ジャガイモだってあなどれない

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Mr.世界(ジャガイモだってあなどれない)

今回は、前号のカボチャの続編。
 
「ジャガイモ」の「ジャガ」って、どういう意味だか知ってますか?
 
僕が子供のころは、別名「ジャガタラいも」といったもので、そこからわかるようにインドネシアの「ジャカルタ」、それがちょっと訛ってなおかつ省略されて、「ジャガ」になったのだ。
 
「『カボチャ』はポルトガル人が『カンボジア』から日本に持って来た」と前号で書いたが、それと同じように、「ジャガイモ」はオランダ人が「ジャカルタ」から持ってきたわけである。
 
原産地はやはり南米アンデス山脈。
 
食材には、もたらされた地名がつけられたケースが多い。
 
ポルトガルから伝来した火縄銃が「種子島」と呼ばれたのとおなじことだ。
 
ヤマイモは山から、サトイモは里から、トロロイモはトロロから。
 
名前はさておき、いま世界で食べられるジャガイモは、どこに行っても味はそう変わらない。
 
…と思っていませんか?それがそうではないのです。
 
まず、日本がおいしい。世界でもトップクラスだと思う。特に北海道。
 
アメリカのジャガイモは、僕にいわせると、残念ながらあまりおいしくない。
 
香りが少なく、食感も、マッシュトポテトのように潰してしまえばあまりよく分からないのだが、茹でたジャガイモやフレンチフライでは、ヨーロッパのジャガイモに比べて通常大きく劣る。
 
ヨーロッパに旅行すると、「ああジャガイモがおいしい」といつも思う。
 
色がアメリカのものよりずっと黄色くて風味に富んで、食感がいい。
 
ベルギーやフランスのフレンチフライはもちろんだが、特に北欧やドイツでいろいろな料理のつけあわせとして出てくる茹でたジャガイモ。
 
たとえば、南ドイツはバイエルン地方の湖水でとれる青鱒の料理Forelle Blau は、皿に姿のままの蒸した青鱒と、茹でた小さいジャガイモが何個か載っているだけの料理だ。ソースはない。
 
溶かしバターと塩、それにレモン、これだけで食べる。これがなんともはやうまいんですね。これを書いていると南ドイツに行きたくなる。
 
フレンチフライについていえば、中南米ではそのことをふつうPapas Fritas とよぶ。
 
papa というのは原住民ケチュア人の言葉でジャガイモのことなのだが、公用語スペイン語ではPapa というとローマ法王(英語のPope)のこと。つまり「法王フライ」ですね。
 
ところかわって中国では、ジャガイモ(土豆=トゥードウ)はさほど多用される食材ではないが、おいしい料理もある。
 
僕がいちばん記憶に残っているのは、ロスアンジェルスだ。
 
巨大チャイナタウンSan Gabriel 地区に以前あった湘南料理の店で、「清炒土豆絲」。
 
ジャガイモの千切りを数条の青ネギと少しの酢とともにゴマ油で炒めただけの、ごく簡単な料理だ。
 
一見スパゲッティ・アリオ・エ・オリオと見まごうような姿をしていて、一口食べてうまくてびっくりした。
 
副菜の役目しかないと思ってたジャガイモが、主菜にもなるんだという驚きでもありました。
 
LAではココ!「予算」は2人分です
168 Garden(雲南橋香園)
四川省のとなり雲南省の料理は、やはり辛い料理も多いのですが、米の麺を使ったスープ麺、過橋米線などの独特の料理もあり、興味深く、そしておいしいです。この店にはジャガイモを炒めた料理があります。
予算:約$20
1530 S. San Gabriel Blvd., San Gabriel
☎ 626-280-7688 
月〜土11:00am-10:00pm、日11:00am-9:30pm 
 
El Amerikano
ラテンアメリカとアメリカのフュージョン料理の店。個性のある料理はとてもおいしくサービスもすばらしい。となりの同系列の店Kentroと同じく、フレンチフライがさくさくとして香ばしく、ワインのつまみとして最適です。
予算:$30〜60
100 S. Harbor Blvd., Fullerton
☎ 714-525-2126 http://elamerikano.com
毎日11:00am-10:00pm 
 
(2104年12月1日掲載)

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