ミスター世界の食文化紀行

“ミスター世界”こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカなど、本誌掲載コラムのバックナンバーをセレクトしてご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ライトハウス編集部
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おいしいイチゴはどこにある?

なにを隠そう、僕はイチゴが大好きだ。 毎日、朝食に食べている。 アメリカには、ほんとにおいしい果物はめったにないが、イチゴは特別だ。 いまの季節のイチゴ、スーパーで売っているものではなく、道路脇にある、イチゴ畑の直営スタンドで売っているもの、あれはすごく甘くて香りがたっぷりだ。アメリカが世界に誇れる数少ない食材のひとつだと思う。   とはいうものの、フランス … »ミスター世界の食文化紀行「おいしいイチゴはどこにある?」の続きを読む

韓国料理とは

ベトナム、トルコ、ギリシャと、「…料理とは」シリーズが続いたところで、今回はさらに身近な「韓国料理とは」といきましょう。 とはいっても、いまさら料理の説明をズラズラ書いてもおもしろくないので、僕自身の思うところの「韓国料理の特質」について書かせてください。 韓国料理が世界のほかの料理と大きくちがう点は、いくつかあると思う。まず、言うまでもなく、その類マレなる … »ミスター世界の食文化紀行「韓国料理とは」の続きを読む

ギリシャ料理とは

最近なにかと話題になっている国のひとつに、ギリシャがありますね。 国の財政は逼迫しているらしいが、そのニュースを聞くたびに、それでもきっと、ひとびとは毎日おいしいものを食べているんだろうな、と思う。 この国も、前回書いた隣国トルコとおなじくらい、世界の中で食べものがもっともおいしい国のひとつなのだ。僕に言わせれば、両方とも世界のベストテンに入れてしまいたい。 … »ミスター世界の食文化紀行「ギリシャ料理とは」の続きを読む

トルコ料理のほんとのレベルは?

つい最近、またトルコに行った。 以前に世界三大料理について、「日本では『世界三大料理はフランス、中国、トルコ料理』とされているようだが、トルコ料理はおかしい!」と書いたのを覚えている読者もおられるだろう。 よく調べてみたら、トルコ政府の広報資料などにも三大料理のひとつと書いてある。トルコの友人に聞いたら、トルコ人自身もそう信じているようだ。 じつはそれって、 … »ミスター世界の食文化紀行「トルコ料理のほんとのレベルは?」の続きを読む

イタリアのデザート、いろいろあります

「ティラミス」っていうデザートがありますね。あれって、どういう意味だか知ってますか? スペルは「tiramisu」、分解すると、〝Tiramisù!〞 、つまり「わたしを上に引っ張りあげて」という意味になる。 ちょっと意味深ではないだろうか。 一説によると、男性といっしょに食事をしている女性がデザートにこれを注文したら、「今晩は私をハイな気分にさせて!」とい … »ミスター世界の食文化紀行「イタリアのデザート、いろいろあります」の続きを読む

ベトナム料理とは?

この年末年始は、ベトナムだった。約10日間、朝昼晩、もちろんすべてベトナム料理で過ごした。 ベトナムは今回で二度目だったが、だいぶ「ベトナム料理とは?」、ということがわかった気がする。 なぜかというと、今回は南から北まで縦断していろいろなものを食べたからだけではなく、「クッキングクラス」なるものにも参加したからだ。 ベトナム料理といわれて思い浮かぶのはフォー … »ミスター世界の食文化紀行「ベトナム料理とは?」の続きを読む

交わる餃子

日本の正月はおせち料理、いいですね。僕も大好き。正月ならでは、という季節感がいい。   中国の正月(旧正月ですけど)、といえば、餃子だ。 餃子の「ジャオズ」という中国語(北京語)の発音が「交子」つまり「交わるもの」と同じで、新年の家族の集まりには縁起がいいとされている。いろいろなグを混ぜてひとつの皮で丸く包む、というところも、家族を表わしているのかもしれない … »ミスター世界の食文化紀行「交わる餃子」の続きを読む

