ミスター世界の食文化紀行

“ミスター世界”こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカなど、本誌掲載コラムのバックナンバーをセレクトしてご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

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クジラはなぜ食べてはいけないのか?

LAのある日本食レストランで、こっそりとクジラの肉をお客に出したのがみつかった事件で、最近、有罪の判決が下された。 日本人がクジラを捕って食べることについて、欧米人ってなぜそんなにメクジラをたてるのだろう。 アメリカだってつい数十年まえまで捕鯨はビッグビジネスだったのに。 そのワケについて、僕には自説がある。ヨーロッパを旅しているときに気づいたことだ。 欧米 … »ミスター世界の食文化紀行「クジラはなぜ食べてはいけないのか?」の続きを読む

トロピカルフルーツ

フルーツはいろいろあって、みんなそれぞれおいしいけど、特にトロピカルフルーツは、東南アジアなど暖かい国を旅行するときの楽しみのひとつだ。 世界でトロピカルフルーツのおいしい国はどこだと思いますか? 僕にいわせると、日本はまちがいなくそのひとつだ。 最近、沖縄の石垣島を訪れたが、そこで食べたマンゴー のおいしかったこと。 そこでは、マンゴーは農園ではなくても、 … »ミスター世界の食文化紀行「トロピカルフルーツ」の続きを読む

BFV(バックグラウンドビジュアルズ)

レストランでの食事の楽しさって、料理の味だけで決まるわけじゃないですね。  サービスやデコア、一緒に食べる相手、そのほかいろいろな要素がある。ウェイトレスが美人だったらすこしおいしくなるかな。 BGMなど、周りから聞こえてくる音もポイントだ、ってことについては何号か前に書いたけど、周りから目に入ってくるものもかなり重要な要素だと思う。 このあいだサンタモニカ … »ミスター世界の食文化紀行「BFV(バックグラウンドビジュアルズ)」の続きを読む

これでトーストがうまくなる(かな?)

いまオーストラリアに来ている。 この国を代表する食べものというとVegemite だ。 エイをアイと発音するオーストラリアのこと、Vegemate と綴ることもあるようだが、朝食のトーストに塗るスプレッドだ。原料はイースト菌。 これがなんともはやヘンなものなのだ。 色は不気味な真っ黒。ひどく塩辛く、苦い。そして、薬くさい。 ぼくは好き嫌いがなく、世界中を旅し … »ミスター世界の食文化紀行「これでトーストがうまくなる(かな?)」の続きを読む

これぞエキゾワイン

いろんな国を旅行していると、その国の食べものを味わうのが大きな楽しみなのはもちろんだが、その国でできたワインを試してみるのもとても楽しい。 フランスやイタリアなどのヨーロッパ諸国はいうまでもないが、それに限ったことじゃない。 南アフリカ共和国に行ったとき、ワイナリーめぐりがとても楽しかった。特にこの国独特の水のように無色透明なソービニヨンブランがおいしく、毎 … »ミスター世界の食文化紀行「これぞエキゾワイン」の続きを読む

チャイニーズ攻略法 その②

前回はどうやっておいしい店を見つけるかだったが、さて店がみつかったら、どうやっておいしい料理をオーダーしたらいいのだろう。 じつは、そのコツはひとことで言い表すことができる。 それは僕の企業秘密なのだが、今日はお日がらもよろしいようなので、特別にみなさんにお教えしましょう。 それは、「バランス」。 僕が友だちとチャイニーズに行くと、驚かれることがある。 「こ … »ミスター世界の食文化紀行「チャイニーズ攻略法 その②」の続きを読む

チャイニーズ攻略法 その①

アメリカが世界に誇れる料理って、なんでしょうね。 それはライトハウスが発行されている西海岸やハワイに限っていえば、チャイニーズだと思う。 なんてったって移民の数がすごい。オーセンティックなチャイニーズがこんなに食べられるところは、世界にも数少ない。 とはいえ、いまだにアメリカナイズされた店も多いし、オーナーが中国人だったとしても、料理の素人が「レストランでも … »ミスター世界の食文化紀行「チャイニーズ攻略法 その①」の続きを読む

