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現地情報誌「ライトハウス」が過去に取り上げた、アメリカ芸能界ゴシップ情報や、著名人・有名人へのインタビュー記事など。
ライトハウス編集部
Lighthouse 創刊20周年記念イベント
ビジネス書ベストセラー作家による「JBNビジネスセミナー」
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去る1月22日、トーランスのダブルツリー・ホテルにて、日本のビジネス書ベストセラーであり、ベンチャー経営者である4人の講師を招き、それぞれの専門をテーマとしたセミナー、パネルディスカッションが開催された。旬の情報が満載された当日の模様をダイジェストでお伝えする。
行動科学マネジメント初級編
講師:石田 淳
(株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役兼CEO)
「成果の上がる環境作り」
まず簡単に自己紹介をさせていただきます。現在2つの会社を経営しておりまして、ウィルPMというコンサルティングの会社と学習塾です。台湾で立ち上げから全部手がけた時に、日本で当たり前のマネジメントが、海外ではなぜこんなに違うのかと思うようになりました。
ある年に新卒を12人ほど採用したのですが、半年後には10人辞めてしまいました。その後、日本で書かれているマネジメントの本はほとんど読み、セミナーにも足を運びました。そしてたまたま本屋に行った時に、行動心理学や行動分析学の本を見つけたのです。ビジネスとはまったく違ったのですが、これは使えるのではないかと思い、本に出ていた行動分析学会の理事の先生に連絡を取り、アメリカにパフォーマンス・マネジメントという、行動分析をビジネスに応用したものがあることを知りました。そしてアメリカで研修を受けて日本に戻り、自社で試して改良を重ねました。
それでは早速本題に入って行きたいのですが、その前にお隣の方と、まず自己紹介をしていただけたらと思います。アメリカで何人かの先生に教わったのですが、「ビジネスの話をする前に必ず自己紹介をしなさい。自分のことから話をしないと、相手は話さない」と。
この行動科学マネジメントは、行動分析学という学問のビジネスの応用です。1番重視しているのが、「誰がいつ、どこでやっても同じ結果が得られるか」ということで、数学の公式や物理学と同様に、誰でも使えて同じ結果が出るようなものでないと意味がないわけです。
行動科学マネジメントが他と1番違う点は、結果を出した人間と、結果と直結したプロセスを取った人間も同等に評価するということです。しかし、結果はできる人しかなかなか残せません。でも結果に至るまでの行動は、やり方さえきっちり教えれば誰でもできます。誰でもできる行動が増えれば、結局は結果も増えます。
継続できる仕組みを作る
人が行動できない理由は2つしかなく、1つはやり方がわからない。もう1つは継続ができない。ではやり方とは何かというと、知識と技能です。研修に行った会社でよく聞かれるのが、部下に同じことを何度言ってもできない。例えば、今までまったく泳いだことのない人に対して、泳ぎ方を書いた紙1枚を渡して、「来週までに泳げるようになっておけ」と言って泳げるか? できないですよね。それは知識があっても、技能のトレーニングができていないからです。でも知識と技能が備わっても、それだけでは不十分です。継続できる仕組みを作っていないからです。多くの企業や学校でもそうですが、人が1番できないことは継続です。
やり方がわからない場合、3つのポイントがあると言われています。1つは、結果に直結している行動を分解して、どういう風にやればいいかを教え、わかりやすい言葉に直すこと。2つ目はその分解した行動をわかるようにチェックリストを作る。ここまでが知識です。3つ目は反復トレーニングで、これが技能のトレーニングです。この順番を1つ1つクリアしていけばいいわけです。
組織は行動の集合
もう1つ大きなポイントは、組織は行動の集合ということです。組織として成果が思うように出ない場合、原因は3つのパターンしかなく、どこかの行動が多いか、少ないか、まったくないか、しかありません。まずは成果に至る行動だけをちょっと変えてみよう、という視点で見てください。
リーダーは、部下をいかに自分から進んで仕事をしやすい、仕事で成果の上がる環境を作るかが仕事なのです。それができないと、会社の永続的な発展は難しいでしょう。皆さんが自分の組織、チームなどをお持ちであれば、これをきっかけにみんなが進んで仕事ができる環境作りを考えてみてください。
当たり前だけどなかなか出来ない上司のルール
講師:嶋津良智
(株式会社リーダーズアカデミーの代表取締役兼CEO)
「リーダーシップに魔法はない」
私は、将来世界を股にかけた仕事をしたいと小学校の時から考えておりました。念ずれば花開くという言葉がありますが、京セラの稲盛和夫さんとお会いした時に、経営者にとって1番大切なことは何かとうかがったところ、「思い」とおっしゃいました。経営というものを続けていく上で、すべてはこの思いというものから始まるのかと実感する中で、小さい頃の思いが今こうしてロサンゼルスで実現していることを不思議に思います。
私はリーダーズアカデミーという、次世代リーダーの育成を目的としたビジネススクールを経営しています。私自身が社員や経営者として、2回の上場体験から学んだ、部下育成に関するノウハウなどを企業様などに提供し、部下育成、人材育成することを通して、企業の業績を支援していくといったことを主な業務としています。私自身の会社の理念は、会社に上質な社会理念を形成することにより、明るくて豊かな未来を作ることに貢献することです。
リーダー育成の必要性
私がなぜリーダー育成にこだわっているのかというと、部下を持つリーダーの3つの影響に気付いたからです。1つは人を良くする力、2つ目は企業を良くする力、3つ目は社会を良くする力。私自身は、部下育成というのは、この世で最大の社会貢献ではないかと考えています。