モヤシヌードルの効用

じつはなにを隠そう、僕は数年前からダイエットをしている。 ダイエットしながらうまいものを食べ歩くって、とっても難しいだろうなあ。 …と、始めるまえは考えていたのだが、意を決してやってみたら、意外とすんなりうまくいった。   いわゆるアトキンソン・ダイエットというもので、炭水化物を極力減らし(僕のばあいは、全く食べないわけではなく、罪悪感を持ちながら少し食べる … »ミスター世界の食文化紀行「モヤシヌードルの効用」の続きを読む

カレー・咖哩・카레

「今日はカレーにしよう」。「わーい!」。と、どこの家でも歓声があがるほど日本ではポピュラーなカレーライス。言うまでもなく、インドで生まれ、イギリスに渡り、日本に伝来した食べものだ。 じつは、日本に伝来したあと、カレーライスはそこで歩みを止めたわけではない。そこからさらに先をめざしたのだ。 台湾と韓国にも到達し、この二ヶ国でもカレーライスは完全に食文化に根付き … »ミスター世界の食文化紀行「カレー・咖哩・카레」の続きを読む

Turkeyとturkeyの関係は?

さて、今年ももうサンクスギビング。月日の経つのは早いですね。サンクスギビングといえばターキーディナー。 ローストターキーは、イギリスではクリスマスの定番料理で、アメリカではサンクスギビングだ。 どちらにしても、家族や友人が大勢集まって食べるのに、一羽まるごとの大きさがちょうどいいからだろう。見たところも豪華だし。   僕はといえば、ローストターキーが大好物だ … »ミスター世界の食文化紀行「Turkeyとturkeyの関係は?」の続きを読む

海栗海胆雲丹ウニ

ウニは日本独自の食材で、外国ではあんな真っ黒でトゲトゲして海の底にころがっているおぞましい食べものを食べることはない…。 ウニのスパゲッティ、通称ウニスパは、タラスパ、つまりタラコのスパゲッティと並んで、日本人が日本の食材とイタリアのスパゲッティを融合させた、独自の発明である…。 もしかして、あなたはそう思っていませんか? 賢明なる読者は、僕がそういう書き出 … »ミスター世界の食文化紀行「海栗海胆雲丹ウニ」の続きを読む

イタリア以外のイタリアン

ピザにスパゲッティ。世界中どこに行っても手軽に食べることができる食べものだ。どこでも食べられるとはいっても、イタリアで食べるホンモノにくらべ、決してうまいとはいえないばあいがほとんどだ。 例外が二ヶ国ある。日本とイギリスである。去年、イタリアの友人を日本へ観光旅行に連れて行ったとき、彼がいちばんよろこんだ食べものは、スシでもテンプラでもなく、彼が「イタリア以 … »ミスター世界の食文化紀行「イタリア以外のイタリアン」の続きを読む

誇れるアメリカ料理・プライムリブ

いまイギリスに行く機中でこれを書いている。 イギリスに行くのが楽しみな食べものはいくつかあるが、そのひとつがローストビーフだ。 薄切りのローストビーフに、肉汁から作ったソースをたっぷりかけ、ホースラディッシュをちょっとつけて食べる。 弾力のある中心部分の肉と、周辺部分にある白くてとろけるようなあぶら身と、ちょっと焦げ目のパリッとした表面部分。この三者の舌触り … »ミスター世界の食文化紀行「誇れるアメリカ料理・プライムリブ」の続きを読む

バナナさえあれば

バナナ。単に「果物のひとつ」と片づけることはできない存在だ。 僕は宗教は持っていないが、これぞ神様が旅人のためにお作りになった食べ物なのではないか!?とさえ思う。   僕は世界を旅する。 衛生状態がとてもよくない国に行くこともしょっちゅうある。生水なんか決して飲めないというところはザラだ。 歯を磨くのもボトルの水だし、シャワーを浴びるときも口を一文字に結んで … »ミスター世界の食文化紀行「バナナさえあれば」の続きを読む

増えろ!ドッグフレンドリーの店

以前、愛犬ポチを連れてヨーロッパを二ヶ月ほど旅したことがある。 なにが楽しかったといって、フランスでもドイツでもスイスでも、ホテルはもちろんのこと、ほとんどのレストランに犬と一緒に入れるということだ。 高級レストランでさえも、ちゃんと室内に一緒に入ることができて、テーブルの足もとに座らせて食事ができる。   アメリカではこうはいきませんね。 すべてのレストラ … »ミスター世界の食文化紀行「増えろ!ドッグフレンドリーの店」の続きを読む