黒いって健康的

明けましておめでとうございます。 新年といえば、New Year’sResolution。みなさんのことしの決意は何ですか? 僕は「おいしいものをたくさん食べよう」。毎年同じですが。 とはいえ、できるだけ健康的なものを食べるように心がけなくては、長いあいだおいしいものを食べることができない。 じつは数年前、僕はそのことにはっと気がついて、ダイエッ … »ミスター世界の食文化紀行「黒いって健康的」の続きを読む

チキンスープを飲みなさい

アメリカの雑誌に、こんな漫画が載っていた。   心臓マヒで道路に倒れているひとを、ひとびとが介抱している。そこに通りかかったお婆さんが、こう言う。「チキンスープを飲ませなさい」   ……   それでおしまい。   さて、なにがおかしいのだろう。多くの日本人には意味がわからないに違いない。   これは、アメリカでは、grandma は子供が病気になると、それが … »ミスター世界の食文化紀行「チキンスープを飲みなさい」の続きを読む

ジャガイモだってあなどれない

今回は、前号のカボチャの続編。   「ジャガイモ」の「ジャガ」って、どういう意味だか知ってますか?   僕が子供のころは、別名「ジャガタラいも」といったもので、そこからわかるようにインドネシアの「ジャカルタ」、それがちょっと訛ってなおかつ省略されて、「ジャガ」になったのだ。   「『カボチャ』はポルトガル人が『カンボジア』から日本に持って来た」と前号で書いた … »ミスター世界の食文化紀行「ジャガイモだってあなどれない」の続きを読む

カズチャンのカボチャ

今年もハロウィーンが過ぎ、カボチャ売りたちも街から消えていった。   突然ですが、僕のなまえは『正和』です。   兄弟のなまえにもにも『正』がつくので、子供のころ、『カズちゃん』と呼ばれていた。   あるときカボチャを食べていたら、だれかに「カズちゃんがカボチャ食べてる!」と笑われた。   ちょっと音が似てるだけなのにからかわれ、傷つけられ、「二度とカボチャ … »ミスター世界の食文化紀行「カズチャンのカボチャ」の続きを読む

シッポの味

動物の尾というのは、何のためにあるのだろう?   猿にとっては木の上を動きまわりやすいように、犬にはとっては感情を表現するためにあるのかもしれないが、大部分の野生動物にとっては、あるひとつの重要な目的がある、と僕は思う。   それは、アフリカの草原で、野生動物たちを眺めているときに気がついたことだ。   シッポというものは、オシリにたかろうとする蠅を追っ払う … »ミスター世界の食文化紀行「シッポの味」の続きを読む

音の味わい

こどものころ、フランク・シナトラがどこかでディナーショーをしたものを録音したレコードを聴いたことがある。   歌ったり語ったりしている途中に、ときどきチン、カチャンと食器が触れる音が聞こえる。   当時は生の音楽というとコンサートしか知らなかった僕は、食事をしながら歌を聴くなんて、なんてカッコイイんだろう!そして、食器の触れる音って、いいな、と思ったものであ … »ミスター世界の食文化紀行「音の味わい」の続きを読む

Simple is the Best

最近、フランスのブリターニュ地方をゆっくりと旅行してきた。   ブリターニュのおいしいものはといえば、カキ、オマールエビ、ホタテ貝などの海産物、それにラムなどいろいろあるが(すべてめちゃおいしかったです)、この地方をもっとも有名にしている食べものはといえば、クレープだろう。   ほんの数十軒しか家がないような小さな村でも、その中心にいけばかならず教会とクレー … »ミスター世界の食文化紀行「Simple is the Best」の続きを読む

究極のジントニック

好きなお酒はなんですか?と聞かれれば、僕のばあい、食事といっしょならワイン、食前食後ならジントニックだ。   ほかにもいろいろ試してみたのだが、そういう結論に達した。   ジントニックは、食前酒としても、食後酒としても、どちらでもいい。   日本人の男性には、食後に飲む酒はウィスキーが好きなひと、あるいはそれしか飲んだことがないというひとが多いようで、日本で … »ミスター世界の食文化紀行「究極のジントニック」の続きを読む

