中国料理店選びシリーズ、次は四川。
四川のことは、英語では「Szechuan」または「Szechwan」。中国では四川料理のことを「川菜」というので、看板のどこかにこのどちらかがあればまちがいない。
四川に辛い料理が多いのは、よく知られているとおり。四川人は十人中九人が痔主だ、とほかの中国人は信じている。
麻婆豆腐の発祥の地。でもこの料理は中国全土でポピュラーなので、どの系統の店にもメニューにのっているから、メニューで見分けるなら、回鍋肉、担々麺(辛いソバ)、豆花魚片(蒸した魚に辛い浜納豆ソース)が、あるかどうかだ。
日本では、激辛とかいって、唐辛子をやたら滅多に入れるのを好む人もいるようだが、唐辛子だけではなく、山椒をからみあわせるのが四川の辛さだ。 そして、辛いだけが能ではない。カニタマ(芙蓉蟹。「芙蓉」とは四川省の省花、ハスの花のこと)や、鍋巴(ごはんのオコゲ料理)も四川の名物で、これらはちっとも辛くない。僕が四川省の成都に行った時にであった、まったく辛くないキノコのスープは、どんなフカヒレスープにも負けない、すばらしく洗練された味だった。
次に、潮州料理(潮菜)。
潮州は広東省の南部で、この地方からたくさんの人々がベトナムなど東南アジアに出て行って、華僑となった。
その人たちがさらにアメリカに来て、多くのレストランを開いている。
屋号に「金」の字が使われているのが見分けかたのひとつ。
潮州、アモイの街のシンボルに金の塔があって、潮州レストラン・オーナーたちは、ふるさとを思って「金」の字を屋号につけるのだ、と聞いたことがある。
それと、ベトナム人の多い地域にあれば、まずはこの系統だ。山東系の店が韓国人の住む地域に集中しているのと同じことだ。
料理は海鮮が主流で広東にも似ているが、ナマコなど乾物を多用し、もう少し日本人にとってエスニックしている。
日本人にとっての魅力は、なつかしい固焼きソバがあることだ。
潮州の炒麺は、香港の炒麺や両面黄とよばれる炒麺とも似ているのだが、太い麺を揚げて、カタクリのアンで具をしっかりからめる。
これにカラシをつけながら食べると、日本の固焼きソバそっくりで、懐かしい。
台湾料理の食文化も、中国料理を語るときには抜かすことはできない。
その最大のものは、シンプルな味つけということだ。材料から出てくる成分に醤油と味の素だけ、というのが彼らがいちばん好む味らしい。
アメリカで、そのシンプルな味を懐かしみたい台湾の人たちのために、台湾料理の店の看板には「家郷」、つまりふるさと料理と記されていることが多い。
「台菜」と書いてあることもある。
麻辣火鍋という辛い鍋は、台湾にある四川料理店がはやらせたもので、台湾人に人気のアイテムだ。
血羔つまり血のかたまり(一見赤い色の豆腐かと思う)、阿宗麺線(ナマ牡蠣入りソバ)や、臭豆腐(その名のとおり臭い豆腐)などがメニューにあるのも特徴だ。臭豆腐などは他の系統の店にもないとは限らないが、甜不辣(テンプラと読み、薩摩揚のこと)。阿給(アゲと読み、揚げ豆腐のこと)など、日本時代のなごりがあればまちがいない。
LAではココ!
「味」は30点満点、「予算」は二人分です
Kimsu-Seafood(金獅茶楼)
ベトナム人街にある典型的ベトナム系潮州料理店。本文に書いた固焼きソバがうまい。
味:20 予算:$30
10530 Bolsa Ave., Westminster
☎714-554-6261
Mon-Thu 9:00am-9:30pm
Fri-Sun 9:00am-10:00pm
Open 7 Days
Chung King(重慶川菜)
重慶市は現在は中央政府直轄だが場所は四川にあり、四川料理の本場。
典型的なホンモノ四川料理が食べられる。
味:22 予算:$30
206 S. Garfi eld Ave., Monterey Park
☎626-280-7430
Wed-Mon 10:00am-10:00pm
Tue 4:00pm-10:30pm
Open 7 Days
(2010年3月16日号掲載)
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