このあいだラスベガスに行ったとき、ディナーをホテルのバフェーで食べた。
ラスベガスの大きなホテルはどこもバフェーに力をいれていて人気があり、入ってみると、めまいがするくらい料理の種類が多い。
しかしどうもピンときませんね。
あまりに種類が多すぎて目移りし、「あれも食べたいこれも食べたい」という気持ちが走ってしまう。気がついて見ると皿にテンコ盛りになっているのは肉に野菜に中華にイタリアン。ひっちゃかめっちゃかだ。
「おいしい食事はバランスから!」と常に言っている自分としたことが、つい興奮してしまった。
こうなると味にテーマがなく、食べ終わっても満足感が得られない。
CDでいえばクラシックとジャズと演歌とガムラン音楽を立て続けに聞いたようなもので、食文化に浸った感覚がまったくない。
そもそもソースが皿の上でまざっちゃって、わけがわからなくなりますね。お皿に仕切りがあるといいのですが。
しかし、テーマが絞られたバフェーならば、はなしは別だ。
そもそもバフェーは、スウェーデンが発祥の地というのはよく知られている。
スウェーデン人にきくとsmörbrod(バターパン)という名で呼んでいるが、外国ではsmörgåsbord つまりサンドイッチ(smörgås) とテーブル(bord) の合成語のほうが一般的だ。
テーブルの上に、チーズやハム、何種類かの味つけの生ニシン、それにパンとバター。これを自分でとってきてビールやアクアビット(蒸留酒)と共に食べる。
これこそ北欧の味でテーマが絞られていて、とても楽しめる。
このスモーガスボードを経験した帝国ホテルの社長が、「バイキング」という呼称をつけて日本で初めてバフェースタイルのレストランを開いたというはなしは有名だ。
そのレストランはいまでもあるが、僕はまだそこで食べたことはない。でも、帝国ホテルの立食パーティーに行ったことはあって、おそらく料理の質は同等だと思う。
そこはバフェーとしては、いままで食べた中でいちばんおいしかった。
パーティーだったのであれもこれもと食べず、ローストビーフに集中したのがよかったかもしれない。ここのローストビーフは世界最高です。
テーマが絞られているといえば、インド料理店だ。アメリカではランチはほぼどこでもバフェーになっている。
何種類かのカレーから自由に選んで、好きな分量だけ食べられるから、インド食文化を満喫できる。
ところで、日本食に的をしぼったバフェーってできないものでしょうかね。
チャイニーズ系のバフェーレストラン(自助餐)にはスシロールなんかもあるが、ああいうのではなく、たとえばドンブリもののトッピングをカツ、鶏、牛肉などをとりそろえ、タマゴや薬味も使い放題、トンカツも焼魚も、テンプラや握り寿司、ちらし寿司、おでんに茶碗蒸し、もちろん味噌汁や吸い物、漬物も種類豊富、ウドンやソバもあります、日本酒もいろいろ、でもパスタや春巻きはありません、ってな、日本の味で統一されたバフェーがあったら、楽しいと思うんですけどね。
LAではココ!「予算」は2人分です
Grand Salon
サンデーブランチなら、朝食というテーマがあるから、的がしぼられていて僕は好きだ。特に高級ホテルは力を入れている。このQueen Maryのレストランは豪華客船そのままの雰囲気で、味もいい。
予算:$130
Queen Mary, 1126 Queensway, Long Beach
☎562-435-3511http://queenmary.com
Sun 9:30am-2:00pm
Pickles
リトルインディアのインド料理店は、ランチにはどこもバフェーになる。多くの店があるが、この店は味がいちばん洗練されていると思う。味の割にはいつも比較的空いていて、落着いて食事ができるのもいい。
予算:$30
11688-107 South St. #107, Artesia
☎562-860-3999 www.picklesindiancuisine.com
Daily 11:30am-3:00pm
(2013年1月1日掲載)
バフェーに目移り
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