づくしの世界

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最近、松阪に行きました。
 
そこで食べたのは、松阪牛づくし。
 
お通しから始まって、ミニ寿司、タタキ、煮物、鉄板焼き、しゃぶしゃぶ、すき焼、すべて松阪牛だ。その中から選ぶんじゃないんです。すべて出てくる。
 
これは堪能しました。
 
霜降り肉というのは、たとえば大きなステーキを食べていると、脂身がだんだんくどく感じてきたりすることもある。でも違う料理方法のものを少しずつ食べれば、飽きが来ず、牛肉のおいしさを心ゆくまで楽しめる。
 
なんとかづくし、っていいですね。
 
何年か前の冬、パリにトリュフづくしを食べに行った。
 
それもあらんことか、アラン・デュカスという超一流シェフの店で、これにも参りました。
 
アミューズからもちろんトリュフ。前菜にもトリュフ、魚にもトリュフ、肉にもトリュフ、そしてデザートにも。
 
そしてそのコースのちょうど真ん中あたり、小さなハンバーガーが出てきたのには感心した。これはアランの遊び心だ。可愛いビーフパティーにちゃんとトリュフが載っている。
 
一流フランス料理のコース、お値段も店の雰囲気もそれなりだし、こちらはおしゃれもしてきてるし、そのちょっと緊張の食事の真ん中に、とつぜん(フランス人の多くがどちらかというと見下している)アメリカのカジュアルな食べものがでてきて、ふっと肩の力を抜かせる。
 
こういうところが一流のやることなのだ。
 
そこまでいかなくても、フランス、あるいはヨーロッパでは、もっと気軽に「づくし」が食べられる。
 
5月、アスパラの季節。
 
ヨーロッパ人は一斉にアスパラを食べる。それもアメリカでは珍しいけどヨーロッパでは一般的な、白アスパラだ。
 
そこらじゅうのレストランでアスパラづくしをやってる。
 
アスパラ入りサラダ、アスパラスープ、そしてメインは茹でたアスパラにホーランデーズ・ソース(マヨネーズに近い温かいソース)とか、溶かしバターとかをかけて食べる。
 
これがめっぽううまい。
 
しめくくりはアスパラ味のアイスクリーム。
 
これを書いてるだけで5月にヨーロッパに行きたくなった(今年はもう遅い!)。
 
もちろん、日本だって「づくし」が食べられる。
 
能登半島に行ったとき、カキづくしを食べた。
 
海辺のさびれた漁師小屋兼食堂で、いてつく真冬に食べたカキづくし。
 
取りたてのナマガキをたらふく食べたあとに、カキフライをいくつか、そしてしめくくりはカキ鍋とカキゴハンで体を暖める。食べたあとの貝殻は小屋の外に投げ捨てる。
 
なんとも野趣があって、しかもカキのうまさを徹底して味わえ、そして、安かった。
 
東京で何十年かまえに食べた鯛づくし。
 
店の名前は忘れたが、刺身、煮付け、焼きもの、吸いもののあとに、鯛を丸ごと米の上に載せて一緒に炊き上げた鯛めし、これはいまでも忘れられない。
 
そのほかにも日本には、鶏づくし、うなぎづくし、有名な京都の豆腐づくしなど、いろいろなづくしがある。
 
つくしづくし、ってのも
あったら食べてみたいです。
 
LAではココ!「予算」は2人分です
Sagami(さがみ)
日本食以外を紹介するのが趣旨のこのコラムとしては今回は例外になりますが、「サーモンづくし」と「まぐろづくし」と、二つも「づくし」があるこの店を外すわけにはいきません。LAには珍しく、味噌煮込みうどんや味噌カツ重、ひつまぶしなど名古屋料理を中心とした店です。
予算:$20
3850 Barranca Pkwy., Irvine
☎ 949-857-8030 irvinesagami.com
月〜木&日11:30am-2:30pm・5:00pm-9:30pm、金土11:30am-2:20pm・5:00pm-10:00pm 
 
Fogo de Chao
ブラジルのシュラスコも肉づくしと呼んでいでしょう。牛肉のいろいろな部位や豚、羊、鶏などを串に刺して焼いて次々にテーブルに持ってきてくれるので、それぞれのちがいを存分に味わうことができます。LAにはいくつものシュラスコの店がありますが、ここは特にハイレベルです。
予算:$60〜80
N. La Cienega Blvd., Beverly Hills
☎ 310-289-7755  fogodechao.com 
月〜木5:00pm-10:00pm 、 金5:00pm-10:30pm、土4:30pm-10:30pm、日4:00pm-9:30pm 
 
(2014年7月16日掲載)

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