ウクライナで食べたいな

いま、ロシアとの紛争やマレーシア航空機撃墜事件で話題の国、ウクライナとはどんなところだろう。   僕が行ったのは、十年ほどまえ、黒海に面した港町、オデッサだ(現地の発音はオジェッソ)。   街路樹や公園の多い、美しい町だ。   ところが、ソ連時代にはさぞかし栄華を競ったのだろう、フランスの教会や宮殿も顔負けの、美しいデザインや彫刻を施された石造りの建物たちの … »ミスター世界の食文化紀行「ウクライナで食べたいな」の続きを読む

ハチャメチャじゃない、ハチャプリ

この原稿がライトハウスに載るころはいささか旧聞に属するかもしれないが、これを書いている今日、大相撲名古屋場所千秋楽で、もと幕内だが怪我で落ちていた栃の心が十両優勝した。   つい先場所の五月場所で幕下優勝したばかりである。   この力士はグルジア出身だ。   で、僕は会ったことがあるのです。   五月場所の千秋楽の夜、つてがあって、春日野部屋の打ち上げパーテ … »ミスター世界の食文化紀行「ハチャメチャじゃない、ハチャプリ」の続きを読む

生クリームで広がる世界

「生クリーム」ってなんだろう?ただのクリームとどうちがうの?   英語にはraw cream なんていうものないですよね。   調べてみると、日本では牛乳から作ったホンモノのクリームのことを「生クリーム」と呼んで、植物油から作った、いわばニセモノのクリームと区別しているらしい。   そのニセモノのことは「ホイップクリーム」と呼んでいるらしい。英語のwhipp … »ミスター世界の食文化紀行「生クリームで広がる世界」の続きを読む

づくしの世界

最近、松阪に行きました。   そこで食べたのは、松阪牛づくし。   お通しから始まって、ミニ寿司、タタキ、煮物、鉄板焼き、しゃぶしゃぶ、すき焼、すべて松阪牛だ。その中から選ぶんじゃないんです。すべて出てくる。   これは堪能しました。   霜降り肉というのは、たとえば大きなステーキを食べていると、脂身がだんだんくどく感じてきたりすることもある。でも違う料理方 … »ミスター世界の食文化紀行「づくしの世界」の続きを読む

パンの食べかた

「パンにしますか?ライスにしますか?」    日本の洋食屋さんで、ハンバーグでもたのめば、こう聞かれる。   日本におけるパンとライスって、同じ役目を担っているわけですね。つまり「主食」。   主食、それはおなかを一杯にするためのもので、それをおいしく、たくさん食べさせるためにオカズが存在する。   東アジアや中米などのライスは、だいたいそうだ。   でもヨ … »ミスター世界の食文化紀行「パンの食べかた」の続きを読む

韓国のうどんたち

たぬきうどんにきつねうどん、月見に釜揚げ、「うどん」って、すごく日本的で、海外に住んでいる者にとって、郷愁をさそう食べものですよね。   でも、うどんって、漢字で書けば「饂飩」とか「餛飩」とか、なんだかあんまり日本語っぽくないと思いませんか?   そう、「餛飩」というのは中国の呉の方言で「ウンドン」と読み、ワンタンのことだ。   呉といえば日本に入った漢字の … »ミスター世界の食文化紀行「韓国のうどんたち」の続きを読む

トッピング

アメリカのピザ、僕は最近まではほとんど食べることがなかった。   アメリカにはおいしいピザが滅多になかったっていうこともあるが、そもそもアメリカのピザはサイズがデカすぎて、見ただけで食欲が失せる。   それに加えて、「トッピング」が気に入らない。   だってアメリカでは、トッピングがひとつひとつ追加料金になっているのが一般的ですよね。10か20あるリストの中 … »ミスター世界の食文化紀行「トッピング」の続きを読む

なぜロゼ?

