挨拶もポイント

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Mr.世界(挨拶もポイント)

レストランでの食事をエンジョイできるかどうかは、料理のうまいまずいだけではない。
 
サービスが重要なポイントであることはいうまでもない。
とはいっても、ただサーバーがニコニコして、「How’s everything?」となんども聞きにきてくれさすればいい、というものでもないですね。
ときには、料理をテーブルに置いて、「Enjoy!」とひとこといって去っていくサーバーもいる。
「I hope you will enjoy.」かなんかいってくれればいいのだが、食べてみてもいないうちから、「楽しめ!」と命令されても困るんだけどなあ、といつも思う。
 
それはそれとして、「店の雰囲気」というのは、かなりサーバーによってかもしだされるものだ。
たとえばイタリアンなら、店に到着したときに、入り口で「Buona Sera!!」(ボーナセーラ=こんばんは)といわれると、この店は本格的なイタリアンなのかもしれないな、もしかしたらうまいかもしれないな、という期待をうえつけてもらえる。
  
フレンチで「Bon Soir!! 」( ボンソワー=こんばんは!)といわれても同じだ。「Comment allez vous ce soir?」(今晩はいかがですか?)などと聞かれると、この店はおいしいにちがいない!と確信してしまうのである。
 
韓国料理店では、「オソッセヨー」といわれる。
この意味は、「早くしなさい」だ。
店に着いたとたんになぜ「早くしろ!」といわれるんだ??
それは、このことばの由来が、寒い外にいる人にむかって、「早く中へ入って暖まりなさい」というところからきているのだ。
いまはふつうの「いらっしゃいませ」という意味で使われている。
 
ところが、日本人にとってはこの「オソッセヨー」が、「遅いっすよー」と聞こえてしまうのだ。
もう店じまいの時間なのかと思って、「すみません、また来ます」といって帰ってしまった人がいるらしい。
  
中国や台湾のばあい、高級店ならば、入り口にやや美しめの女性が何人か並んで立っていて(どういうわけかものすごい美女はいない)、いっせいに「歓迎光臨!」(ファンイングァンリン)といってくれる。これはけっこう気持ちいい。
自分がやってきたことを、「光が臨んだ」とまで形容してくれるのだから。
日本でも、結婚式で仲人が「ご来賓のご光臨を賜り」などと格式ばって使うが、中国のレストランではふつうに「いらっしゃいませ」として使われる。
 
だが、なぜかアメリカのチャイニーズでは、この「歓迎光臨」を聞いたことがない。
「你好?」というでもなく、やおら「幾位?」(チーウェイ=何人?)と聞かれるだけだ。
 
そこへいくと、日本の「いらっしゃいませ」は、響きもいいし、気持ちのいいものだ。
お客のほうも、「今晩は」などといいながら入っていく。
  
ところが、ある店で、「モシモシ! モシモシ!」と手をふりながら入ってくる人を目撃したことがある。
 
「ん?」と思ってみたら、それはアメリカ人で、どうやら誰かに「『Hello!』を日本語でなんというか」と聞いて、電話のことだと思ったその相手は、「『モシモシ』です」と答えたのだろう。
それを店の入り口で得意になってやっていたが、可愛いアメリカ人もいるものである。
 
LAではココ!
「味」は30点満点、「予算」は二人分です
 
Ambrosia
20世紀中頃(ずいぶん昔のような響きだが)に流行ったオールドファッションさが売りもののフレンチレストラン。週末ディナーのボードビル風の歌もおもしろい。挨拶もサービスもとてもいい。
味:23 予算:$80
801 N. Main St., Santa Ana
☎714-550-0811  www.ocpavilion.com
Lunch: Tue-Fri 11:30am-3:00pm
Dinner: Wed-Sat 5:00pm-10:00pm
Closed on Sundays & Mondays
 
Red
丘の上に建つホテル、その一階でとても景色のいいパティオを伴ったモダンでガラス張りのレストラン。サービスがいいのに印象を受けた。料理はステーキ中心の典型的アメリカン。
味:20 予算:$70
1 Industry Hills Pkwy., City of Industry
☎626-854-2509  www.redrestaurant.net
Lunch: Daily 11:00am-2:00pm
Dinner: Sun-Thu 5:00pm-9:00pm
Fri & Sat 5:00pm-10:00pm
Open 7 Day
 
(2010年4月1日号掲載)

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