インドネシアという国は、旅をしてとても楽しいところだ。
伝統文化や、東西の狭間に生きてきた歴史、ビーチやジャングルの自然、動植物の豊かさ…。
もちろん、食の点でも楽しみはいっぱいある。
東南アジアらしい米の文化に、中国や日本、インド、さらにはスペインやオランダの食文化の影響、熱帯ならではのさまざまな食材やフルーツ。
そしてインドネシアといえば、古くからスパイスアイランドとよばれたように、香辛料が豊富だ。
それらを統括する味のベースになるもの、それはケチャップである。
料理の味付けももちろん、レストランのテーブルのうえには、日本なら醤油がおいてあるがごとく、インドネシアではどこにいってもケチャップの瓶がおいてある。
インドネシア料理にケチャップ?意外に思いますか?
その瓶のラベルには、「Kecap」と書いてある。
インドネシア語では「c 」は常にチュの音だから、発音はまさにケチャップ。
でも、中身は黒い。
味見をしてみれば、トマトとはまったく関係ない。むしろ醤油である。
僕ははじめてインドネシアに行ったとき、これって、インドネシア人がアメリカやイギリスのトマトケチャップを真似したつもりだったのが、自分たち流に勝手にトマトを使うのをやめて、こんなものを作っちゃったのかな?と思ったものだ。
それは僕の無知からくる、とんでもない誤解だった。
ケチャップって、こっちが本家なのですね。
インドネシアに近く、食文化の影響をたくさん受けた中国の福建地方のことばでは、魚ベースの調味料、つまり魚醤のことを「鮭汁」と書いて、ケーチャップと発音した。それがもともとなのだ。
それが英国領マレーシアを経由して18世紀にイギリスに渡り、イギリス人がなまえはそのままで勝手にトマトベースのものに変えたのである。
その後、そのトマト版ケチャップがまたインドネシアまで舞い戻ってきたが、ここでは「Saus Tomat」と呼んで、ケチャップとは認めていないのである。
さて、本家のケチャップには、ケチャップ・マニスという甘口タイプ(椰子砂糖入りの甘口醤油)と、ケチャップ・アシンという日本のたまり醤油に近いものがある。
特に甘口タイプがインドネシア料理にとてもよく使われ、この国を代表するナシ・ゴレン(チャーハン)やミー・ゴレン(ヤキソバ)などの炒めものに、インドネシア料理ならではの風味を与えてくれる。
インドネシア料理は、日本人にとってはとても南国の香りがする。香辛料のせいだろうか、食べると気分がハイになる料理だ。
それでいて、基本的に白いゴハンを主食としてオカズを食べるというパターンだから、日本人にも親しみやすい。
インドネシアのレストランは、室内でちゃんとした椅子、テーブルをそなえたというより、屋台とか、屋台に毛のはえたような風通しのいい軽食店がほとんどだ。
そして、インドネシア語では、レストランのことを〝restoran〞と書く。
これがカワイくて好きです。
LAではココ!「予算」は2人分です
インドネシア・フードコート
インドネシア料理だけのフードコートというのは珍しい。4店が軒を連ねている。このモールは日本、韓国、タイ、マレーシア、中国各地方とさまざまな東洋料理の店があり、その一画にとても目立たないのだが、このフードコートがある。インドネシアに迷い込んだかと思う。夜は8時に閉まってしまうので注意。
予算:$15
989 S. Glendora Ave., West Covina(Hong Kong Plaza内)
Daily 11:30am-8:00pm
Open 7 Days
Simpang Asia
インドネシアの食材を売るマーケットの中にあるカジュアルな、すなわちインドネシアらしいレストラン。でもメニューはアペタイザーからデザートまでかなり豊富で、料理は本格的。
予算:$20
10433 National Blvd., Culver City
☎310-815-9075 www.simpangasia.com
Sun-Thu 11:00am-11:00pm
Fri & Sat 11:00am-12:00am
Open 7 Days
(2012年8月1日掲載)
インドネシアのケチャップ
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