そろそろ夏が近づいてきました。   ロゼの季節です!   冷たーくひやして、家の庭かレストランのパティオに出された夕方のテーブルで、チーズかオリーブか、軽いおつまみをつまみながら友人や家族とゆっくりと飲むのがいい。   もちろん冬に飲んだっていいワインなんだけど、夏は特別においしい。   僕がロゼにハマったのは、夏のプロバンスを旅行したときだ。   かなり暑 … »ミスター世界の食文化紀行「なぜロゼ?」の続きを読む

えいさい教育

中国野菜の「エーサイ」って、知ってますか?A菜と書きます。   この野菜をガーリックとともに単純に炒めた料理、「炒A菜」は、僕の大好物のひとつだ。   緑野菜で、歯ごたえがシャキシャキっとしていて、軽い食感とすなおな味と香りが気持ちいい。   ガーリックと油との相性がすばらしく、葉ッパから出た水分がスープのようになって皿の上に溜まるので、これを白いゴハンにか … »ミスター世界の食文化紀行「えいさい教育」の続きを読む

いろとりどりなぢどり

Jidori。   地鶏。もちろん、日本語からの外来語だ。   和牛(wagyu)、シイタケ(shiitake)、枝豆(edamame)などと同じく、もはや英語のメニューに載っていてもなんにも珍しくない存在になってしまった。   Free range chicken という英語表記方法もあるにもかかわらず、Jidori が一般的になったのは、まあメニューに書 … »ミスター世界の食文化紀行「いろとりどりなぢどり」の続きを読む

小さくてもビッグなキノア

きのうはキノアを食べました。   キノア(Quinoa)。アワやヒエと同様の、いわゆる雑穀だ。   最近僕がハマッている食べもののひとつである。   日本ではスペイン語語源のキヌアともよばれるが、どちらにしても日本ではまだあまりよく知られた食材ではないように見受けられる。   でもこの食材は、かなり世界で重要な存在になりつつあるのだ。   たかが雑穀のキノア … »ミスター世界の食文化紀行「小さくてもビッグなキノア」の続きを読む

ホンモノイタリアンのみつけかた

アメリカにイタリアン・レストランは星の数ほどある。   でも、ホンモノのイタリアンと言おうか、イタリアで食べるような、オーセンティックな料理をだす店は、その中でほんの一部だ。   いや、別にイタリアで食べられようが食べられまいが、旨けりゃいいじゃないか、という考えもある。   僕もそう思う。   「ジャパニーズ・レストラン」でカリフォルニア・ロールを食べれば … »ミスター世界の食文化紀行「ホンモノイタリアンのみつけかた」の続きを読む

ナマのおさかな

そりゃスシはいまや世界中に普及したけど、そもそもサカナをナマで食べる習慣って、もとは日本だけなのだろうか。   そう、ちょっとまえのこのコラムでオランダや北欧でニシンをナマで食べることを書いたのを覚えていただいていると思う。   ほかにもあります。   中南米のセビッチェ。cebiche、ceviche、seviche、sebiche。   わりと表記が一定 … »ミスター世界の食文化紀行「ナマのおさかな」の続きを読む

ワインの飛行

ワインのフライト。   これは、この10年ほどのあいだにカリフォルニアなどで流行ってきたワインの飲み方だ。   flight of wines とは、簡単にいえばいくつかのワインのこと。group of people とかherd of sheep のように、複数のものをまとめていうときの英語表現である。   レストランで、たとえば3つのグラスにそれぞれちが … »ミスター世界の食文化紀行「ワインの飛行」の続きを読む

LAレストラン・シーン

このコラムは300回を数えたが、ほぼ時を同じくしてLA界隈で僕の食べ歩いたレストランが4000軒を超えた。   それって自慢してるんじゃないの、といわれるかもしれないが、じつは自慢なのです。   このコラムはLAだけではなく、ハワイ、サンディエゴ、シアトルでも読んでいただいていて、それらの地域の方もLAを訪れることがあるだろうし、今回はLAのレストランたちが … »ミスター世界の食文化紀行「LAレストラン・シーン」の続きを読む