ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴ生まれのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。
Think Positive Apparel / シンク・ポジティブ・アパレル
一見すると大きな木を描いたプリントTシャツ。しかし、よく見ると木の幹はヨガのポーズを取る女性のようにも見える。いやいや、もっとよく見ると木の幹も葉も小さな文字で埋め尽くされてデザインされている。その文字は「I am loved」「I am smart」といったアファメーション(肯定的な宣言文)。Think Positive Apparelはその名前通り、ポジティブなアファメーションをデザインに用いたアパレルブランドだ。
創業者夫妻、テイラー&ケイリン・ラピドスがThink Positive Apparelのアイデアを思いついたのは2011年にさかのぼる。ヨガや瞑想と出会い、世界の見方が変わり、精神世界への探求を続けていた中で、ある日、ポジティブな言葉をかけた水の結晶は美しい形になり、ネガティブな言葉をかけた結晶は醜くなるという話を知った。『水からの伝言』の著書で知られる日本の故・江本勝博士による研究だ。
「ドクター江本の研究を知って、思ったんだ。じゃあ、ポジティブな言葉を身につけたら体がポジティブに変化するんじゃないかって」(テイラー)。
当時、テイラーはアリゾナ州フェニックスで不動産の仕事をしていた。大学時代の専攻は哲学で、デザインやアパレルのバックグラウンドがあるわけではない。時折、友だちへのギフトとしてTシャツをデザインすることはあったが、あくまで趣味だった。しかし、とにかく形にしてみようといくつかのデザインを作り、ファーマーズマーケットやオンラインで販売を開始。わずか半年でこちらが本業となり、サンディエゴに越してきた。今、本拠地はサンディエゴにあり、ファーマーズマーケットやオンラインの他に全米各地のヨガスタジオなどにも販路がある。
これまで7年間で生み出したデザインは40種類ほど。今後も新しいデザインは随時リリースされ、さらにはキャップなどTシャツ以外のアイテムも増やしていく予定だ。
この先どんなゴールを見据えているかを聞くと「人間にとっての普遍的な原理を自分なりの解釈でアートとして表現していくことを続けたい」と返ってきた。
「本当に小さなレベルでいいから、世界の平和にわずかでも貢献する、それが最終目標だろうね。これはポジティブシンキングという生涯をかけた旅なんだ」(テイラー)。
▶ Webサイト:www.thinkpositiveapparel.com
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2018年5月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。