(2023年2月16日号掲載)
女優としても活躍する大人気R&Bシンガー
白と黒のタキシードに髪はポンパドール。シックにしてミニマムなエレガンスがトレードマークの、ジャネール・モネイの人気が沸騰している。新作『Glass Onion: A Knives Out Mystery』では一人二役をやってのけ、共演のダニエル・クレイグとエドワード・ノートンをタジタジとさせる存在感と演技力を発揮している。
「私はこの作品で姉妹を演じているのだけれど、アンディーはITで成功しているビジネスウーマン、ヘレンは南部の平凡な教師と全く異なった性格だから、それぞれ違うエネルギーを使って演じ分けたの。その上、ヘレンがアンディーに化ける場面では複雑な表情作りが必要で、挑戦的な役作りだったわ! アンディーは白人男性ばかりの世界で働いているから声が低く自信に満ちていて、着るものもとびきりファッショナブル。対してヘレンは、素朴でシンプルで目立たない洋服を着ている。
クライマックスの場面でガラスのアートを次々に壊す時はエキサイトしたわね。撮影用のガラスだから危険ではないものの、全員が雄叫びを上げたほどの歓喜と解放感に満ちた場面だった」と、ハッピーで透明な声で話してくれた。
また、「父はトラックの運転手、母は学校の掃除婦、祖母は小作人という貧しい家に育った。でも、教会で歌を習ったり、祖母からはソウルフードを教えてもらったり、愛情豊かな家族なのよ。(出身地)カンザス州といえば『オズの魔法使い』でしょう。あのビビッドなイメージに影響を受けて、創作の道を歩み出してね。デヴィッド・ボウイのビジュアルに憧れたし、プリンスは私の音楽のヒーロー。初めて買ったレコードはアニタ・ベイカーね。白と黒の衣装を着たのは、モノトーンのキャンバスをパフォーマンスで華麗な色に飾ろうと思ったから」とも。
2020年に、自身がノンバイナリー(自身の性認識が男性でも女性でもないという考え方)と告白しているジャネール。「常に新しい自分を発見していきたい。人間の性別、セクシュアリティーに関する考え方は進化しているの。私自身は女性だけの性ではないけれど、いつでも女性の立場を理解して、黒人女性を応援していくつもり」。
ひたむきに自分に忠実に生きていくジャネールの前途に心から拍手。ぱちぱち!
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