まだある!眺めの良いアウトドア・バー

最近の本誌で、「眺めの良いアウトドア・バー」という特集があったのをご覧になっただろうか。 とてもいい特集だ。 一年中気候のいい南カリフォルニアやハワイのこと(この記事はハワイでも読まれているのです!)、このすばらしい贅沢を享受せずしてなんとしよう! ピクニックで食べるお弁当やオニギリって、家の中で食べるよりずっとおいしく感じるでしょう? それと同じで、沈む夕 … »ミスター世界の食文化紀行「まだある!眺めの良いアウトドア・バー」の続きを読む

ひらめとかれい

ひらめとかれい。どちらも平たくておいしい。 世界中で食される。 日本では「左ヒラメに右カレイ」と、目のあるところで区別され、「鮃」と「鰈」と字もちがう。中国でもしかり。でも、欧米では、右左は無視しているようだ。 fl ounder、halibut*、plais、soleなどの名前で呼ぶけれど、それぞれ多少違うさかなだったり、ごっちゃになってたり、明確な境界線 … »ミスター世界の食文化紀行「ひらめとかれい」の続きを読む

バゲット・サンド

いまフランスにいる。パリの航空ショーのために来ているのだが、パリ郊外・ルブルジェーにあるこの会場は、パリ市内からのアクセスが悪く、到着するまでにいい加減疲れるところへもってきて、その広さがハンパじゃない。展示を歩いて見てまわったり、フライト・デモが見えるところまで歩いていったりすると、メチャ疲れる。そして来ている人の数がすごい。ランチ時ともなると、決して数が … »ミスター世界の食文化紀行「バゲット・サンド」の続きを読む

雨のワンタン麺

このあいだ、仕事で日本に行ったとき、あいまの週末に、福島を訪ねた。 風評被害で苦しむ福島県に、ほんの僅かでもお金を落としたかったのだ。 じつは、もうひとつ目的があった。 喜多方ラーメン。 来たかたのです。ラーメンを食べに、福島県喜多方に。 駅に着いて歩きだしたら雨が降りはじめ、放射能を含んでいる(かもしれない)雨をあびながら、有名店のひとつ「源来軒」を探しあ … »ミスター世界の食文化紀行「雨のワンタン麺」の続きを読む

機内食昨今

いま飛行機の中でこれを書いている。さっき、食事を食べ終わったところだ。 機内の食事というのは、レストランや家で食べるものとはちがった楽しみがあるものだ。 決まった時間、イヤでも機内に拘束されているということで、いわば「あきらめの境地」に入ってしまい、食事もお酒も徹底して楽しむことができる。 飛行機内での食事ということについては、東海林さだおという天才随筆家が … »ミスター世界の食文化紀行「機内食昨今」の続きを読む

華的甜品在上海!

チャイニーズは値段も安いしおいしいし、早いし、食材の種類がいろいろ食べられて健康にもいいし、家族みんなでいろんな料理を一緒に楽しむことができるし、いいことばかり。でも、もしかして、ひとつだけちょっと不満に思うことがありませんか? そう、デザートです。   フランス料理などにくらべると、食後に食べる甘いものの種類が少ない。広東料理の店には、おしるこに似た「紅豆 … »ミスター世界の食文化紀行「華的甜品在上海!」の続きを読む

雪濃湯を薬味にネギをどうぞ

日本人が親しんでいる韓国料理といえば、「焼肉」と「冷麺」「ビビンバ」、それに「スンドゥブ」あたりが中心ではないだろうか。じつは、僕にとっては、韓国料理の大きな楽しみのひとつが、スープ類である。その代表格が「ソンノルタン」。別名「ソルロンタン」ともいうが、朝鮮半島北部と南部の方言による発音のちがい(どっちがどっちだか忘れました)で、漢字では雪濃湯(先農湯という … »ミスター世界の食文化紀行「雪濃湯を薬味にネギをどうぞ」の続きを読む

