ワインのフライト。
これは、この10年ほどのあいだにカリフォルニアなどで流行ってきたワインの飲み方だ。
flight of wines とは、簡単にいえばいくつかのワインのこと。group of people とかherd of sheep のように、複数のものをまとめていうときの英語表現である。
レストランで、たとえば3つのグラスにそれぞれちがうワインを入れたものを一度に頼めることがある。こういうときに使う表現だ。
これは楽しいです。
ペアリングにも似ているが、それは料理のコースにあわせてシェフやソムリエがあらかじめ選んだグラスワインがその都度でてくるというスタイル。これの難点は、4コースや5コースのセットメニューにあわせて飲むと、量が多くなり、かなり酔っ払ってしまう。
しかもだいたいそういう店はもともと料理もワインも値段が高いから、かなり贅沢という結果になる。
いっぽうワインのフライトは、ワインバーや、タパス、居酒屋スタイルの気軽な店で、自分でワインリストの中から選ぶこともできるし、白でも赤でも、飲む順番もペースも自由。
いわゆる試飲、飲み比べができるわけだ。
自分の好きなワインはなにか?どの料理にはどんなワインがあうと思うか?
一杯の分量は少なめだし、値段的にもセット料金で割安になっていることが多い。
そもそもワインというのは、たとえ同じワインであってもちがうときに飲むと味の印象が違うものである。気候や気分、いっしょに飲む仲間、瓶の保管状態、そしてもちろん食べもので左右される。ましてやちがうワインをちがう時に飲んでもその好き嫌いを判断するのはむずかしい。
だから一度にいろいろ試してみることは、ワインに対する興味や知識を深めていくいい方法だと思う。日本酒や焼酎でも同じことですね。
しかし、いったいぜんたい、なぜflight というのだろう。
「ワイン産地をめぐる旅だから」と書いてある日本のサイトもあったが、それはちょっと考え過ぎではないでしょうか。
なにも違う産地である必要はない。同じワイナリーのシャドネーとメルローとキャバネーを飲み比べたって立派なフライトだ。
建物のなかで、ひとつの階から別の階に至る階段をまとめてa flight of stairs といいますね。おなじように、障害物競争でひとつのレースコースにあるハードルをまとめてa flight of hurdles という。
つまり、いくつも連なったものをひとつひとつ超えて、目的の場所に到達する過程、それをflight と英語では表現しているようだ。ワインのばあいはそのゴールは「満足」だろうか。
なかなかしゃれたネーミングではありますね。
しかしセット価格のフライトがあるレストランはまだ少ないし、何杯かのグラスを注文するとやはり高くつく。
そこで、いい方法があります。
国際線のビジネスクラスでは、いろいろなワインが用意されていて何杯でも飲ませてもらえることが多い。これをみんな一度にたのんで飲み比べる。
これならほんとのワインフライト、もっとも飛行機代が高くつきますが。
LAではココ!「予算」は2人分です
Phlight
その名もまさにフライト(モジっているが)、ウィッティアーのオールドタウンで人気の高いワインバー。週末は予約しないと入れない。スペイン産チーズ盛り合わせなど、スペイン風タパス料理や独自のメニューはどれもワインと相性がいい。ワインフライトがセットになっている。
予算:$50(ワイン別)
6724 Bright Ave., Whittier
☎562-789-0578
http://phlightrestaurant.com
Lunch Mon-Fri 11:30am-2:30pm
Brunch Sun 11:00am-3:00pm
Dinner Sun-Thu 5:00pm-10:00pm Fri & Sat 5:00pm-11:00pm
Corkbar
40種類以上のワインがグラスで頼めるワインバー。食事をしに行くというよりもワインを楽しむために行く店で、メニューは少ないがワインに合う料理が用意されている。スタッフはさすがにとてもワインに詳しく、気軽にいろいろ質問できる。もちろんワインフライトが頼める。
予算:$50(ワイン別)
403 W. 12th St., Los Angeles
☎213-746-0050
http://www.corkbar.com
Mon-Thu 11:30am-12:00am, Fri 11:30am-1:00am, Sat 5:00pm-1:00am, Sun 5:00pm-12:00am
(2013年8月1日掲載)
ワインの飛行
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