みんなで仲良く食べましょう

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Mr.世界(みんなで仲良く食べましょう)

チャイニーズレストランに行くと、お箸が長いことを不思議に思ったことがありませんか。
じつはあれは、テーブルにおかれた大きな皿を、みんなでつっついて食べるという中国式の食べかたと関係がある。
箸が長いほうが、遠くにあるお皿に届きやすいというわけだ。
日本人の多くは、チャイニーズを食べるばあいでも、大きなお皿から自分用の小皿にいったん取り分けてから食べる。
でも中国人は、ウェイターが取り分けてくれるような高級店は別として、ジカ箸で手をのばしてお皿をつっつく。
家族だけに限らない。知らないひとどうしでもそうだ。たとえば当地に中国から団体旅行で来たひとたちを見ると、たまたま旅で一緒になった他人どうしでも、平気で同じお皿からジカ箸で食べている。
 
韓国人もそうだ。焼肉はもちろん、鍋やパンジャン(ずらっと並んだ小皿)もジカ箸でつっつきあうというのが韓国の常識だ。
今日初めて会ったビジネスの相手と食事をするというようなときも同じで、そうしないと水くさいということで信用されなくなってしまう。ましてや逆さ箸はマナーが悪いとされている。
 
日本では、居酒屋や鍋は別として、ドンブリものやソバ、カレーでも定食でも、やはりそれぞれの皿に盛ってあるのがふつうだ。
あれって、もっと発想を広げて、たとえばトンカツ屋さんで、ヒレカツやロースカツ、海老フライを山盛りにして、キャベツも山盛りにして、家族や友人みんなでつっつきあって食べたらもっと楽しいんじゃないかな、と思う。
定食屋さんだって、焼魚定食と豚肉生姜焼とコロッケをそれぞれが勝手に食べるのではなく、みんなで真ん中において分けあったらもっといろいろなものが食べられていいんじゃないだろうか。
 
アメリカのレストランでも、「family style」あるいは「izakaya style」「tapas style」といって、一緒の皿に盛った料理を出すところもすごく増えてきた。
 
とはいえ、やっぱりそれぞれが頼んだ料理がそれぞれの皿に盛られてでてくるのが主流だ。でも友だちが食べてる料理もおいしそうで、ちょっと食べてみたい、ということはよくありますね。
食事マナーについて書いている日本のサイトをみると、「それは違反です」というのが多いが、僕に言わせればそんなことはない。高級レストランでやってもかまわない。
僕もじっさい、フランスの三ツ星レストランでもよくやることだ。
ただし、自分でするのではなく、ウェイターに頼んでお皿を入れ替えてもらう。頼めばよろこんでやってくれる。
むこうもそうやって、出した料理をお客が楽しんでくれることはよろこぶものだ。
 
もっとカジュアルな店なら、僕がよくやる方法がある。
一緒に行った仲間全員、たとえば4人で行ったら4つのちがう料理をたのむ。
そして、自分のまえに来た料理を4つに切り分け、4分の1を食べたら、1、2の3で全員が隣のひとに回す。それを3回繰り返せば、4種類が食べられる。それを前菜、メイン、デザートですれば、なんと12種類の料理が食べられるというわけだ。
 
これってすごく楽しいですよ。
 
OCではココ!「予算」は2人分です
Two 40 South
新しくできた、いま流行りのアメリカ式タパススタイルのレストラン。内装も料理もなかなかしゃれている。店内にワイナリー直送の樽がおいてあり、樽ワインが飲めるのは珍しい。瓶のワインとは明らかに違う味。タパススタイルにあわせてフォークが長い。
予算:$80
240 S. Brea Blvd., Brea
☎714-912-1053 www.two40south.com
Tue & Sun 11:30am-9:00pm、Wed & Thu 11:30am-10:00pm
Fri & Sat 11:30am-11:00pm
Closed on Mondays
 
Capital Seafood(金都)
アーバイン・スペクトラムにできた新しい広東・潮州系チャイニーズ。点心(ヤムチャ)は一個一個のサイズが大きくアメリカ人に受けがよいようで、オーセンティックなチャイニーズなのにアメリカ人の客で混んでいる。内装やトイレが綺麗なのもプラスになっている。もちろん箸も長い。
予算:$40(点心)
85 Fortune Dr., Irvine
☎949-788-9218 www.csrgweb.com
Mon-Fri 11:00am-10:00pm
Sat & Sun 10:00am-10:00pm
Open 7 Days
 
(2012年5月16日号掲載)

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