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最近、フランスのブリターニュ地方をゆっくりと旅行してきた。
ブリターニュのおいしいものはといえば、カキ、オマールエビ、ホタテ貝などの海産物、それにラムなどいろいろあるが(すべてめちゃおいしかったです)、この地方をもっとも有名にしている食べものはといえば、クレープだろう。
ほんの数十軒しか家がないような小さな村でも、その中心にいけばかならず教会とクレープ屋さんがある。ちょっ大きい村や町になれば、犬じゃなくて僕が歩いても棒にあたるほど、あちこちにクレープ屋さんがある。
クレープには二種類あるのはご存じだろうか。
メインとして食べるのは塩味系のクレープで、そば粉で作られる(galettes de sarrasin という)。これを食べたあとに、小麦粉で作った甘味系のクレープ(crêpesde froment とよばれる)を食べるのが現地の習慣だ。
現地のひとを見ていると、ひとりで塩・甘・甘の3種類くらい食べている人が多かった。
今回僕がいろいろ食べたクレープのなかで、びっくりするほどおいしかったものがある。
それは甘味系で、バターをぬって砂糖をまぶしたものである(beurre sucre)。
なんとも単純なのだが、そこがうまい。
じつはブリターニュのもうひとつの名産品がバターなのだ。風味がすばらしく、フランスにしては珍しいのだが、塩ケがしっかりきいている。
砂糖って塩ケによくあいますね。
そしてこの単純さが、クレープ本来の風味をいっそうひきたたせているのだ。
ほかにも蜂蜜だけとか、塩味系ではバターだけ、オニオンだけなんてのもある。
いろいろの味を載せて楽しむのもいいけれど、シンプルこそベストといってもいい。
そういう食べものはクレープ以外にもいろいろある。
モリソバがそうですね。
天プラソバとか鴨南蛮なんかもいいのだが、ソバそのものの味と香り、ノド越しを味わうのなら、なんてったってモリソバがいちばんだ。
うどんだって、たとえば伊勢うどんのフワっとした食感には、醤油をちょっと垂らすだけがいちばんだ。
スパゲッティだって、ガーリックとオリーブオイルだけのAlio e Olio。
ラーメンだって、トンコツにチャーシューにあれこれのトッピングを載せるよりも、僕は「原点に帰れ!」の、カツオぶしのダシのスープに、シナチクと薄いナルト、それにネギひとつまみ、これがいちばん好きなのです。
チャイニーズには、伊麺(イーメン)というのがある。
広東や香港料理にもあるが、潮州地方では、宴会コースのいちばん最後にこれをよく食べる。
パリパリに焼いた麺が大皿に載ってでてくる。皿には麺だけ。具はなにもない。
そしてこれに砂糖をふりかける。
それで、食べる。
そう、これもSimple is the best。
宴会であれこれ食べつくしたあとのシメには、このシンプルさがいい。
そしてやはり、決め手は醤油ベースの塩ケで炒めた麺と砂糖、この組み合わせなのである。このうえなくうまい。
これが、僕にとってはいちばんいい麺なのです。
LAではココ!「予算」は2人分です
Crème de la Crêpe
モディファイしたクレープの店が多いアメリカで、ホンモノのクレープをサーブする店です。もちろんソバ粉のクレープも種類がいろいろあり、小麦粉の甘系のクレープにも、砂糖とバターのシンプルなクレープ(ここではsucrêeと呼んでいる)をはじめ、さまざまなタイプがあります。
予算:$25
424 Pier Ave., Hermosa Beach(他、Long Beach、Culver City、Manhattan Beach、Redondo Beachにもあり)
☎ 310-937-2822 cremedelacrepe.com
毎日8:00am-10:00pm
Colori Kitchen
特に夜はちょっと行きにくい場所で一見入りづらい雰囲気の店ですが、入ってみると活気があってサービスもよく、なによりも料理がオーセンティックな南イタリア料理で、味がいいのがうれしいです。スパゲッティ・アリオ・エ・オリオもあります。
予算:$60-70
429 W. 8th St., Los Angeles☎ 213-622-5950 http://colorikitchen.com
火〜木11:30am-2:30pm・6:00pm-9:00pm、金11:30am-2:30pm・6:00pm-10:00pm、土6:00pm-10:00pm 日月 closed
(2014年10月1日掲載)