アメリカにイタリアン・レストランは星の数ほどある。
でも、ホンモノのイタリアンと言おうか、イタリアで食べるような、オーセンティックな料理をだす店は、その中でほんの一部だ。
いや、別にイタリアで食べられようが食べられまいが、旨けりゃいいじゃないか、という考えもある。
僕もそう思う。
「ジャパニーズ・レストラン」でカリフォルニア・ロールを食べれば、それはそれでおいしい。でも、それが日本料理だと信じているほかのお客さんに、「日本にはカリフォルニア・ロールはありません」と言ってあげたくなりませんか。
そんなおせっかいな人は読者にはいないかもしれないけど、僕としては「スパゲッティー・ミートボールはイタリアにはありません」と言いたくなってしまう(ホントに言ったことはないけど)。
ミートボールのほかにも、ガーリック・トーストとシーザーズ・サラダもそうで、この3つがアメリカナイズされたイタリアン・レストランの3種の神器だ。
それらについては以前にくわしく書いたことがあるが、読んだらすぐ忘れる駄文というところがこのコラムのとりえなので、また書かせていただきます(角度をかえて)。
メニューにその3種の神器があれば、そのレストランはホントのイタリアンとは言いにくい、ということになる。もっとも、あるホントの中華料理の店で、「フォーチュン・クッキーがないの!?」と文句を言ってる客を目撃したことがあるから、同じようにイタリアンでこれらの3つがなかったら文句を言われるから、いやでもメニューに載せている店があるようだ。
料理を食べてみよう。
まずはサラダ。
「イタリアン・ドレッシング」と呼ばれるものも、イタリアには存在しない。そもそもあらかじめ作ったドレッシングというものがない。
オリーブオイルとワインビネガー、塩と胡椒。それぞれサラダにかけてよくまぜる。これ以外はみたことがない。
スパゲッティーの茹で方、これも決め手だ。
「ソースはいいけど麺が茹で過ぎ!」という店がアメリカにいかに多いことか。
「アルデンテ」を特別注文できる店もあるけど、それでもほとんどまだ茹で過ぎだ。
イタリアではほとんどの地方は乾麺が主体で、それらは食べるときには麺の中心にまだ芯がすこし残っていてコリッとした歯応え(すなわちal dente)がある。
日本にはアルデンテをうたっているパスタ屋さんもあるが、この芯は残っていない。
そしてパスタソース。基本中の基本が checca だ。
フレッシュなトマトとタマネギを刻んでバジリコ、ガーリックなどをオリーブオイルで和えたもので、これがパスタ(特にカッペリーニ)のソースとしてメニューにあるかどうか。
そしてその味が、その店ではどれだけいいオリーブオイルやトマトを使っているかといったことのあらわれとなる。
これがおいしい店は、ほかのどの料理を食べてもおいしい。
日本でいえば、味噌汁がおいしいければほかの料理もおいしい、というようなものだ。
checca のイタリア語の発音は「ケッカ」。つまり、結果よければすべてよし、というわけだ。
LAではココ!「予算」は2人分です
Andrea
僕の意見ではLA界隈でベストのひとつ、少なくともOCではベストのイタリアン。芸術的に繊細で洗練された味。アップスケールで雰囲気はすばらしく、その分ちょっと値は張るが僕は友人の結婚記念日などにすすめている。
予算:$100-150
22651 Pellican Hill Rd., Newport Coast [Pellican Hill Golf Club内]
☎949-717-6000
http://pelicanhill.com
Lunch Wed-Sun 12:00pm-2:30pm
Dinner Daily 6:00pm-10:00pm
Casa Nostra
ビル街の谷間のパティオがとても気持ちいいホンモノのイタリアン。シーザーズ・サラダは妥協しているようだがミートボールはない。エビのグリルや、スペシャルでウニスパがあったりして、日本人好みのメニュー。
予算:$60-100
825 W. 9th St., Los Angeles
☎213-362-3311
http://casanostraristorantela.com
Mon-Thu 11:00am-10:00pm Fri 11:00am-11:00pm
Sat 5:00pm-11:00pm Sun 5:00pm-10:00pm
Closed on Sundays
(2013年9月1日掲載)
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