最近なにかと話題になっている国のひとつに、ギリシャがありますね。
国の財政は逼迫しているらしいが、そのニュースを聞くたびに、それでもきっと、ひとびとは毎日おいしいものを食べているんだろうな、と思う。
この国も、前回書いた隣国トルコとおなじくらい、世界の中で食べものがもっともおいしい国のひとつなのだ。僕に言わせれば、両方とも世界のベストテンに入れてしまいたい。
そのトルコとは、距離が近いからこそ、なにかと歴史的に齟齬(そご)があった関係だし、言語もまったくちがうし、人種も宗教も異なるのだけど、こと食文化に関してはよく似ている。
どの国どうしでも、距離が近ければ、食文化だけは似ているものなのだ。
さて、なぜギリシャはおいしいか。
まず食材がいい。
僕はギリシャに行くたびに、トマトに感激する。
トマト、きゅうり、オリーブ、タマネギ、フェタチーズからなるグリークサラダ(horiatiki salata)は毎食毎食、何日間続けて食べてもぜんぜん飽きない。
トルコ同様、メゼ(meze)とよばれるさまざまな種類の前菜がおいしく、夏の夜、レストランのテラスで、ワインを飲みながらいろいろな種類のメゼを食べるのは心底楽しいものだ。
料理は比較的シンプルなものが多く、材料のよさを楽しむのが中心である。
魚を炭で焼いて、オリーブオイルをかけただけのものなんて、いいですねえ。
スブラキ(souvlaki)という、トルコのシシカバブ同等品、ドルマデス(dolmades)という、オリーブの葉で米や肉を包んだもの、さらには地中海の幸、イカやタコ、エビのたぐい。
アラブ料理の影響までいろいろ受けている。アラブ発、アラビア語源のムサカ(ナスとトマトを何層かに重ねてオーブンで焼いたもの)も名物で、とてもおいしい。むさかそんなものまであるとは思わなかったでしょう。
「レストラン」と書いたが、じつはギリシャのカジュアルなレストランは、「食べるな」と呼ばれる。
そう、ταβέρναというギリシャ語は、ローマ字にすればtaverna、「食堂」といった意味だ。
そのタベルナで食べるとき、おもしろい習慣がある。お客がキッチンにズカズカと入っていって、冷蔵庫を開けてもらい、その中にある材料から「これとこれで料理を作って」、なんて頼むことができることだ。
これってとても楽しい。
だいたいギリシャ人の食堂の店主って、気さくで明るい人が多いから、冗談など言い合いながら、たとえばいくつか入っている新鮮な魚の中から一尾選んでしばし待つと、きれいに炭焼きされてテーブルに到着するということになる。
ギリシャのワインがまたいいんですね。
太陽の香りがする。ドライで、フルーティーで、ギリシャワインならではの特徴があるのだ。フェタチーズなどとすごくよくあう。
松ヤニ入り、なんていうワインもあって(retsina)、かなり特徴的な香りだ。ギリシャ人に聞いたら、彼らのあいだでも好き嫌いがあるらしいが、僕は好きだ。
これを書いているだけでまた行きたくなった。タベルナに行って、消費税も払って、財政改善を助けてこようかな。
LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Kentro
フラトンに新しくオープンしたカジュアルなギリシャレストラン、というよりもタベルナという感じの店。
料理はとてもオーセンティック。種類も豊富でどれを食べても味がいい。店員もとても親切。
予算:$60
100 S. Harbor Blvd. Suite A, Fullerton
☎714-278-0944 www.kentrogreekkitchen.com
Daily 11:00am-10:00pm
Open 7 Days
Ulysses Voyage
僕の思うところLA界隈でいちばんおいしいギリシャ料理のレストラン。
ファーマーズマーケットに隣接して、作りはファンシーだが、味はオーセンティック。
予算:$100
6333 W. 3rd St. #750, Los Angeles
☎323-939-9728 www.ulyssesvoyage.com
Mon-Thu 11:00am-10:00pm
Fri-Sun 11:00am-10:30pm
Open 7 Days
(2012年3月1日号掲載)
ギリシャ料理とは
「ミスター世界の食文化紀行」のコンテンツ
- クジラはなぜ食べてはいけないのか?
- トロピカルフルーツ
- BFV(バックグラウンドビジュアルズ)
- これでトーストがうまくなる(かな?)
- これぞエキゾワイン
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- チャイニーズ攻略法 その①
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- ハチャメチャじゃない、ハチャプリ
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- づくしの世界
- パンの食べかた
- 韓国のうどんたち
- トッピング
- なぜロゼ?
- えいさい教育
- いろとりどりなぢどり
- 小さくてもビッグなキノア
- ホンモノイタリアンのみつけかた
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- ワインのいろもいろいろ?
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