USトレンド-日本語情報誌ライトハウスによるロサンゼルス＆サンディエゴ情報

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ロサンゼルスのアート好きな人々が注目する
ニューヨーク仕立ての「カンター/フューアー･ギャラリー」

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ロサンゼルスのイメージといえば、ハリウッド＝映画と連想される方が多いと思いますが、実は、アートシーンでも充実しています。ゲティーセンターやモカ(Los Angeles Museum of Contemporary Art)、ラクマ（Los Angeles County Museum of Art）などの美術館から、さまざまな規模のアートギャラリーまでが点在し、エリアごとに展示品（物）の傾向や、客層が違ったりと、現在のアートシーンを気軽に垣間見ることができます。米東海岸と比べれば、アートに関する歴史は深いとはいえませんが、米西海岸の「人種（文化）のるつぼ」の中で生まれるダイナミックな作品は、一目置かれるところなのです。
Photo（右）：トム･マグラス作「Everybody Hurts」83 x 93 inches

最先端アートを集める、ニューヨーク仕立てギャラリー

　ここ「カンター／フューアー・ギャラリー」の特色は、何といってもニューヨークを連想させる雰囲気でしょう。現在のオーナー、ニール・カンターさんの父親、ポールさんが、1951年、ロサンゼルス市内にギャラリーをオープンし、東海岸やヨーロッパから持ち込んだ芸術作品の展示を始めました。その当時、西海岸において、ロバート・マザーウェル、ハンズ・ホフマン、アドルフ・ゴティレブ、ウィレム・デ・クーニングやマン・レイなどの作品を紹介した最初のギャラリーとして、注目を集めました。その後も、アンディー・ウォーホル、バスキアそしてキース・へリングなどの話題性豊富な作品を展示するなど、その時代の最先端をゆくアートを集め、オリジナリティーを持ったギャラリーを確立していったのです。
　一方、チェック・フューアーさんは、2000年、ニューヨークにLFLギャラリーをオープン。新人アーティストの発掘と育成に力を入れることで定評があり、彼が手がけたアーティストたちは、現在も世界規模で活躍中です。
　そんな２人のコラボが実現したこのギャラリーでは、ニューヨークのアーティストたちを西海岸に呼び寄せ、ギャラリースペース、スタジオ、アパートまでも用意して、彼らの作品作りに協力するという取り組みを行っています。このシステムは、西海岸の若いアーティストたちやアートコミュニティーに対して、とてもよい刺激を与えることになるでしょうし、また、西海岸の環境の中で生まれた作品を東海岸に反映することができるというわけです。

　メルローズ・アベニューとラブレア・ブルバードの角に位置するこのギャラリーでは、5月20日～6月24日まで、トム・マグラス「Pigeon Forge, Gatlinburg, Sprinkler City Blues」と彫刻家クロード・コリンズ・ストラセンスキーの作品が展示されています。ギャラリーの外観はとてもシンプルなので、見過ごしてしまわないよう要注意。
　ギャラリー内は、外観に負けず劣らずの超モダンでシンプルな作り。空間たっぷりなので、周りの鑑賞客を気にせずにじっくりと眺められるのがうれしいです。先月5月20日に行われたオープニングレセプションには、個性的でクールなアート愛好家やアーティストたちが集まりました。もちろん、アートを愛するLAっ子は、自分のお気に入りギャラリーの展示会スケジュールは必ずチェックし、また、特にアートに興味があるわけではない地元の人たちも、フラリと何気に立ち寄ったりするのです。この日、「カンター／フューアー・ギャラリー」の一角は、心なしか、ロサンゼルスっぽくないムードでした。
　たまには、ロサンゼルスに居ながら味わうニューヨーク的感覚のアートや、それに集う人々の人間ウォッチングを愉しんで見るのもよいかも!?

Photo（右）：トム･マグラス作「Blinds Spot 」82 x 90 inches
　5月20日から6月24日まで開催されている「Pigeon Forge, Gatlinburg, Sprinkler City Blues」と名づけられた今回のショー。画家トムさんは、ニューヨークで活動する28歳の若手アーティスト。ちなみに、出展された作品はすべて売却済みということからも人気の高さがうかがえる