「Escargot」(エスカルゴ)、つまりカタツムリはフランスを代表する食材のひとつ…。
パリに行ったら、本場のエスカルゴを食べてみないことには話にならない…。
夕食時ともなると観光客であふれかえるパリのカルチエ・ラタン。
レストランの外に貼り出されたメニューをみるとどこもかしこもオニオン・グラタンにクレープそれにエスカルゴ。
エスカルゴがフランス料理の象徴のように思っている外国人がいかに多いかということであろう。
オニオン・グラタンやクレープは、たしかにパリでもポピュラーな食べものだがエスカルゴは、観光客むけのレストラン以外には、めったにないのである。
とはいえ、食べてみれば、これはけっこううまいものだ。
ブルゴーニュ地方が本場とされていて、「ブルゴーニュ風」とよばれる食べかたは内臓を取り除いたエスカルゴに、ガーリックとパセリとエシャロットを刻んでまぜた
熱ーいバターをたっぷりからませて食べる。
フランスのバターは香りがいいし、それだけ舐めたってえらくうまいんだから。
カタツムリなんて食感がキモチ悪い、と言う人もいるかもしれないが、要するに巻貝である。
つまりサザエやタニシなどの仲間が、陸上に上がっただけの話だ。
サザエやタニシは、日本でも壷焼きにしたり、味噌汁に入れたりして食べる。
カリブ海でも、コンクという小さな巻貝を茹でて食べるのはとてもポピュラーだ。
エスカルゴの食感もまさにそれで、歯に心地よい弾力がある。
ミル貝やタコの食感にも近い。
そう言えば、タコだってもともとは巻貝が貝を捨てて進化したものらしい。
ブルゴーニュでは、エスカルゴたちにブルゴーニュ(つまりバーガンディ)ワインを作るブドウの葉を食べさせて育てる。
だから、特に香りもよく、おいしいのだ。
もちろん、衛生的に育てられる。
LAでも、雨がたくさん降ったあとにそのへんにカタツムリが這い回っているがあれは寄生虫もいるし、泥の成分の中の人体に有害なものも食べているから取って食べるわけにはいかない。
カタツムリを食べるのは、なにもフランスの専売特許ではなく、中国や韓国でも食べるし日本でも昔から味噌汁に入れたり、そのまま茹でて食べる地方があるという。
インターネットでしらべたら、三重県に、「エスカルゴ牧場」なるものがあった。
ここは、エスカルゴを養殖して日本のフランス料理店などに卸しているらしいが「牧場」という名がコワイではないか。
馬や牛の牧場のように、エスカルゴが野原一面をゾロゾロと走り回っている姿を想像してしまう。
それはともかく、僕はエスカルゴは「ブルゴーニュ風」でしか食べたことはないが巻貝の一種なのだから、サザエやトコブシと同じように壷焼きにしてもうまいのではないだろうか。
あるいは、味噌ナベにでもしたらどうだろう。
カタツムリは漢字で「蝸」と書くのだから「蝸鍋」にしたら字ヅラもいいですしね。
(2007年11月1日号掲載)
エスカルゴ鍋
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