ニーニの好きなパニーニ

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Mr.世界(ニーニの好きなパニーニ)

ヨーロッパ、なかでも特にイタリアやフランスに行くと、いつも感心することがある。
 
有名なレストランで高いおかねを払って食事をすればおいしいことはあたりまえだが、田舎の名もないパパ・ママ・レストランでも感激するような料理が食べられる。
それだけではなく、観光地にミニバンを停めてちょっとしたサンドイッチやコーヒーを売っている屋台のような店、そんなところのサンドイッチがおどろくほどおいしいのだ。
残念ながらアメリカでは、そういうところのサンドイッチは多くのばあいお世辞にもうまいとはいえないので、おおいに感激するわけだ。
 
だいぶまえ、フランスの城壁の町カルカソンヌにたちよったとき、駐車場にレンタカーを停め、そのコーナーで売っていた屋台のパニーニを買って車に持ってかえって食べた。
いまカルカソンヌを想いだすとき、なぜかその町の景色はちっとも想いだせないのに、パニーニのうまさに感激したことがはっきり想いだされる。 フランスだから、パンそのものがおいしい。
そして、はさまれているチーズやハムがうまく、さらにフランスの田舎の野菜の多くがそうなのだが、トマトやレタスがえらく香りがいい。
そして、これをパニーニ専用の、鉄板二枚を熱したグリル器で焼く。
パニーニはイタリアがオリジナルで、当然イタリアならどこにいってもあるし、バルやカッフェで食べられる。
 
アメリカにもコーヒーショップなどにグリルド・サンドイッチはあるのだが、食パンをトーストしたあとに缶詰のツナなどをはさんだだけだ。
イタリアやフランスでは、具を何種類かはさんでから、ギュッとグリルする。
冷たいパニーニを好むひともいるので、必ずグリルするというわけではないが、これによって、パンに少し焦げ目がついて香りが数段よくなり、さらに、温まった具とパンの風味がよくなじみあう。そしてチーズが少し溶けて、風味がさらに増す。
「パニーニ」(panini)とは、イタリア語の「パン」(pane)に「小さい」という意味の接尾語-inoがついた「パニーノ」(panino)、それが複数形になったものである。
パンの種類はそれ専用の、バゲットの幅を広げたようなものだ。
イタリアにはアメリカや日本にあるような、四角いトースト用のパンを使ったサンドイッチもあって、やはり屋台のミニバンで売っている。
これは「トラメツィーノ」(tramezzino)といって、パニーニと区別されている。
通常半分に切って三角形にし、プロシュート(生ハム)やチーズをはさむ。これはこれでまたうまいのです。
 
パニーニは、アメリカでもありがたいことに食べられる店がふえてきた。
僕は、甥や姪から、「ニーニ」(お兄さんの意)と呼ばれているので、パニーニを食べるといつもかれらを思いだす。ふと気がついたのだが、イタリアには、名前に「ニーニ」のついた人が多い。
音楽関係では「パガニーニ」「トスカニーニ」「ベルニーニ」、映画監督の「ベニーニ」や「ジャンニーニ」は有名だが、他にも「マンニーニ」「ピッチニーニ」「アントニーニ」「ナンニーニ」。 そして「パニーニ」という人さえいるのである。
 
LA&OCではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
 
Francoli Gourmet
ファッションアイランドにあった僕の「10 favorite restaurants in LA」(2008年秋のライトハウス増刊号)のひとつがオレンジ市のダウンタウンに引っ越した。Favoriteの理由のdog friendlyという点はなくなったが、料理やパニーニはあいかわらず高得点。
味:23 予算:$70
100 S. Glassell St., Orange
☎ 714-288-1077 www.francoligourmet.com 
Daily 10:00am-11:00pm
Open 7 Days
 
Panini Cafe
その名もずばり、パニーニ・カフェ。ダウンタウンにあるペルシャ・イタリアの店で、パティオが気持ちいい。もちろんパニーニの種類も多く楽しめるが、シシカバブなどのペルシャ料理がうまい。他にもBeverly Hills,Corona Del Marなどに店あり。
味:22 予算:$50
600 W. 9th St., Los Angeles
☎ 213-489-4200 www.mypaninicafe.com
Daily 8:00am-10:00pm
Open 7 Days
 
(2010年6月16日号掲載)

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