最近、CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー)という企業の社会的責任が注目を浴びています。環境問題などもその1つですが、究極のCSRはこの人材育成だと思っています。優秀な上司が増えれば増えるほど、優秀な部下が増えていくわけです。どんな素晴らしい戦略であれ、最終的にやるのは人間です。人の身体がさまざまな成分でできているのと同じで、人の心は「良い言葉」「良い学び」「良い思い込み」でできています。
例えばジャンケンをさせて、後出しをして負けるという条件を付けても、負け続けることができるわけではありません。それはジャンケンが勝つゲームだという思い込みがあるからです。こういう思い込みによって、皆さんは日頃の行動を左右されています。同じように、部下に日頃からどのような言葉、学び、思い込みが入っているかによって、本人が気付かないところで影響を及ぼしているのです。
行動が成果を変えるという話がありましたが、良い学び、良い言葉、良い思い込みが入ると行動が良くなり、必然的に成果も良くなる。逆だと、行動が悪くなるから成果も悪くなるのです。
当たり前を実践する
日本のアンケートで、管理職側は、人間関係が潤滑だと答えた人が60%、一方、部下からは70%が人間関係でトラブルがあったという回答結果が出ました。上司と部下の間でコミュニケーションギャップが多々見られるということを、上司の方は真摯に受け止めていただけたらと考えております。
私の上司学の中で何を伝えているのかというと、部下が自分からやる気を出して仕事をしてくれるようになる6つの当たり前を理解して、部下の課題を見つけていくということです。その6つとは、思考、体験、行動、徹底、傾聴、フォローです。これらを見て、非常に当たり前なことだと思いませんか? 私が申し上げたいことは、リーダーシップに魔法はないということです。誰にでもできるような当たり前のことを、誰にもできないくらい続けることができるかということが大事なのです。
パネルディスカッション
「ビジネスパーソンの自己投資」をテーマに、講師の皆さんにそれぞれの経験と知識を共有いただいた。
Q:皆さんにとって自己投資とは何でしょう。
石田:本を読むことです。1千円から2千円というコストで学ぶことは、たくさんあると思います。
島津:私は時間の投資を考えます。いかにやらない勇気、特に人に会わない勇気を持って、その時間を自分の大事なことに費やしていけるかを心がけています。
本田:日本の社会人の1日の勉強、読書時間は10分間だそうです。これはスポーツに例えると、練習をしないで試合ばかりやっているようなものです。しかしビジネスパーソンの自己投資となると、例えば英語を勉強した場合、1億2千万人全員が、英語を話せるようになることもあり得るわけです。やったらやった分やった者勝ちなのに、ビジネスとなると自己投資を意外に疎かにしてしまっています。
鮒谷:僕にとっての自己投資は、ロールモデルを探すとか、ベンチマーキングの対象を探して良いものをいただくことだと考えています。だから僕にとっては、自分を進化、変化させてくれるものすべてを自己投資だと考えています。色々試して取捨選択して、より高い成果を残せるのではないでしょうか。
Q:自己投資で増やしたインプットを実際に行動に移していくにはどうすれば良いのでしょうか。
石田:自己投資を増やそうと思った時に、どうすればいいのかとまず考える。そしてやった日は、カレンダーに○を付けたりして印をつける。グラフなどを作って自分がどれくらいやったかということを目に見える形にするのが大事です。これが3カ月続けばもう完全に習慣化していると思います。
本田:課題があるか意識した上で、それを解決するためにインプットをする。マネジメントがなかなかうまくいかない時に本を読めば、すぐに試してみようと思うわけですね。しかし単純に勉強しようということだけになると、試す場がなかったり、解決する場がなく、なかなか実行できません。
鮒谷:知識が付いた時に自己満足せず、1つで良いので実行することです。そして結果が伴ってくると学ぶことが楽しくなります。それを繰り返していくうちにだんだん加速度が付いてきます。
Q:皆さんは人脈とはどういったものとお考えですか。また人脈の作り方についてお聞かせください。
本田:会社依存の時代は、社内や取引上の仕事に関わる現在人脈で十分でした。しかし、これから個人サバイバルの時代になって来ると思いますが、そういう時代は未来人脈が必要です。今すぐ必要じゃなくても、将来的に必要な人のつながりです。いかに一緒に成長できる仲間に貢献できるか。コントリビューションすることによって人のつながりもできるし、一緒に成長できる機会も増えるし、長期的なつながりが増えてくる。あとは、相手の3つの価値である時間、情報、人脈を尊重すること。これを考えないと結局お願いになってしまい短期的な人脈になってしまいます。
鮒谷:僕は、昼と夜は必ず人と食事をします。以前は契約につなげることなどを考えていた時期もあったのですが、そういう短期的なものよりも、将来この人に何ができるのかと考え、2年、3年と関係を培い、その結果として、忘れていたけれども大きなものが返って来た、そういうことを体感しました。
Q:人を動かす上で、アメとムチの使い分けは必要なのでしょうか。
石田:アメとムチという表現が適切かどうかわかりませんが、ムチには非常に重要なポイントがあり、絶対に人格を否定しないことです。よく言われているのは、人格と行動は必ず分岐することです。
本田:アメとは単にほめることではなく、成功体験を積ませることだと気付きました。結局、人間学ぶということは、何かを学びうまくいき、そこで頭にドーパミンが出てやる気が出て、それを繰り返すことによって強化されていくからです。
パネルディスカッションメンバー
◆石田 淳
◆嶋津良智
◆本田直之
◆鮒谷周史
交流会
第2部では、講師の皆さんとの触れ合いの時間として、立食交流会が行われた。参加者の皆さんにセミナーの感想を聞いた(皆さんのお名前は左から)。
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