あるときJALのスチュワーデスが、LAに着いて帰りの乗務までのあいだ、ラスベガスに行き、ルーレットに興じた。その帰りのフライトで、客に食事をサーブしながら、
「ワインは赤にされますか?黒にされますか?」
と聞いてしまったというのは、深田祐介氏の『スチュワーデス物語』にでてくる実話だ。
ワインの色というのは、赤か白、それかロゼに決まっている。
…と思うでしょ?
じつは黒だってあるのです。
スペイン語圏では、赤ワインのことを、vino(ワイン)rojo(赤)ではなく、vinotinto(ビーノ・ティント)(tinto=インク色)とよぶことが多く、実際に有名なリオハ地方の赤ワインをはじめ、かなり黒に近い色をしている。
フランスでも南西部カオール地方でできるワインはvinnoir(ヴァン・ノアール)(noir=黒)と呼ばれたこともあるほど、黒い。
ワインの色はそれだけにはとどまらない。
緑のワイン、vinho verde(ヴィーニョ・ヴェルジ)。
ポルトガル北部で若いぶどうから作るワインで、すこーし発泡していて、とてもさわやかで飲みやすい、白ワインの一種だ。
僕も好きなワインで、家でもときどき飲む。
かならずしも目で見て緑色をしているわけではなく、緑とは「若い」という意味が強いのだが、少なくとも呼び名は「緑」である。
黄色ワイン、vin jaune(ヴァン・ジョーン)。
フランスのジュラ地方でできる、辛口でシェリーに似たワイン。シェリー酒やブランディーに近い、黄色を通り越して琥珀色に近い色合いだ。
グレーのワイン、vin gris(ヴァン・グリ)。
主にフランスのロレーヌ地方で作られる白ワインで、黒または赤ぶどうから作られる白ワインのことをこう呼ぶ。
もともと白ワインは白ぶどうから作ることが多いのだが、赤ぶどうから作ることもできる。
赤ぶどうの果実だけを絞って皮や茎が入らないようにすれば、白いぶどうジュースとなり、それを発酵させてワインにすれば白ワインになるのだが、じっさいは黄色に近い色になる。これを当地ではグレーのワインと呼ぶわけだ。
ロゼ、つまりバラ色のワインにもいろいろな色あいがある。
ロゼの名産地、フランスのプロバンスにはほんとうにバラ色のような濃い色のものもあり、赤ワインと白ワインの両方のおいしさを兼ねそなえたワインという感じがして、僕は大好きだ。
ほのかに赤みがかかっただけという、カリフォルニア独自のWhite Zinfandelというタイプのワインは、blushwineともよばれる。
blushとは、たとえばちいさな女の子が恥ずかしがって、頬がちょっと赤くなっちゃったみたいなわずかな赤みの意味で、なかなかしゃれた呼び名ではないか。
ワイン通の人たちは、ワインの色あいのことをrobe(英語・フランス語とも)つまり「衣服」とよぶことがある。
僕にいわせるとちょっと気どりすぎかなといえないこともないが、たしかに味や香りとはまた別の、外側から見た美しさという点で、言い得て妙といってもいいかもしれない。
LAではココ!「予算」は2人分です
Whole Foods Market
野菜や肉類、瓶詰缶詰類、そして惣菜の豊富さもさることながら、ここのワインの種類はとても豊富で、ポルトガルの緑ワインやプロバンスのロゼ―をふくめ、世界各地のワインをおいている。
予算:-
2655 Pacific Coast Hwy.,Torrance(トーランス店)
☎310-257-8700
www.wholefoodsmarket.com
Sun-Mon 8:00am-9:00pm
Open 7 Days
Seasons 52
健康志向のメニューだが、そういう店にありがちな味気のない料理ではなく、洗練されたいい味の料理が食べられる。ワインは豊富で、ポルトガルの緑ワインもおいている。
予算:$100
South Coast Plaza, 3333 Bristol St. Suite 2802, Costa Mesa
☎714-437-5252
www.seasons52.com
Daily Lunch 11:00am-4:00pm
Dinner 4:00pm-10:00pm(11:00pm on Fri)
Sat 11:00am-11:00pm
Sun 11:00am-10:00pm
Open 7 Days
(2013年4月16日掲載)
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