以前、愛犬ポチを連れてヨーロッパを二ヶ月ほど旅したことがある。
なにが楽しかったといって、フランスでもドイツでもスイスでも、ホテルはもちろんのこと、ほとんどのレストランに犬と一緒に入れるということだ。
高級レストランでさえも、ちゃんと室内に一緒に入ることができて、テーブルの足もとに座らせて食事ができる。
アメリカではこうはいきませんね。
すべてのレストランで、室内に連れて入るなんてとんでもない。パティオのある店ならごく少数の店で許してくれることもあるといった程度だ。
これが僕としてはとても悲しい。
じつは僕には子供がいない。犬が文字通り家族の一員なわけで、レストランに入って一緒に食事をしたい、という気持ちは、子供を連れて一緒に食事をしたいという親御さんの気持ちとまったく変わりはないはずだと思う。
もちろん、衛生面の配慮がその理由なのだろうが、ヨーロッパの犬とアメリカの犬って、そんなに衛生状態がちがうのだろうか?
自分の家ではベッドで一緒に寝る愛犬を、「あなたの犬は不潔だから、うちのレストランに一歩も足を踏み入れさせないでください」、と言われたのと同じ感覚で、とても寂しい気持ちになる。
ヨーロッパとアメリカでは、ペットに対する考えかた、もしかすると長いあいだの文化的な背景のちがいがあるのかもしれない。
極端に言えば、ヨーロッパではペットとしての犬の歴史が長く根づいていて、アメリカではカウボーイが牛を追っかけるときの相棒という感覚から抜け切れていないのだろうか。
アメリカでは躾ができていない犬が多いという説もある。
ま、なにはともあれ規則は規則だからしょうがないのだが、じつは最近すこーしアメリカでもPets Welcomeという店が増えてきたような気がしないでもない。
入れたとしても屋外のパティオだけで、室内には入れないけれど、それだってかまいません。一緒にいられればいいのです!
店のほうとしても、家族の一員はOKにしたほうが、家族連れのお客が増えるということに気がついてくれたのかもしれない。
というのも、このあいだとってもドッグフレンドリーな店をみつけて、とてもうれしかったのだ。
Huntington Beachのあるレストランで、パティオにはカウチやラウンジチェアーもあり、ワンちゃんたちもその上に乗ったってかまわない。膝の上に乗せてリラックスしてワインを飲んだりチーズをつまんだりもできるのだ。
店の人も「Hi pooch(ワンちゃん)!」などと声をかけてくれるし、水の入った犬用のボウルを持ってきてくれたりする。こういうのは昔はまったくなかったことだ。
Huntington Beachには、LA界隈でももっとも広いドッグフレンドリー・ビーチもあり、自由に駆け回させることができる。ここはすばらしいですよ。
そしてNewport Beachのファッション・アイランド。ここではショッピング・モールの中に犬を連れていって買いものをすることができる。LAではとても珍しいモールだ。
レストラン・オーナーの皆さん、レストランに愛犬と一緒に入れれば、食べる料理がもっとおいしく感じることができるのです!
(2011年9月1日号掲載)
増えろ!ドッグフレンドリーの店
「ミスター世界の食文化紀行」のコンテンツ
- 二百カ国のよろこび
- まだある!眺めの良いアウトドア・バー
- ひらめとかれい
- バゲット・サンド
- 雨のワンタン麺
- 機内食昨今
- 華的甜品在上海!
- 雪濃湯を薬味にネギをどうぞ
- アミュージングなアミューズ
- プティフール
- 中韓オコゲバトル
- イタリアンチーズの魅力
- マイドギーバッグのすすめ
- 今日はcurries
- 南インドの朝ごはん
- ウサギおいし、かの山
- ホンバの焼肉②
- ホンバの焼肉①
- 東南アジアのうまみ
- ラストスパートにディジェスティーフ
- まずはアペリティーフを
- さんさい鍋
- 温故鴨知新鴨
- ゆかり
- ツケ麺はかっこいい
- マロウの必然と偶然
- ヌードル?麺?
- トマトとトマト
- 食在哪里?
- ニーニの好きなパニーニ
- コリアンダーを見直そう
- タコのタコ
- からまわりステーキ
- ホントのサービスとは?
- 挨拶もポイント
- チャイニーズったっていろいろ③
- チャイニーズったっていろいろ②
- チャイニーズったっていろいろ①
- 和洋カラシ談義
- ザガットの利用価値
- 酢豚の文化
- アボガドの生命力?
- マルガリータとマーガリン
- ケニアで食べた味
- ちょっとコワイ中国料理
- イギリスって 食べものがおいしい!
- モッツァリしたモッツァレッラ
- アイスコーヒー???
- デンマークでウィーン
- デザートに抜糸を