アミュージングなアミューズ

前回はプティフールについて書いたが、その対をなすのがアミューズだ。 いずれも、メニューにはのっていない、いわばサプライズ。フランス料理における、食事のいちばん最初と最後をかざる演出である。 アミューズは、正確にはアミューズ・ブーシュ(amuse-bouche) またはアミューズ・ギュール(amuse-gueule)という。 アミューズとは、英語のamuseと … »ミスター世界の食文化紀行「アミュージングなアミューズ」の続きを読む

プティフール

エイプリルフールはもう過ぎちゃったけど、今回はプティフールのはなし。 じつはフールといっても「fool」ではなく、フランス語の「four」、つまり「オーブン」のことだ。   プティというのは、日本でいうところのプチ、いうまでもなく、「小さい」である。 ちょっと高級なフレンチレストランにいって、メインコースを食べ、デザートも食べたそのあとに、小さなお菓子がいく … »ミスター世界の食文化紀行「プティフール」の続きを読む

中韓オコゲバトル

最近日本人のあいだでとみにポピュラーになってきた韓国料理だが、そのなかでも特に人気が上昇しているものに、ドルソッビビンバがあるのではないだろうか。 ドルソッビビンバは、ご存じのように、一人用の石釜に米を入れて炊いて、肉や野菜、卵などさまざまな具を載せたビビンバだ。 本来はその石釜のなかで生米から炊いたものだと思うが、レストランでは炊いておいたご飯を熱した石釜 … »ミスター世界の食文化紀行「中韓オコゲバトル」の続きを読む

イタリアンチーズの魅力

イタリアのチーズって、フランスのチーズとなにがちがうと思いますか?   もったいぶらずにさっさと結論をいってしまうと、本質的にはかわりはありません。 でも、イタリアは「食前」に食べることが多く、フランスは「食後」が多い、というちがいがある。 フランスでも「食前」ということがないとはいわないけど、少なくともレストランのメニューに、アペタイザーとしてチーズプレー … »ミスター世界の食文化紀行「イタリアンチーズの魅力」の続きを読む

マイドギーバッグのすすめ

「ボリュームたっぷり!」。 という表現、レストランの広告や記事で、よく目にしますね。 この形容、僕のコラムには決して出てこないことにお気づきだろうか?   じつは、僕はこれがレストランに対する褒め言葉だとは思わないのである。   たしかに、若い方などで、「とにかく満腹にしたい!」というときは意味のあることだろうが、運ばれてきた皿に盛られた大量の料理を見たとき … »ミスター世界の食文化紀行「マイドギーバッグのすすめ」の続きを読む

今日はcurries

「きょうはカレーにしよう!」となったとき、みなさんは、「さて、入れる肉はなんにしよう?」と悩みませんか?   「ビーフ」?「ポーク」?「チキン」? 日本の全家庭で統計をとったら、どれが一位になるんだろ? おそらくほとんど差がないくらい、どれもポピュラーだと思う。   さて、これがインドの家庭だったら? ナンバー1が「チキン」、ナンバー2が「羊」だろう。 でも … »ミスター世界の食文化紀行「今日はcurries」の続きを読む

南インドの朝ごはん

いま、南インドに来ている。   ことしの正月はムンバイで迎えた。 インド北部は何回か旅をしたのだが、南インドの観光旅行は今回が初めてだ。 パワーと無秩序、贅沢と貧困、そしてヒンズー教の強烈な精神世界。インドには世界に二つとない、僕をひきつけてやまない、独特の魅力がある。   そして、もうひとつの魅力は?さーていったいなんでしょう? バレちゃったかな。そう、イ … »ミスター世界の食文化紀行「南インドの朝ごはん」の続きを読む

ウサギおいし、かの山

ずっとまえにフランスに行ったときのこと。 「フランスではウサギを食べる」と聞きかじりしていて、「食べてみたい!」と思った。 そこでいくつかのレストランに行って、「ウサギはあるか」と訊いてみたのだが、どこに行ってもこたえは「Non」。 あとでわかったことは、ウサギという食べものは基本的にジビエ(野生)で冬の食材なのだが、そのときは夏だったのだ。 農場で飼われた … »ミスター世界の食文化紀行「ウサギおいし、かの山」の続きを読む