「今日はカレーにしよう」。「わーい!」。と、どこの家でも歓声があがるほど日本ではポピュラーなカレーライス。言うまでもなく、インドで生まれ、イギリスに渡り、日本に伝来した食べものだ。
じつは、日本に伝来したあと、カレーライスはそこで歩みを止めたわけではない。そこからさらに先をめざしたのだ。
台湾と韓国にも到達し、この二ヶ国でもカレーライスは完全に食文化に根付き、いまではとてもポピュラーな食べものだ。
台湾では咖哩飯という。咖哩とはもちろんカレーの当て字だ。
これがウマイのですね。
日本のカレーとはちょっとちがう。日本でも戦前はこういうカレーを食べていて、それが日本統治時代の台湾に渡り、いまに残っているらしい。
まず、色が黄色い。
ターメリックはたくさん使うが、そのほかの香辛料、たとえばキュミンやカルダモンはあまり入らないからだ。色だけではなく、食べてみると日本のカレー、ましてやインドのカレーのように複雑な香辛料がからみあったという味ではなく、シンプルでストレート。
グもちがう。
じゃがいもが入らないことが多い。肉もあまり入らない。そのかわり、ピーマンと玉ねぎが大きなブツ切りで入る。けっこうクセになる味である。香港や上海でも近年は同じようなカレーがポピュラーだが、僕は台湾から入ったものではないかと思っている。一方、韓国のカレーもやはり統治時代に入ったのだろうが、その後日本と同じように発展して、日本のいまのカレーにとても近い。色は台湾よりもっと茶色いし、ドロッとしている。肉も入る。
日本との最大の違いは、掻き混ぜることである。
日本人の多くは、白いごはんの上に乗ったカレーを、端からスプーンで切り崩しながら食べていきますよね。僕もそうで、カレーの部分と白いゴハンの部分が微妙にムラがあるのが好きで、ひと口ずつ、カレーの濃いところ、ほぼ白飯だけというところ、そしてその中間、この食べ分けがすごく楽しいのだ。韓国人はそういう考え方にはまったくクミしないらしい。
掻き混ぜる。なにしろ掻き混ぜる。
あるとき韓国料理店で食事をしていたら、となりのひとがカレーを注文した。興味をもって観察していたら、皿が到着し、かれはスプーンを取り上げてカレーとライスを掻き混ぜ出した。数えていたら、ひと口目を食べるまえに、なんと85回掻き混ぜた。ホントです。
つまり、ゴハンのひと粒ひと粒の隅々まで、満遍なくカレーがまぶされ色がつくことを確認して、はじめて彼らは口にするのである。
ドルソッカレーというものもある。ドルソッ・ビビンバという石の釜で温めたビビンバがあるが、あの要領でカレーライスがでてくる。これはかなりうまい。
それと、日本では福神漬けかラッキョウがついてくるが、韓国のばあいはというと、まあ言うまでもないですね、キムチがついてくる。
いちど元祖インド人に日本、台湾、韓国のカレーを食べくらべてもらって、どれがいちばんうまいと思うか聞いてみたいと思っている。
LAではココ!「予算」は2人分です
Canaan(迦南美食)
台湾・上海料理の店で、開店したり閉店したりの激しいチャイニーズにあって、人気を保っている。小籠包や台湾風チキンカレーライスがある。
予算:$15
11610 South St., Artesia
☎562-809-8369
Lunch: Mon-Fri 11:00am-3:00pm
Sat & Sun 8:30am-3:00pm
Dinner: Mon-Fri 4:30pm-10:00pm
Sat & Sun 3:00am-10:00pm
Open 7 Days
Curry Hyang
カツカレーやパスタ、オムライスなど、日本の洋食屋さんと似たメニューがいろいろある韓国系洋食屋さん。シーフードカレーやカニコロッケでも有名。
予算:$20
3068 W. 8th St., Los Angeles
☎213-389-0800
Mon-Sat 10:00am-10:00pm
Sun 12:00pm-8:00pm
Open 7 Days
(2011年12月1日号掲載)
カレー・咖哩・카레
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