いま、南インドに来ている。
ことしの正月はムンバイで迎えた。
インド北部は何回か旅をしたのだが、南インドの観光旅行は今回が初めてだ。
パワーと無秩序、贅沢と貧困、そしてヒンズー教の強烈な精神世界。インドには世界に二つとない、僕をひきつけてやまない、独特の魅力がある。
そして、もうひとつの魅力は?さーていったいなんでしょう?
バレちゃったかな。そう、インドの食べものです。
以前、このコラムで世界5大料理というテーマをとりあげ、フランス、イタリア、広東、日本と並んで、インドをあげたことを覚えている読者もおられるだろう。
今回の旅行も、ほんとうに毎食が楽しくてしょうがない。スパイスの楽しさ、味の奥深さと洗練度、料理や食材のバラエティー、土地土地の個性。僕にとってはまぎれもない世界トップクラスの国だ。
そのなかで、これはライトハウスの読者にもご紹介しなくちゃ、と思ったのが、この南インドの朝食の魅力だ。
インドの朝食、メインはもちろんカレー。
ベジタリアンの多い南インドのこと、野菜カレーだ。
「カレー」という名の料理が出てくるわけではない。
日本でならカレーと呼ばれるであろうところの、香辛料たっぷりの辛いスープ、サンバル。これがかならず出てくる。
さまざまな香辛料が入って、いわば辛いミネストローネのような感じ。
日本もそうだが、朝食にスープを飲むという習慣、これは世界でも珍しく、日本人にはそれだけでもほっとするものがある。
そこに、いくつかのパン類が用意されている。それらをいっしょに食べたり、サンバルに浸して食べる。
「イドリー」という米の粉を練って少し発酵させ、蒸したパン。
「メドゥ・ベーダ」という甘くないドーナツ。これの揚げたては、表面がチャリッチャリッと軽〜く歯ごたえがあって、とても心地いい。
「スジカハルワ」という、ちょっと甘いポレンタのような麦のおかゆ。
プーリという風船のようにフワッとふくらませたセンベイ。
「ポンガ」という生姜入り米の柔らかいおかゆ。
そして、「ドサ」。これも南インドを代表する食べものだ。
米と豆の粉でクレープのように丸く薄く延ばして焼いたものだ。ホテルの朝食バフェでは、他の国ならオムレツ・ステーションがあるように、ドサ・ステーションがあって、頼むと目の前で焼いてくれる。この焼き立てがカリッとして香ばしくて、とてもうまい。
そのドサで、ポテトカレーを巻いて食べるのが「マサラドサ」。
それにさまざまなチャツネ(ココナツや果物、コリアンダーなどのペースト)をつけながら食べる。
そしてこれらを、熱くて濃〜い、スパイス入りミルクティー(マサラティー)を飲みながら食べる。
それぞれに、どれとどれのスパイスが入っているかは知らねども、「目がさめる」という薬効のあるスパイスも入っているにちがいない。
すっきりさせてくれるものはないのである。
LA&OCではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
Vasantha Bhavan
ほんの一マイルくらいの距離に17軒のインド料理店がひしめきあうリ トルインディア。約半分が南インドの店だ。その中で僕の評価はこの店 が高い。野菜だけでなぜこんなにおいしい料理ができるのか。
味:22 予算:$20
11321 E. 183rd St., Cerritos
☎ 562-809-1600 www.vasanthabhavan.net
Tue-Fri 11:30am-9:30pm
Sat & Sun 11:00am-9:30pm
Closed on Mondays
Annapoorna
北と南、両方のインド料理を数多くメニューにそろえた店。ドサの種類 もどっさりある。週末の昼のバフェは大人気で混雑。サンバルもイドリ もあるし、ドサは頼むと追加料金なしで持ってきてくれる。
味:22 予算:$25
14450 Culver Dr., Irvine
☎ 949-651-1144
Lunch: Tue-Sun 11:30am-3:00pm
Dinner: Tue-Sat 5:30pm-10:00pm
Sun 5:30pm-9:30pm
Closed on Mondays
(2011年2月1日掲載)
南インドの朝ごはん
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