以前にも書いたが、アメリカではいま、タパス風というか居酒屋風というか、小皿料理をみんなでわけあうスタイルの店が人気だ。
このあいだ、最近できた本家スペインのタパスの店に行った。
僕がタパスでいつも頼む料理のひとつに、トルティーヤがある。
「トルティーヤって、料理って呼べるの?」。
と思うひと、いますか?
そう、アメリカ在住の僕たちに親しみのあるトルティーヤは、単なるトウモロコシの薄焼きパン。でも、スペインのトルティーヤは、まったくちがうものなのだ。
ジャガイモ入りのオムレツで、固めに焼いてあって、ワインやビールのつまみにとてもいい。
「トルティーヤ(tortilla)」(国や地方によって、トルティーリャ、トルティージャとも読む)というのは「小さいtorta」のこと。「torta」というのはパンやケーキなど、焼いたものに対して幅広く使うことばだ。そこから、一方でパン、一方でオムレツとなった。
メキシコのトルティーヤは、メキシコ人にとって、日本のゴハンと同じく、毎食絶対に欠かせないものである。
あるときフランスからLAに帰る飛行機で隣にすわったメキシコ人の夫婦とはなしをしていて、
「フランスはすばらしかったけど、食べものにマイッた」。
と言うのを聞いて、驚いたものだ。どこでなにを食べてもすばらしいフランスなのに?「トルティーヤが食べたくて食べたくて」と言うのだ。
トルティーヤのあのコーンの香りと喉ごしが、日本人の白いご飯とおなじように、多くのメキシコ人にとっては、しばらく遠ざかると恋しくてしょうがなくなるらしい。
LAのメキシカン・レストランに行くと、僕なんかは料理を食べながらトルティーヤを1、2枚食べるだけだが、メキシコ人をみているとあの10枚くらい入った丸い容器をさっさとカラにしておかわりをしたりしてる。
白いご飯は炊きたてがおいしいのとおなじで、トルティーヤも焼きたてがおいしい。
スーパーに行くと袋に入ったものを売っているが、あれとは別ものである。
メキシコのカンクンに行ったとき、ホテルの朝食は、ビーチに面したアウトドアのすばらしい雰囲気のカフェで、そのコーナーで人の好さそうなメキシコ人のおばさんが毎日お客さんのためにトルティーヤを焼いていたのが印象的だった。
トルティーヤはそのまま食べるだけではなく、たとえば朝食にはその上に卵料理やチポトレ(唐辛子をスモークしてペースト状にしたソース)、アボカドの料理を載せたりして食べる。
このホテルの朝食が忘れられない。
メキシコでは、地方によっては直径30~40㎝という巨大なトルティーヤもあり、上にいろいろなものを載せて、ピザのように食べる。
白いご飯の上に、トンカツとか牛肉とかを載せて食べる日本人と共通だ。
そのほかごぞんじチップスにしたりタコスやブリートス、エンチラーダとトルティーヤの応用の広さはコメにも匹敵する。
日本人として、メキシコ人のトルティーヤ好き、納得できますね。
LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Manchego
サンタモニカのメインストリートは個性があってうまいレストランが軒を連ねるが、この店は最近できたスペイン料理店。目立たない小さい店で、スペイン産ワインを飲みながら本格的スペイン風タパスが楽しめる。
予算:$60
2510 Main St., Santa Monica
☎310-450-3900 www.manchegoonmain.com
Sun-Thu 5:30pm-10:00pm
Fri & Sat 5:30pm-11:00pm
Open 7 Days
Gabbi’s
オレンジで有名なメキシコ料理の店。月並みなタコスやブリートスではなく、気のきいた料理がいろいろある。バーも人気。小さいがパティオも気持ちがいい。店の中でいつもトルティーヤを焼いている。
予算:$60
141 S. Glassell St., Orange
☎714-633-3038 www.gabbimex.com
Daily 11:00am-11:00pm
Open 7 Days
(2012年8月16日掲載)
トルティーヤもいろいろ
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