くる日もくる日もクルフィを

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Mr.世界(くる日もくる日もクルフィを)

このあいだ友人たちとインド料理を食べに行ったときのこと。
いろいろな料理を食べ終わったところで、「インド料理には、どんなデザートがあるの?」という質問がでた。
「クルフィというアイスクリームの一種があるよ」と答えつつ、僕は「そういえば、日本人はクルフィのことをあまり知らないな」と気がついた。
 
これはライトハウスにも書かなくっちゃ!
あの暑いインドのこと、冷たいクルフィはポピュラーなお菓子だ。
スタンドにもあるし、レストランのデザートとしても、どこの店にもおいてある。
アメリカのインド料理店でもしかり。
その晩、友人たちに勧めたピスタチオ・フレーバーのクルフィは、みんなが「おいしいおいしい」と喜んで食べてくれた。
「でも、アイスクリームとはちょっとちがうね」。
 
そうです。なにがちがうのでしょう?
まずレシピからいくと、ミルクに砂糖を入れ、煮詰めて半分かそれ以下の分量にしたあと、冷蔵庫で凍らせる。それだけだ。
ピスタチオやアーモンドなど、ナッツのペーストを混ぜたり、イチゴ、マンゴー、リンゴ、オレンジ、アボカド、さらにはカルダモンやサフランなどを溶かし込んだものなど、フレーバーのバラエティーにもこと欠かない。
ミルクだけのクルフィに、上から溶かしたチョコレートやシロップなどをかけてもおいしい。
 
アイスクリームとちがうのは、まず、卵を使わないことだ。
これはベジタリアンの多いインドのことだから納得がいくだろう。
それから、凍らせるときにホイップしないこと。
ホイップすると空気が入り、フワッとした感じになるが、クルフィはシャーベットのようにシャラシャラした爽やかな舌触りになり、これがまた涼感をさらに増やす。
 
これ、じつはイタリアで「セミフレッド」と呼ばれるデザートとほぼおなじだ。
セミフレッドは、ジェラート(アイスクリーム)、ソルベット(シャーベット)とならぶ、
イタリア三大フローズン・デザートのひとつである(この三つしかないですけどね)。
日本人がイタリアに行くと、ジェラートとソルベットは食べる人が多いだろうが、セミフレッドは知らないまま帰ってくる人が多いようだ。
 
ところがクルフィは、インドではアイスクリームやシャーベットよりもずっとポピュラーだから、インドに旅行した日本人たちがはじめてこれに出会って、しっかりはまっちゃって、毎日毎日食べることがあるようだ。
それでしっかりお腹をこわす。
インドのミルクは殺菌していないことが多いので、ラッシー(ヨーグルトドリンク)もクルフィも、店によってはちょっとリスキーだ。
でもアメリカのインド料理店ならだいじょーぶ。ぜひトライしてみてください。
 
(2007年6月1日号掲載)

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