フランス料理はおいしい。
フランスに行って食べるフランス料理はとくにおいしい。
これはいまさら言うまでもないですね。
さて、それではフランスでフランス料理以外のものを食べたらどうなのか。
これがおいしくないのです。
たとえばイタリア料理。舌が肥えているフランス人相手の、しかもすぐ隣の国の料理だからさぞかしおいしいだろうと思うのだが、なんどトライしても料理もピザも、一度も満足したことがない。
チャイニーズもベトナム料理も、日本料理もしかり。
もちろん一軒もおいしい店がないということはないだろうが、とにかく全体としてのレベルが低い。
これはイギリスとくらべて大きな違いだ。イギリス(特にロンドン)はイタリア料理もチャイニーズも、インド料理も、すごくレベルが高い。
僕の思うところ、自国の料理がもともとおいしいフランスでは、外国の料理に対する期待度が低く、イギリスはその逆なのだろう。
さて、そんなフランスだけど、ひとつだけおいしい外国料理がある。モロッコ料理だ。
僕はパリに数日間以上滞在するときは、かならず一回はモロッコ料理を食べにいく。
モロッコにも何度か行ってホンバの料理を楽しんだことはあるが、パリでは本来のモロッコ料理のエキゾティシズム、香草などの使いかた、特徴のある料理方法をいかして、そのうえにひとあじ洗練させている。
パリジャン、パリジェンヌのあいだでおしゃれなレストランと認識されているモロッコ料理店も多い。
なぜパリのモロッコ料理がおいしいのだろう?
ふたたび僕の思うところ、ながいあいだフランスの植民地だったモロッコの料理は、いわばフランスの一地方の料理であり、アルザスの料理とかブルゴーニュの料理というのと同じようにパリでも受け入れられて、発達したのだと思う。
それじゃ、やっぱり植民地だったベトナム料理はどうなんだ?
んー、これは僕が思うところ(多分)、ベトナムはモロッコに比べて遠すぎで食文化も違いすぎ、そこまで自国の一部のように取り込めなかったのではないだろうか。そこへもってきてベトナム戦争後の大量の移民流入の時期に日本食ブームが重なって、ベトナム料理と日本料理と、さらには中華料理、ついでにタイ料理あたりまでが一緒クタになったような店がフランス中にあふれてしまった。
じっさいパリの街を歩いていて、そこらじゅうにサインのあるRestaurant Japonaiseのメニューを覗いてみれば、必ずといっていいほどスシロールとテリヤキにプラスしてベトナム風春巻きがあったりする。
話がそれました。モロッコ料理は、タジーヌというあの円錐形をした土器でチキンやラムを蒸した料理、これがうまいですね。レモンやデーツ、アーモンドなどを巧みに使うから香りがいい。
クスクスも、パリのスタイルは、スープをたっぷりかけて食べるのがふつうで、そのスープがまた洗練されているときている。
デコアもおしゃれで食器も高級、フレンチワインとあわせて楽しむフランス風モロッコ料理は、立派なフランス料理といってもいいのである。
LAではココ!「予算」は2人分です
Cleo
大きな店だがいつも混んでる。ハリウッドらしいトレンディなデコアとモロッコ風地中海料理のユニークさゆえの人気だろう。もちろん味もいいし、そしてサービスもとてもゆきとどいている。
予算:$120
The Redbury Hotel
1717 Vine St., Los Angeles
☎877-962-1717 www.cleorestaurant.com
Daily 6:00pm-12:00am
Open 7 Days
The Little Door
基本的にフレンチだが、クスクスなどモロッコ風の料理もメニューにある。とくに日曜はフレンチ・モロッカン・スペシャルのコースメニューがある。LAでもっともロマンティックなレストランのひとつ。
予算:$160
8164 W. 3rd St., Los Angeles
☎323-951-1210 www.thelittledoor.com
Sun-Thu 6:00pm-1:00am
Fri & Sat 6:00pm-11:00pm
Open 7 Days
(2013年3月16日掲載)
モロッコ料理はフランス料理
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