イタリアのデザート、いろいろあります

ライトハウス電子版アプリ、始めました
Mr.世界(イタリアのデザート、いろいろあります)

「ティラミス」っていうデザートがありますね。あれって、どういう意味だか知ってますか?
スペルは「tiramisu」、分解すると、〝Tiramisù!〞 、つまり「わたしを上に引っ張りあげて」という意味になる。
ちょっと意味深ではないだろうか。
一説によると、男性といっしょに食事をしている女性がデザートにこれを注文したら、「今晩は私をハイな気分にさせて!」というメッセージを発信しているのだそうだ。
あくまでも一説で、僕はいまのところそういう発信をされたことはないですけど。
 
エスプレッソの香りがポイントだ。
レイディフィンガーとよばれる指の形をしたビスケットに、エスプレッソとザバイオーネというカスタード、それにマスカルポーネチーズをまぶし、型で固めたケーキである。表面にはココアパウダーをふりかけるのが定番だ。このココアパウダーに僕はよくむせる。
おいしいデザートであることはまちがいない。
 
でも、僕もいままでにこれを何回食べたかわからないし、あまりにもポピュラー、別の言いかたをすると月並みで、アメリカにあるいわゆる「イタリアン・レストラン」のデザートメニューにこれが載っているのをみると、ちょっとがっかりする。
いわゆる「フレンチ・レストラン」で、クレム・ビュレーをみつけるとがっかりするのと双璧をなす。
 
たまにはちがうものが食べたい!
 
僕がイタリアンのデザートメニューにみつけてうれしいのは、アフォガートだ。
「affogato」というのは「溺れた」という意味で、バニラ・アイスクリーム(またはジェラート)に上から熱いエスプレッソをたっぷりかけて浸したもの。
アマレットなどのリキュールを使うこともあるが、僕はエスプレッソ・バージョンが好きで、アイスクリームとコーヒーの相性って、なんてすばらしいんだろうと思う。
日本でいうクリームコーヒー、つまりコーヒーフロートと味が似ているが、濃くて香り高いエスプレッソを使うところで差がでる。
 
そのほか、ときどきイタリアン・レストランでみつける、うれしいデザートはこんなものがある。
パスタやビスケットを巻いて、中にリコッタチーズやクリームを詰めたカノーリ(cannoli)。
スポンジケーキのカッサータ(cassata)。やはりリコッタチーズと、ドライフルーツが入った、シチリアのデザートだ。
ズッパというのは、スポンジケーキやレイディフィンガーをハーブのリキュールなどで浸したもの。Zuppa、つまりスープというだけあって、ビタビタになっているところがうまい。
 
まだまだあるのだが、どれにしても、僕はデザートと一緒にコーヒーはたのまない。
口の中を甘さで満たし、「コーヒーが飲みたーい」、という気持ちを高めておく。
食べ終わって、さらにひと呼吸おき、コーヒー飲みたい気分を極限まで高めておいてから、濃い熱いエスプレッソをたのみ、ひとくちでキューッと飲む。いいですねー。
 
これこそが、僕にとってはいちばんハイな時である。
 
LA&OCではココ! 「予算」は2人分です
 
Locanda Veneta
大昔からあるLAでは老舗の、しかしホンモノイタリアの店のひとつ。アフォガートもティラミスもある。
予算:$100
8638 W. 3rd St., Los Angeles
☎310-274-1893 www.locandaveneta.net 
Lunch: Mon-Fri  11:30am-2:30pm
Dinner: Mon-Fri  5:30pm-10:30pm
Sat  5:30pm-11:00pm
Sun  5:00pm-10:00pm
Open 7 Days
 
Francoli Gourmet
オレンジ・カウンティーでは僕の評価のもっとも高い店のひとつ。もちろんホンモノイタリアン。カノーリもカッサータもある。
予算:$80
100 S. Glassell St., Orange
☎714-288-1077 www.francoligourmet.com
Daily 11:00am-10:00pm
Open 7 Days
 
(2012年1月16日号掲載)

「ミスター世界の食文化紀行」のコンテンツ