ヌードルとはなんのことでしょう?
ソバのことに決まってるじゃん。
…と多くのひとは思うでしょうが、そうものごとは簡単にはいかないのが現実ですねえ。
noodleには、ラビオリ、ラザーニャやファルファーラ(蝶ネクタイの形をしたパスタ)なども含まれるし(Wikipedia)、そうなると日本語の「ソバ」というイメージとはちょっとちがう。
つまり英語のヌードルとは、細長かろうが丸かろうが、小麦などの粉を練ったものを指すわけで、knead(練る、こねる)ということばとも関係しているわけだ。
ドイツにもKnödel(クヌードゥル)というポピュラーな食べものがある。肉と小麦粉をいっしょに練った肉団子で、これもその名のとおり、noodleの親戚だ。
そこで中国に目を転じてみると、似たようなことになっているのに驚く。
「麺」という文字は、ソバのことを表わすのではなく、やはり小麦粉を練ったものの総称である。
たとえば餃子、あるいは葱油餅、銀絲巻といったパンのたぐいも、いや、西洋のパンでさえも麺に含まれる。
長細い麺はというと、たとえば拉麺のように、小麦粉で作ったヌードルは麺というけれど、ビーフンは「米粉」、米から作ったキシメン状の太いヌードルは「河粉」とか「粿條」といって、麺とは別のものとされている。
おもしろいのは、ラザーニャだ。
これを中国語で「千チェンツェン層麺ミイェン」という。
念のため断わっておくが、ほんとうに層が千あるわけじゃないんです(実際は四つか五つかな?)。
「白髪三千丈」文化の中国ならではのネーミングであろう。
…と思ったら、まてよ、フランスにもmillefeuille(ミルフィーユ)というお菓子がある。これは「千の葉」という意味で、念のためいっておくと、ほんとうに千の層になっているわけじゃないんです(こっちは20か30か)。
おもしろい共通点だ。
共通点といえば、やはり麺の一種、葱油餅。
これは日本のひとがあまり知らない、中国でも特に上海、北京、台湾の食べもので、僕も友人と食事するときにこれを注文すると、いつも喜ばれる。
小麦粉を練ってネギを練りこみ、クレープ状に丸く焼いたものだ。
これをおいてある店に行かれたら、ぜひ白いゴハンではなくこれを頼んで、オカズといっしょに食べてみてください。
チャイニーズのあたらしい発見になるはずです。
じつは、この葱油餅が、イタリアのピザの起源であるという説を信じている中国人が多いらしい。
ピザ(中国語で「比薩餅」)は、中国から帰ったマルコ・ポーロが、葱油餅がもういちど食べたくて、料理人に作らせてみたが、うまくネギを中に閉じ込めることができず、やむなく上に乗せて焼かせたのがピザだったというのだ。
中国人は、スパゲッティもやはりマルコ・ポーロが中国から持っていったものだと信じていて、イタリア人にまでそう信じさせている(僕がイタリア人に聞いた)。
たしかに姿かたちが似ているからしょうがないが、いずれも文献的に否定されている。それぞれ独自にうまれて発展したものなのだ。
でも、麺とヌードル、食文化って、東西で偶然おなじように生まれて発展したりして、おもしろいですね。
LA&OCではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
Liang’s Village Kitchen(梁媽媽家)
台湾系の麺専門店。さまざまな麺と、ちょっとした小皿がたくさんある。 麺はドライ麺、スープ麺、いろいろな味つけと麺の種類がある。人気店 で、いつも混んでいる。
味:20 予算:$20
1027 S. Baldwin Ave., Arcadia
☎ 626-462-0815 www.liangscuisine.com
Daily 11:00am-10:00pm
Open 7 Days
Michael’s on Naples
ロングビーチはベルモントショアーにある、小さく目だたないイタリア ン。だが中へ入るとなかなかおしゃれな店。点数でわかるように味は一 級品。サービスは家庭的。屋上のパティオがロマンティック。
味:26 予算:$100
5620 E. 2nd St., Long Beach
☎ 562-439-7080 www.michaelsonnaples.com
Sun-Thu 5:00pm-10:00pm
Fri & Sat 5:00pm-11:00pm
Open 7 Days
(2010年8月1日号掲載)
ヌードル?麺?
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