ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴ生まれのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。
GORDON & SMITH SURFBOARDS / ゴードン&スミス・サーフボード
サーフィンをしない人にはまったく興味のない話かもしれないが、ゴードン&スミス・サーフボードといえば、世界に誇れるサンディエゴ生まれのサーフボード・ブランドの一つである。その始まりは、1950年代。今も生産を続けているサーフボード・メーカーの中では「長い歴史がある」と言って差し支えない。
ゴードン&スミスを有名にしたのは、少なくともサンディエゴで初めて、ポリウレタン製のサーフボードを開発、生産したことにある。
「父はもともと化学科の学生で、僕の祖父はプラスチックに携わる会社を経営していた。だから、知識があったんだ」と創設者の一人であるラリー・ゴードンからビジネスを引き継いだ息子、エリックは言う。
それまでのサーフィンは木製のボードが主流で、重く、波の上で操作しづらかった。軽く、自在に動くゴードン&スミスの革新的な新ボードが木製ボードを凌駕するのは当然のことだった。ちなみに、サーフボード作りには、その後いくつか新素材が登場しているが、ポリウレタン製ボードは今日も王道であり続けている。
その後、60年、70年代になると、サーフィンの世界には、長いサーフボード「ロングボード」から、短い「ショートボード」へと移行する一大ムーブメントが起こる。当時のボードメーカーのいくつかが時代に乗り遅れて消えていく中で、ゴードン&スミスはむしろ生産を拡大し、世界に名を馳せる伝説的なメーカーとなった。この頃、スケートボードも手がけ始め、こちらでも爆発的にヒットを飛ばす。
「ビジネスをずっと成功させ続けられた秘訣は何だと思う?」とエリックに問うと「父に関して言えば、ビジネスとは思ってなかったと思う。趣味みたいに、ただ自分が楽しいからやっていたっていう感覚じゃないかな」と返ってきた。
ラリーは2016年1月に他界。エリックと姉のデービーは3年前にゴードン&スミスに入り、古くからいるスタッフ、若き新しいスタッフと歴史を刻み続けている。
エリックは言う。「祖父の時代から、うちは家族でビジネスをしてきた。だから、父を継ぐのは僕らにとってすごく当然なこと。会社は、全盛期に比べたら、売上は絶好調とは言えないかもしれない。けど、とにかくやれることをやり続ける、そういう気持ちでいるよ」。
5151 Santa Fe St. Suite A/B, San Diego
☎ 858-270-1140
▶ 営業時間:月曜日~金曜日 10am~5pm
▶ Webサイト:http://gordonandsmith.com
(ライトハウス・サンディエゴ版 2016年7月号掲載)
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2016年7月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。