めます。
DAY7 ザイオン国立公園
グランドサークルの中で最も標高が低いところにあるザイオンには、垂直に切り立った巨大な岩とユニークなトレイルがたくさん。ラスベガスから近いこともあり、アウトドアアクティビティーを楽しむ人に大人気の国立公園です。
<基本情報>
◆最寄の街:スプリングデール/Springdale(ゲートから約5分)
◆時間帯:ユタ州/山岳部標準時/MST(夏時間採用)
◆国立公園指定:1919年
◆開園時間:1年中24時間オープン
◆料金:20ドル/1人 or 35ドル/車1台
◆気温:夏の平均最高気温が86℉、最低気温が59℉。冬の平均最高気温が50℉、最低気温が32℉
◆Web:nps.gov/zion
◆アクセス:ブライスキャニオンからUT-12→US-89→UT-9で約1時間半、ラスベガスにはUT-9→I-15で約2時間半
午後一でブライスキャニオンを後にし、ザイオン国立公園へ。東側のゲートまで、約1時間半です。入園後すぐに見えるのが、格子状にラインが入った巨大岩、Checkerboard Mesa(写真①)。ここから拠点となるビジターセンターまで約30分のドライブ。走行中、ビックホーンシープや鹿などの野生動物に遭遇することも!園内を走るZion Canyon Scenic Driveは、自家用車での通行が禁止(冬のみ可能)のため、ビジターセンター周辺のパーキングに車を停め、無料のシャトルバスで園内へ。約45分で、シャトルバスの最終ポイント、Temple of Sinawavaに到着。ここから、ザイオン内を流れるバージン川沿いのトレイル(写真②)を約20分歩くと、有名なトレイル、The Narrows(写真③)が現れます。The Narrowsは、足首あるいは膝ぐらいまでの浅い川を歩くトレイル。奥に歩けば歩くほどに川幅が狭くなります。沢登り用のトレッキングシューズとトレッキングポールが1本あると歩きやすいですが、ポール代わりになる木の枝がトレイルヘッドに置かれていることも多く、それを利用してもOKです。ザイオン内には他にもトレイルがたくさんあるので、余裕があれば、巨大岩の上まで行くAngels Landingに挑戦すると良いでしょう。所要時間は約4時間。
夕方、ザイオンを後にし、約2時間半でラスベガスへ。光の少ないグランドサークルとは対照的な街の光が眩しい世界。旅後のラスベガスは、また前とは違って見えるかもしれません。
宿泊&レストラン
園内には高級ホテルのZion Lodgeとキャンプ場が2カ所。西ゲートからすぐのスプリングデールの町には、モーテルが約10軒とレストラン、スーパーマーケットなどがあります。ラスベガスから近く1年中人気のスポットなので、ホテルは早めに予約しておきましょう!
※このページは「2019年4月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。