ポレンタって知ってますか?
ちょっとカワイイなまえでしょう?
polenta。簡単に言えば、イタリアのトウモロコシのお粥だ。
このあいだビバリーヒルズのあるイタリアン・レストランでおまかせのコースメニューを食べていた。途中ででてきたポレンタの一皿を食べて、驚いた。
ポレンタって、こんなにうまいものだったのか!
なにをかくそう、僕はこのテの食べものが大好きだ(なにをかくそう、僕は嫌いなものがないんですけどね)。
米のお粥も好きだが、ポレンタはもっとモッテリしてツブツブ感があるところがいい。
粉状にしたトウモロコシを、コネながらゆっくり時間をかけて煮たもので、煮るときにスープを使ったり、バターやチーズを溶かし込んだりもする。
イタリア、特に北イタリアではとても日常的な食べもので、レストランでも家庭でもよく食べられる。
前菜やスナックとして、四角く固めて揚げたり焼いたりしたものも香ばしくてうまいし、肉料理のサイドディシュとしてもよくあう。
このレストランでは、独立した料理として登場したのも驚きだった。
料理のつけあわせとしてでてくるときは、白っぽいかたまりとしてお皿に乗ってくるので、一見マッシュポテトかと思う。
イタリア料理の好きな日本人のあいだにも、まだあまり知られていないようだ。
アメリカにも似たものがある。グリッツ(grits)だ。
僕はアメリカ南部に行くときは、これが楽しみだ。
南部、たとえばジョージアなどは、朝食のメニューにかならずあるし、卵料理などをたのむと、だまってサイドででてきたりする。
これはやはりトウモロコシの粉(コーンミールともいう)を茹でたもので、食べるときに自分でバターを溶かし、ちょっと塩をかけて食べる。
あの、塩をちょっと入れただけで米のうまさがぐんとひきたつ、日本のお粥にも通じる。
じつは世界中に似たものがある。
穀物を砕いて茹で、食べやすくしてから食べるという考えは、世界中にあったとしても不思議はない。だが、コロンブスがアメリカ大陸からトウモロコシをヨーロッパに持ち帰ったとたん、あっという間にヨーロッパからアジア、アフリカにも広まり、それまであった小麦などを使った料理がトウモロコシに置き換わったという例がたくさんある。
僕もグルジアでイャポネリというポレンタそっくりのものを食べた記憶がある。
ヨーロッパそのものでは、20世紀までは家畜のエサとしてだけ利用されていたらしいが、北イタリアは例外で、特に貧乏なひとびとのあいだでは早い時期から小麦に代えてトウモロコシのポレンタが食べられていたらしい。
ということは、すなわち当時の北イタリアのひとびとは、「家畜のエサを喰らう連中」という目で見られていたわけで、いまでも北イタリア人をさして、俗語でPolentone(ポレンタ食い)と呼ぶことがあるらしい*。
僕はポレンタが好きだから、そう呼ばれても一向にかまわないですけどね。
*参考文献: Wikipedia イタリア語版
LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Scarpetta
僕が感激したポレンタはここの店。チョコレート・マッシュルームソースがまさに絶妙の組み合わせ。僕は絶妙という言葉は余程のことがないと使わない。飾り気の少ない店だがセンスと味のよさはすばらしい。
予算:$120
225 N. Canon Dr., Beverly Hills
☎310-860-7970 www.montagebeverlyhills.com
Breakfast: Mon-Fri 6:30am-11:00am
Lunch: Mon-Fri 11:30am-3:00pm
Dinner: Sun-Thu 6:00pm-10:00pm、Fri & Sat 6:00pm-10:30pm
Open 7 Days
The Lazy Ox Canteen
リトルトーキョーで評判のタパスバー。アパートの一階にあって外見はたいしたことがなさそうだが、個性があってしかも失敗のないタパスの多くはどれも感心する味だ。クリームド・マッシュルームとカレー味のポレンタがユニークでうまい。
予算:$80
241 S. San Pedro St., Los Angeles
☎213-626-5299 www.lazyoxcanteen.com
Lunch: Mon-Fri 11:30am-2:30pm
Dinner: Sun-Thu 5:00pm-11:00pm、Fri & Sat 5:00pm-12:00am
Open 7 Days
(2012年6月1日号掲載)
ポレンタ喰いの喜び
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