なぜロゼ?

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Mr.世界(なぜロゼ?)

そろそろ夏が近づいてきました。
 
ロゼの季節です!
 
冷たーくひやして、家の庭かレストランのパティオに出された夕方のテーブルで、チーズかオリーブか、軽いおつまみをつまみながら友人や家族とゆっくりと飲むのがいい。
 
もちろん冬に飲んだっていいワインなんだけど、夏は特別においしい。
 
僕がロゼにハマったのは、夏のプロバンスを旅行したときだ。
 
かなり暑い。
 
だから、白ワインよりもさらに冷やして飲むのがいちばんおいしいロゼが飲みたくなる。
 
毎晩飲んだ。
 
なんてったって、プロバンスはロゼの一大産地だ。ほかの地方でもロゼは作られるが、フランス産のロゼの半分はプロバンスで作られる。
 
逆に、プロバンスで作られるワインの80%がロゼだそうだ(*)。
 
そしてその、「屋外で夕方からワインを楽しむ」というライフスタイルが、南フランスのひとたちのjoie devivre、すなわち「人生を楽しむ」というメンタリティーによくあうわけだ。
 
白ワインの爽やかさと口あたりのよさ、それに赤ワインに含まれるタンニンの力強さがほどよくミックスされ、まさにその色のとおり、白と赤の両方のよさをあわせもったワインだ。
 
値段も比較的安い。
 
それからもうひとつ、ロゼワインに大きな特徴がある。
 
どんな料理にもあうんです。
 
赤ワインは肉、白ワインはシーフードとよくいわれ、それにこだわる必要はまったくないのだけど、やはりそれぞれ相性というものがある。 
 
そこへいくと、ロゼはそんなの気にしなくてもいい。
 
そういう意味では、ちょっとまえの号に書いた、シャンペンにも似ている。
 
あと、ボジョレー・ヌーボーとか、サングリアもそうですね。
 
どれも気軽に、相性のことなんか気にせず飲めるし、冷やして飲むというところも共通だ。
 
とはいっても、ロゼが特別にあう料理というものがないわけではない。それはやはりプロバンスの料理だ。
 
オリーブオイルで調理したもの、香草を使った料理。たとえばローズマリーをきかせた仔羊のグリルなんか、いいですねえ。
 
ガーリックやゴートチーズのように、個性の強い味つけのものを食べ、次にさっぱりとした、しかし力のあるロゼがほどよく口蓋をクレンズする。
 
アメリカ製のロゼ(White Zinfandel などとよばれる)、とくに安いやつには甘ったるいものが多いが、プロバンスのものはかなりドライだ。
 
プロバンス以外のロゼにもすばらしいものがある。ロワール河流域のものや、イタリアのロゼもドライでありながらロゼの本質をしっかりと伝えてくれるワインだ。
 
ところで「ロゼ」「ロゼ」って書いたけど、みなさんはこれをどう発音しますか?
 
日本人の多くは、「なぜ」のように、「ロ」のほうを高く発音する。なぜでしょうね。
 
フランス語や英語では、「ゼ」を高く発音しないとまず通じない。そう、「風」のようにね。
 
そう、ロゼはプロバンスの風のように爽やかなのです。
 
LAではココ!「予算」は2人分です
Pescadou Bistro
古くからあるプロバンス料理主体のフレンチビストロです。フランスの田舎にありそうな、こぢんまりしてしゃれたデコアやプロバンス出身のオーナーのサービスが行き届いていて、リラックスできます。料理はどれを食べても失敗がありません。もちろんプロバンスのロゼがあります。
予算:$20〜40
3325 Newport Blvd., Newport Beach 
☎949-675-6990 pescadoubistro.com
火〜日5:30pm-9:00pm  月closed
 
Dominique’s Kitchen
ついにサウスベイにもいいフレンチビストロができました。こぢんまりして家族的なプロバンス風のこの店は、フランス人オーナーが丁寧に仕事をした料理と奥さんの気配りのきいたサービスがすばらしいです。バゲットもホンモノです。ローヌ地方のロゼワインがおいしいです。
予算:$30〜50
522 S. Pacific Coast Hwy., Redondo Beach
☎424-247-9054  dominiqueskitchen.com
日月水木4:00pm-9:00pm 、金土4:00pm-10:00pm、火 closed
 
(2014年5月16日掲載)

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