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レストランでの食事の楽しさって、料理の味だけで決まるわけじゃないですね。 
サービスやデコア、一緒に食べる相手、そのほかいろいろな要素がある。ウェイトレスが美人だったらすこしおいしくなるかな。
BGMなど、周りから聞こえてくる音もポイントだ、ってことについては何号か前に書いたけど、周りから目に入ってくるものもかなり重要な要素だと思う。
このあいだサンタモニカのMélisse というフレンチ・レストランで食事をした。
ここは僕にいわせれば、ロスアンジェルス地域でベストのフレンチで、料理やサービスはまことにすばらしい。
店のデコアがシンプルだ。
これがいいのですね。余分に目を奪う飾りがない。
ひたすらテーブルに登場する料理と、食事の相手との会話を楽しむことができる。
最近アメリカに、壁に大型テレビを据え付けた店が多くなった。
食事とは無関係の、バスケットだのフットボールだの、人がチョコマカ動き回っていて、見たくないと思っててもどうしても目がひっぱられる。食事に集中できず、おいしくなくなる(そういう意味では美人のウェイトレスもそうかもしれないですが)。
ところが最近、テレビもいいもんだな、という経験をした。
オーストラリアのブリスベーン、海岸のシーフードレストラン。店内に何台かあるテレビに、熱帯魚やサンゴなどがずっと映っていた。
ゆったり泳いだり、波にゆられたりしている美しい画像だ。
その視覚効果がシーフード料理と自然にブレンドして、心がなごみ、おいしくなった。
でも、ふと思ったのは、これがもしステーキレストランで、映っているのが可愛い仔
牛で、母牛の乳を飲んでいる画像だったらどうだろう。
仔牛のソテーかなんか食べてる自分が悪者に思える。
このシーフードレストランのばあいは、食べてるものと直接関係ない熱帯魚だからいいのだ。
ほかの料理の店でも、たとえば風にゆったりと波打つ小麦畑とか、花畑とかでもいい。
あるいは、その店のキッチンで料理をしているところを映してもいいではないか。
いまアメリカではオープンキッチンがはやっていたり、キッチンの中にテーブルを入れて食べさせたりする店があるくらいだし、料理をしているところを見ると食欲をそそられるものだ。
テレビ以外でも、たとえばフレンチやイタリアンで、店内からよく見えるところにワインラックをしつらえて、ワインボトルたちがきれいな照明をあびて陳列されていたりするところもある。
これも見るだけでワインが飲みたくなるし、飲んでみるとおいしく感じる。
悪い例でいえば、チャイニーズの海鮮料理店によくある店。店内に水槽があって、エビやカニが押し込められているところだ。何重にも積み重ねられて、苦しそうにしている。しかも水が緑色に汚れてたりする。
香港のラマ島というところでは、店の外に大きな水槽があって、流れる大量の水でとても清涼感があり、魚も楽しそうにしている(ようにみえる)。注文して、店内でそのさかなが料理されてくるのを待ってる。
このときは罪悪感は感じませんでした。
 
LAではココ!「予算」は2人分です
Mélisse
文中で紹介した店です。コースメニューだけで、特に10コースの懐石料理スタイルのメニューは、食べるのに約3時間かかりますが、その創作的で目と舌を次から次へ驚かす料理は絶賛に値します。
予算:$100〜
1104 Wilshire Blvd., Santa Monica
☎310-395-0881 http://melisse.com
火〜木6:00pm-9:30pm、金6:00pm-10:00pm、土5:45pm-10:00pm 
 
The Factory Kitchen
オープンキッチンのイタリアン。最近どんどんダウンタウンLAに新しくオープンしているハイレベルの店のひとつで、ここは特に繊細でかつダイナミックな料理の数々とヒップな雰囲気と客層にびっくりしました。
予算:$60
1300 Factory Place Suite 101, Los Angeles
☎ 213-996-6000 www.thefactorykitchen.com
月〜木11:30am-2:30pm・5:30pm-10:00pm、金11:30am-
2:30pm・5:30pm-11:00pm、土5:00am-11:00pm、日5:00pm-10:00pm 
 
(2015年6月1日掲載)

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