今回は正月にふさわしく、スケールの大きいテーマでいきましょう。
「世界の三大料理とは?」。
フランス料理、中国料理、そしてもうひとつ…。え? トルコ料理?
インターネットの辞典サイト、Wikipediaの日本語版に、「世界三大料理は、中華料理、トルコ料理、フランス料理のこと。フランス料理を外してイタリア料理または日本料理(日本国内のみ通用)を入れるとする説もある」と書いてある。
これは驚いた!
いったい、誰が言い出したことなのだろう?
その人は、トルコ料理を食べたことのある日本人が少ないので、「そんなにおいしい料理があるとは知らなかった!!」と感心してもらいたかったのだろうか。
僕自身、トルコには数回行ったし(今年も行く予定)、おいしいものがないとは言わない。
だけど、「これを世界三大料理」のひとつとするというのは、ちょっと突拍子もないと思うんですけど。
僕に言わせれば、世界にはそれをはるかに凌駕するすばらしい料理がいくつもある。
そう、まずは日本料理。
日本料理が世界的にみていかに文化度が高く、美味な料理であるかということはあらためて別の機会に書くことにするが、少なくともこれが「日本国内のみ」で通用する説ではないことは、ミシュラン東京版をみていただければおわかりだろう。
僕自身、この『美味礼賛』で日本料理をほとんど取り上げないけれども、それは決して日本料理に価値を見出していないわけではなく、日本からLAやSDに来られた方々に、この地の多様な食文化を紹介したい、という一心に他ならない。
少なくとも、イタリア料理やインド料理、タイ料理のほうがトルコ料理よりおいしいと思う。
「フランス料理を外す」?
これもまったく理解ができませんねえ。
それに、「中華料理」と言うけれど、中国には広東あり四川あり上海ありシルクロードの料理あり、その他さまざまな食文化があって、これを全部くくって「中華料理」と言うことからして、おそろしく乱暴なことだと思う。フランス料理、イタリア料理、ドイツ料理、スペイン料理などをすべてくくっているようなものである。
トルコ料理を三大料理のひとつとする説明としては、香辛料や食材がシルクロードを通って広まったからだと書いてある。
だけど、シルクロードならアフガニスタンもイランもあるし、食材の由来を言うのならば、トマトやジャガ芋、唐辛子など、世界の料理に欠かすことのできない材料には中南米から来ているものが沢山ある。
そもそもこの「三大料理」なるもの、「大」の定義がまったく不明ですねえ。
もしも僕が、あえて三大料理を選ぶとすれば、まずその定義は、「食文化が高度に洗練され芸術性に富み、食材と料理形態が多様で、味が格別に優れ、それらの点が世界全体で認知されている国または地域の料理」とでもなるだろうか。
(2009年1月1日号掲載)
世界三大料理とやら
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