シンプル、ゆえに奥深いチョコレート「ニブル・チョコレート」

ライトハウス電子版アプリ、始めました

ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴ生まれのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。

Nibble Chocolate / ニブル・チョコレート

デビッド

「質の良いチョコレートが安価で、身近に手に入るようにしたい」と創業者のデビッド。左が吉田。

Nibble Chocolateの工場はソレントバレーの工業地域の一画にある。体感としては6畳くらい。工場というより、チョコレート作りのための機械が置かれている事務所といった印象だ。
 
製造の各工程を全部ここでやるので、どの日に何をやるか、管理するのが大変。近いうちにもう少し大きなところに引っ越したいと思っている」と案内してくれた創業者のデビッド。具体的には決まっていないが、移転した暁には、誰もが工場見学に来られるようにしたいと言う。
 
Nibble Chocolateの始まりは2012年。チョコレートが大好きなデビッドと妻のサンドラは、自分たちの健康意識が高まるにつれ、市販のチョコレートにはカカオの含有量が少なく、その代わりとばかりに余計な材料がたくさん入っていることが気になるようになった。ヘルシーなチョコレートはないかと調べるうちに、2人はこの世界にのめりこんでいく。長年ワイン業界にいたデビッドはチョコとワインの類似性にも魅了された。

板チョコ

カカオの産地が異なる4種の板チョコは各6ドル

「気象や土壌など、ワインで言われる 〝テロワール〞がチョコレートにもある。異なる土地で育ったカカオは、同じカカオでも味が変わるんだ」(デビッド)。
 
そうして彼らが生み出したのは、ドミニカ共和国、ブラジル、ペルー、マダガスカル産のカカオを使った4つのチョコレート。いずれも材料はカカオとオーガニックの砂糖の2つだけ。だが、カカオの産地が異なるので、4つそれぞれ風味が違う。奥深い。

chocolate

パッケージに入る直前

「最初に公に売ったのは、ラホヤのファーマーズ・マーケットだったんだけど、2つの材料だけというアイデアをみんな評価してくれた。それでこれはきっといけるって思ったんだ」(デビッド)。
 
実際にビジネスとして展開するにあたって大変だったのは、チョコレート製造業者としては規模が小さかったこと。
 
「チョコレート菓子を作るショコラティエとはまた違って、チョコレートそのものの製造に使う機械は大規模生産を想定していて、大きいし、高い。僕たちの規模に合うものを見つけるのに苦労したよ」(デビッド)。

カカオ豆のペースト状

砕いたカカオ豆をすりつぶしてペースト状に。この機械は3日間ノンストップで回し続けるのだそう
手作業

ほとんどの工程が手作業

時折、スパイシーなチョコを作ってほしいとリクエストされるが、シンプルなチョコを作り続けたいとデビッド。材料が2つだけだと真似される不安はないのかと聞いたら「ない」と即答。
「ローストの仕方をはじめ、本当に研究して独自の方法を見い出したから。たとえまったく同じ材料を使ったとしても、僕らと同じチョコレートは誰にも作れないよ」(デビッド)。

 

Nibble Chocolate

◎ Nibble Chocolate/ニブル・チョコレート
2754 Calhoun St., San Diego (Fiesta de Reyes内)
☎ 858-848-1781
▶ 営業時間:10am~9pm
▶ Webサイト:www.nibblechocolate.com

 
(ライトハウス・サンディエゴ版 2017年4月号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2017年4月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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