チャイニーズは値段も安いしおいしいし、早いし、食材の種類がいろいろ食べられて健康にもいいし、家族みんなでいろんな料理を一緒に楽しむことができるし、いいことばかり。でも、もしかして、ひとつだけちょっと不満に思うことがありませんか? そう、デザートです。
フランス料理などにくらべると、食後に食べる甘いものの種類が少ない。広東料理の店には、おしるこに似た「紅豆沙」や、マンゴー味のプディング、ヤムチャで出てくるゴマ団子などもあることはあるが、だいたいそんなところで、種類が少ないのは否めない。あとは北京系、山東系の店にある、「抜絲」という大学芋に似たデザート(それについては以前書いたことがある)あたりしか見かけない。
日本の中国料理店にいたっては、むかしもいまも、デザートというと判で押したように「杏仁豆腐」か「月餅」しかでてこない。中国のデザートというと、それしかないと思っている日本人も多いのではないだろうか。ところが、上海料理店はちがうのだ。チャイニーズの甘いものは、上海にあり!華的甜品在上海! たとえば、桂花酒醸圓子(グイフワチューニャンユァンツ)、酒醸湯丸(チューニャンタンワン)ということもある。発酵させた米から作ったスープ、つまり軽い甘酒のような温かいスープに、ゴマをペーストにしたアンを詰めた白玉団子を浮かべたものだ。
日本の甘酒よりさっぱりとして後口がよく、食後にこころがほっと温まる食べものだ。桂花とは金木犀のことで、その葉が香ばしい。八寶飯(パーバオファン)。モチ米を甘くシロップで煮たもので、いわば中国版おはぎ。龍眼の実や果物のコンポートがちりばめてあり、見た目にも美しく、茹でたあずきの粒やハスの木の実などの食感も楽しい。
これはけっこう腹にドンとくるアイテムなので、デザートというより、食事中にはご飯モノをとらずにいて、最後のコースにご飯モノ兼デザートとして食べることをお勧めする。桂花栗子羹(グイフワリーツガン)。栗をいれた甘いスープ。羹というのはトロトロしたスープ。これも金木犀がはいる。
豆沙鍋餅(ドウシャゴービン)。小麦粉のモチに中にあずきのアンコを入れ、フライパンで焼いたもの。豆沙酥餅(ドウシャスービン)。前出のモチを、油で軽く揚げたもの。酥という字は、「サクサクした」という意味で、軽い食感がおなかがいっぱいの食後にぴったりする。
棗泥拉(ザオニーラーガオ)。蒸したデーツ(なつめやしの実)から作った羊羹。棗泥鍋餅(ザオニーゴーピン)。なつめやしから作ったペーストを入れたモチ。そのほかにも豆沙(あずき)や芝麻(ゴマ)を使った甜品が店によっていろいろある。どうです、どれもちょっと珍しく、食べてみたくなってくるでしょう。
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【上海系(上海市の南にある浙江省や、北にある江蘇省の料理を含む)の店のみわけかたは、店の名や窓のサインなどに「上海」「滬」「浙」「江」「蘇」などの字があること、メニューに小籠包があることなど。それに店員の感じがいい!台湾出身者の店にも上海料理の店が多い】
(2011年6月1日掲載)
華的甜品在上海!
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