前回はイカについて書いたので、そのライバルのタコを無視するわけにはいかない。
アメリカではカラマリはポピュラーだが、タコはマイナーな存在のようだ。
ヨーロッパでも、僕はパリではいちども食べたことがないし、ドイツから北ではまず食べられることはないだろう。
じっさい北ヨーロッパではむかしから、海には船をひっくり返したりする恐ろしい怪物が棲んでいるとされてきて、その絵をみるとまさにタコである。その名をKrakenと言う。
ドイツ語ではいまでもタコのことをそのままKrakenと呼んでいる。これでは食べる気もおきないのだろう。
ところが南ヨーロッパに行けば、突然メジャーな食材となる。
たとえばイタリアのアンティパスト(前菜)。
イタリアのレストランに入ると、いくつもの前菜を大皿にのせてテーブルの上に用意してある店がよくあるが、その中の一品として、タコの足を小さくブツギリにしたマリネは定番だ。
スペインでも、タコを茹でてオリーブオイルをたっぷりかけたものが、タパスバーによくある。
中国ではどうかというと、イカの炒めたものなどは僕も何度も食べたことはあるのにくらべて、タコは食べたことがない。四足は机以外食べるという中国人なのに、いったいなぜなんだろう?
でも近ごろのスシブームではタコのニギリも食べられているみたいだし、台湾やシンガポールの夜市(屋台)では、じっさいに大阪風のタコ焼き屋さんをよく見かける。
僕が外国で食べたタコで想い出に残っているのは、ペルーで食べたセビーチェだ。セビーチェにはいろいろな種類があるのだが、そのひとつ、タコ足をブツ切りにして茹で、レモンでしっかりマリネし、セロリやタマネギなどとまぜたもの。これはうまい。
日本のタコ酢もそうだが、タコは酢っぱさによくあう。
そしてあの弾力がなんとも言えない。
タコ酢といえば、メキシコにタコスというものがありますねえ。
むかしは日本からLAを訪れた友人に、「タコスでも食べようか」と言って、タコ酢のことを言っているのかと思わせてキョトンとさせてよろこんだものだ。
いまは日本でもみんなメキシコのタコスは知っているようだ(タコスはタコの複数形)。
そこでふと疑問に思った。
タコのタコってあるんだろうか?
本場メキシコでは、タコは、じつにさまざまな具を用いる。
だったらタコも使うのでは?
そう思ってインターネットでいろいろ調べてみたら、ありました!メキシコのレシピサイトで見つかりました。 http://www.tortilladigital.com/receta.php?id=629(スペイン語)
タコを小さく切ってオニオンとトマト、シラントロ、唐辛子、ニンニクをくわえ、オリーブオイルで炒める。アツアツのうちに熱いトルティリャに載せて食べる。トマトスライスとアボカドも載せて(本場メキシコ風ソフトタコ)。
やってみました。うまいです!
タコとオリーブオイル、ニンニクの相性はイタリア料理で証明済みだが、さらにシラントロやオニオンの香りが溶けあい、タコ特有の弾力感ともあいまって、ちょっと新感覚の美味。
炒めトマトのせいで、かなりスープっぽく、トルティリャからしたたり落ちて食べにくいのが難点でした。
LAではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
Cecconi’s
超人気の新しいイタリアン。すばらしいイタリア一流プロの味。開放感のある内装も好きだ。タコのカルパッチォ、タコのグリルの前菜がうまい。
味:27 予算:$150
8764 Melrose Ave., West Hollywood
☎ 310-432-2000
www.cecconiswesthollywood.com
Mon-Wed 8:00am-12:00am
Thu-Sat 8:00am-2:00am
Sun 8:00am-11:00pm
Open 7 Days
Cebiche Del Rey
ペルー料理。他にも料理はあるがセビーチェがうりもの。タコのセビーチェをはじめ7種類のセビーチェがあり、それぞれ味つけが異なってとてもうまい。
味:21 予算:$40
7404 Florence Ave., Downey
☎ 562-806-4033
Daily 10:00am-9:00pm
Open 7 Days
(2010年5月16日掲載)
タコのタコ
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