東南アジアのうまみ

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Mr.世界(東南アジアのうまみ)

チャーハンって、おいしいですね。
 
僕はチャイニーズ・レストランに行くときはよく、「今日はチャーハンを頼もう!」と思って行くのだが、結局メニューを見ると目移りしちゃって、料理をごっちゃり頼んでお腹を一杯にしてしまう。
白いゴハンもとても素晴らしい食べものだが、味のついたゴハンってなんであんなに魅力があるのでしょうね。でも、チャイニーズのチャーハンだけがおいしいチャーハンではない。
 
タイレストランで、チャーハン食べたことありますか?
タイのチャーハン(カオ・バット)には、チャイニーズとはまたちがう、何かがある気がする。
それは、「うまみ」ではないかと思う。
甘い、酸っぱい、塩からい、苦い、と並んで五基本味のひとつとされる「うまみ」だ。
ナンプラーのせいに違いない。
ナンプラー、つまり魚を発酵させて作った調味料には、イノシン酸やグルタミン酸などの「うまみ」成分が豊富で、チャーハンの味に深みがでる。
チャーハンだけではない。タイレストランでは、トムヤムクンやパッドタイのようなスパイスの効いた料理とは別に、野菜炒めのような、シンプルなものも試してほしい。
そこにもチャイニーズとはちがう何かを感じるはずだ。
 
タイ料理では、ほとんどの料理に使われる調味料だが、さらにうまみを補強したい、ついでに辛さもレベルアップしたい!と思ったら「プリックナンプラー」をリクエストしてみるといい。
これはナンプラーの中に強烈に辛い小粒の唐辛子、プリッキーヌを細かく刻んでいれたもの。
タイに行くと、ほとんどのレストランには、これがテーブルにおいてある(LAのタイレストランのテーブルによくある、ハラぺーニョの酢漬けとは違う)。
この唐辛子が小粒でも激烈に辛く、大変危険なのだが、シンプルな料理、たとえば魚のフライなどにかけると、すごくうまくなる。
 
さてそのナンプラー、ベトナムに行けば「ニョクマム」、フィリピンでは「パティス」、カンボジアは「トゥック・トレイ」と、名前こそ変われども、魚醤は東南アジア料理には絶対に必要不可欠な調味料である。
日本の「塩汁(しょっつる)」、ラオスの「ナンパー」、南中国の「魚露(ユーロウ)」、インドネシアのケチャップ…。
 
え?ケチャップ?
 
そう、インドネシアでは、テーブルの上にかならずといっていいほど、ケチャップが置いてある。でも、赤くない。真黒な液体である。
僕は以前、トマトケチャップがインドネシアに渡って、何かがまちがって、あのたまり醤油のような魚醤ソースをケチャップ(ケチャップ・イカン)と呼ぶようになったのだ、と勝手に想像していた。
 
ところが調べてみると、逆なのですね。
ケチャップとは、もともと福建省や、インドネシアなどにいる福建省出身者が使う「鮭汁」(ケチャップと読む)という魚醤のことだったらしい。
それがヨーロッパに伝わって、トマトに姿を変えたらしい。
 
世界に広まったもの、とヨーロッパ人がむかし固く信じていた誤りを、僕もおかしてしまったわけです。反省します。
 
LA&OCではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
 
Cancoon
あるタイ人に一番好きな店は?と聞いたら返ってきた答えがこの店。 た しかに行ってみるとお客はタイ人でいっぱい。 香草をしっかり使った、 パンチのある味。
味:21 予算:$20
9887 E. Alondra Blvd., Bellfl ower
☎ 562-925-0993  
Tue-Sun 11:00am-9:00pm
Closed on Mondays
 
Indo Café
インドネシア料理の店はLA界隈に20軒以下しかなく、 なぜか長続きし ない店が多いのだが、 この店は長い間オーセンティックさと人気を保っ ている。
味:2 0 予算: $20
10428 National Blvd., Culver City
☎ 310-815-1290 
Sun-Thu 11:30am-9:30pm
Fri & Sat 11:30am-10:00pm
Open 7 Days
 
(2010年12月1日掲載)

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