「今日はなにを食べに行こうか?」。
「チャイニーズはどう?」。
「そうしよう!」
となったところで、まだちゃんと決まったことにはならない。
チャイニーズといったって、ここアメリカにも、広東、四川、北京、山東、台湾、上海、清真などの料理や、アメリカナイズされた店などがあるからだ。
そのほかの地方の料理や、ほかの国の影響をうけた料理などもいろいろあるのだが、ここではスペースの関係上、主なものだけについて、その料理の特徴と、店の外からの判別方法をお教えしよう。
まず屋号に「館」「楼」「園」などがつくのは山東、北京、上海系などだ。
もし看板の隅などに「中華料理」と書いてあったら、一発で山東に決まり!
中国の山東半島からは、多くのひとたちが朝鮮半島に移住し、その一部がさらにアメリカに来た。
アメリカに来ても客層は韓国人が中心だから、かれらのために「中華料理」と明記しているのである。
中国人なら、じぶんたちの料理を中華料理とは呼ばない。粤菜(広東料理)、川菜(四川)、滬菜(上海)、魯菜(山東)などと区別するのである。
ヨーロッパのひとたちが、「ヨーロッパ料理」とはいわないで、フランス料理や
イタリア料理というのとおなじことだ。事実、それぞれの料理には、そのくらいの大きな差があるのだ。
さて山東料理は、比較的味が濃く、ジャージャー麺をはじめとするソバ類、餃子類の種類が多い。それと、山東鶏など、酢を使った料理も多い。
韓国人は、中華料理イコールこれだと思っているひとも多いから、僕の友人の韓国人は、はじめて広東料理の店に入って、「なぜこの店にはジャージャー麺がないのだ!?」と驚いたそうだ。
広東料理の店は、だいたいどこでも店のなまえが「なんとか海鮮酒家」、英語なら「Seafoodナントカ」だから、すぐわかる。
屋号でなくても、どこかに「海鮮」とか「Seafood」の文字が躍っているはずだ。
それほど、広東(香港もその中に含まれる)の料理にとってシーフードはメインで、店の入口にいくつもの水槽があっていろんな魚が泳いでいたら、文句なく広東料理店だ。
料理の味つけは、洗練された淡泊なもの。ここでは「オカズと白いゴハン」ということはまずない。料理だけを楽しむのである。炭水化物は、食事の最後に麺とかチャーハン、というパターンだ。ランチなどの軽食には、白いゴハン
や、ゴハンの上に料理を乗せた「會飯」を食べることはあるけれど。
日本でいうところのヤムチャはこの広東スタイルだが、小さい品をとって食べる「点心」というのは上海や四川など、ほかにもある。
もし窓に「北方麺点」と貼り出してあったら、北京から北の麺地帯の店。
麺といっても中国語ではソバに限らず、小麦粉を練って作った物の総称で、クレープ状やドーナッツ状の物、餃子などいろいろある。料理の味は濃い目。
中国では「南米北麦」といって、炭水化物についていえば、揚子江から北は麺が主体、南は米が主体なのである。
ついでながら、「南淡北鹹東酸西辣」というのもあって、南は淡泊、北は味が濃い(鹹は塩辛いという意味)、東は酸っぱい、西は辛いという意味で、これは覚えておくと便利です。(次号に続く)
LAではココ!
味」は30点満点、「予算」は二人分です
Young Pung
Garden Groveの韓国人街にある山東料理の店。ヤキ餃子がとてもうまい。
中国語では鍋貼、韓国語ではヤキマンドゥ。もちろんジャージャー麺
もあり。
味:20 予算:-30
9922 Garden Grove Blvd., Garden Grove
☎714-537-6884
Daily 11:00am-9:00pm
Open 7 Days
Elite (名流山荘)
洗練された本格的広東料理の店。店員の感じもいい。
このウェブサイトを見たらきっと行きたくなるでしょう。行く価値十分あり。
味:22 予算:-60
700 S. Atlantic Blvd., Monterey Park
☎626-282-9998
www.elitechineserestaurant.com
Lunch : Mon-Fri 10:00am-3:00pm
Sat & Sun 9:00am-3:00pm
Dinner : Daily 5:00pm-10:00pm
Open 7 Days
(2010年2月16日号掲載)
チャイニーズったっていろいろ①
「ミスター世界の食文化紀行」のコンテンツ
- クジラはなぜ食べてはいけないのか?
- トロピカルフルーツ
- BFV(バックグラウンドビジュアルズ)
- これでトーストがうまくなる(かな?)
- これぞエキゾワイン
- チャイニーズ攻略法 その②
- チャイニーズ攻略法 その①
- 黒いって健康的
- チキンスープを飲みなさい
- ジャガイモだってあなどれない
- カズチャンのカボチャ
- シッポの味
- 音の味わい
- Simple is the Best
- 究極のジントニック
- ウクライナで食べたいな
- ハチャメチャじゃない、ハチャプリ
- 生クリームで広がる世界
- づくしの世界
- パンの食べかた
- 韓国のうどんたち
- トッピング
- なぜロゼ?
- えいさい教育
- いろとりどりなぢどり
- 小さくてもビッグなキノア
- ホンモノイタリアンのみつけかた
- ナマのおさかな
- ワインの飛行
- LAレストラン・シーン
- つらくてうれしい300回
- 音楽は料理をおいしくする
- ニシンの子
- フワフワのカルチョッフォ
- ソターンの色
- ワインのいろもいろいろ?
- ちょっぴー(り)のイタリアン
- モロッコ料理はフランス料理
- ベルギーが一番
- レモンあちらこちら
- 温度の味
- ボケとオタンコのオーバージーン
- バフェーに目移り
- 誘惑のドーナツ
- コーシャーの真理
- エビみその旨味
- 忘れられないサーモンの味
- クレンザー食べたい
- アメリカ家庭料理の代表、ミートローフ
- バカにできないノンアルコール飲料