フワフワのカルチョッフォ

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Mr.世界(フワフワのカルチョッフォ)

イタリアのシシリー島。風光明媚なこの島には、イタリア本土から列車に乗ったまままるごとフェリーに乗って渡る。島に着くと、列車はそのまま走りだす。
 
車窓から外を眺めていると、遠くに見える雄大なエトナ火山を背景に、線路に沿って延々と、いままでに見たことのない作物の畑が続いている。
 
「あれはなんですか?」と、そばにいたイタリア人に聞いた。
 
「Carciofi !」との答えだ。
 
カルチョッフィ?なんのことだろう?
 
辞書をひいてみると、アーティチョークとでている(単数形はcarfiofo)。
 
そうか、シシリー島はアーティチョークの栽培が盛んなのだ。
 
そのときの車窓の光景と、その短い会話が、なぜかいまでもあたまにこびりついている。
 
そのあとの食事でアーティチョークを食べたことはいうまでもない。
 
そして、それ以来アーティチョークは僕の好物となり、イタリアン・レストランにいくとしょっちゅう頼むもののひとつとなった。
 
なぜかといえば、とてもおいしいのです。
 
独特のおいしさだ。
 
つぼみを食べるのだが、それはサボテンのようなワイルドな姿をしていて、これを丸ごと茹でるか蒸すかするのが主な食べかただ。
 
一枚一枚の葉を剥がして食べる。
 
葉の先のほうから根元にかけて、スジスジしているところからだんだん軟らかくフワフワしているところへと連続している。そのフワフワのところだけを歯でしごいて食べる。そのフワフワ感がとてもきもちいい。
 
葉を食べ進んでいって、つぼみの中心に近くなってきて、葉が小さくカワイくなってくるにしたがって、フワフワの部分の割合がふえてくる。これがまた楽しい。
 
すこしすっぱい。
 
したがって、レモンとか、マヨネーズベースやホーランデーズソースのようなすっぱ系のディップがよくあう。溶かしバターもうまい。
 
つまり、前菜としての食べかたが主体である。
 
イタリアでは、アンティパスト(前菜)として、よく茹でて柔らかくなった中心部分だけをマリネートしたものがよく登場する。チーズやオリーブオイルとの相性もすばらしい。
 
サラダに入れてもうまい。
 
パスタにまぜてもいいですね。
 
イタリア以外では、フランスでもよく食べられる。フランス語ではartichaut(アーティーショー)。
 
この作物は、日本では気候的にほとんど育たないという理由もあって、まだそれほど一般的ではないと見受けられる。僕が日本に住んでいたときには、食べた記憶がいちどもない。
 
日本名を調べてみると、「朝鮮あざみ(薊)」とか「西洋あざみ」というようだが、「あざみ」の朝鮮や西洋バージョンといわれても、そもそもあざみというものさえ日本で見たことがないから、よくわからない。「薊」なんて漢字も知りませんでした。
 
いまではアーティチョークもだんだん知られてきてるから、あざみのほうを「日本アーティチョーク」と呼んだほうがいいのではないだろうか。
 
LAではココ!「予算」は2人分です
Baci di Firenze
まるでおいしいレストランなんかありそうもない、ちょっとさびれたモールにあるが、そのオーセンティックなイタリア料理とフレンドリーなサービス、暖かいデコアは特筆に値する。アーティチョークがスペシャルである日が多い。
予算:$80
416 N.Lakeview Ave., Anaheim
☎714-965-1194
http://bacianaheim.com
Lunch Mon-Fri 11:00am-3:00pm
Dinner Mon-Sat 4:30pm-10:00pm
Closed on Sundays
 
Della Terra
道路に面したパティオが都会的でとても解放感のあるイタリアン。味も申し分ない。つまみや前菜にもしゃれたものが多い。アーティーチョークもメニューにある。プライベートパーティーの部屋がとてもドラマティック。
予算:$80
7675 Beverly Blvd., Los Angeles
☎323-933-7675
http://dellaterrarestaurant.com
Daily 11:00am-11:00pm
Open 7 Days
 
(2013年5月16日掲載)

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