ミスター世界の食文化紀行

“ミスター世界”こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカなど、本誌掲載コラムのバックナンバーをセレクトしてご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ライトハウス編集部
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チーファ料理のしあわせ

僕がロサンゼルスに住んでいて、どういうことにしあわせを感じると思いますか?   そう、このコーナーをいつも読んでくださっている方ならご存じのとおり、毎日ちがう世界中の食文化を、しかも正真正銘オーセンティックな料理を味わえることである。 しかも、チャイニーズひとつを例にとってみても、広東、上海、江南、台湾、四川、湖南、潮州、山東、山西、北京、福建、雲南、澳門( … »ミスター世界の食文化紀行「チーファ料理のしあわせ」の続きを読む

ドンカス

いま、韓国に来ている。 韓国の街には、日食の店があちこちにある。 これは太陽の満ち欠けとは関係なく、日本食のレストランのことである。 日本人以外では、韓国人ほど日本食の好きな国民はないだろう。 それは当然、LAの韓国人コミュニティーでも同じことで、スシだけではなく、いまやドンカスの店があちこちにできている。   ドンカスとはなんぞや。 トンカツのことである。 … »ミスター世界の食文化紀行「ドンカス」の続きを読む

ピーマンって、どんな男?

ピーマンという野菜がある。 日本人ならだれでも知ってるこの野菜、さて、英語でなんというか、普通の日本人はあまり知らないだろう。 もちろんアメリカ在住のあなたはご存じ、bell pepperですね。 それじゃ、「ピーマン」って、どこから来た名前? そもそも、どういうスペル? どうです、知らないでしょう? peamanじゃ「豆男」みたいでヘンだし、pee man … »ミスター世界の食文化紀行「ピーマンって、どんな男?」の続きを読む

究極の贅沢食

Photo by Masakazu Sekine 今年の正月は、南半球はフレンチ・ポリネシア諸島のいくつかで過ごした。 通称タヒチである。 そして、今回その中のボラボラ島で、食に関する新たな体験があったので、ご報告しよう。 ここはいまも純然たるフランスの植民地だ。 フランス系の住民やフランスからのバカンス客が多いのは当然だが、現地の人々の多くも、フランスの植 … »ミスター世界の食文化紀行「究極の贅沢食」の続きを読む

アルフレッドでアルフレッドを食す

このあいだ、ニューヨークに行ったときのこと。 さあ今晩は何を食べようかな、とレストランのリストを眺めていて、はっと気がついた。 アルフレッドに行ってアルフレッドを食べてみよう。 イタリアン・レストランの定番メニュー、フェトゥッチーニ・アルフレッド。 スパゲッティー・ミートボール、シーザーズサラダとともに、アメリカにあってイタリアにないイタリア料理の黄金トリオ … »ミスター世界の食文化紀行「アルフレッドでアルフレッドを食す」の続きを読む

アメリカでフランスを

「ミシュランの星」なるものは、だれもが聞いたことがあるだろう。   フランスのタイヤメーカー、Michelinが毎年発行するガイドブック、これに掲載されるだけでも立派なことだが、星がつくということは大変な名誉なのである。 三ツ星が最高で、それに選ばれる店はパリにも毎年数軒しかない。 そもそも、星が一つでもつくような店というのは、料理がただおいしい、ということ … »ミスター世界の食文化紀行「アメリカでフランスを」の続きを読む

チョコレート・チキン

チキンにチョコレートをかけて食べたこと、ありますか? アイスクリームやクレープにチョコレートというのは誰でも知っているけど、チキンにチョコというのは、知ってる人は知ってる、知らない人は知らない料理の代表のような、メキシコ料理「モレ・ポブラーノ」のことである。 そもそも、チョコレートの原料カカオ豆は、4千年ほどまえ、メキシコのユカタン半島あたりに栄えたマヤ人が … »ミスター世界の食文化紀行「チョコレート・チキン」の続きを読む

ビストロ! ビストロ!

今年二回目のパリ。 10月後半というのに、25℃前後と、異常な暖かさだ。 普通だったら10度くらいなのに。 これも異常気象なのだろうか。 緯度が高いパリは、秋も深まると、夕暮れが早く訪れる。 昼間のパリも文句ないが、夕暮れのパリはうっとりする。 うっすらと青さが残る空に、高さがそろった美しいビルたちが、それぞれ下からライトをあてられて清清と浮かび上がっている … »ミスター世界の食文化紀行「ビストロ! ビストロ!」の続きを読む

ラーメンの逆輸出

ラーメンはどこから来たか? その名の由来は? 新横浜のラーメン博物館に行ってみた。 で、そこの展示説明によれば、日本では明治の末、浅草の来々軒で始めたのが最初だという。 ラーメンという命名は、大正11年、北海道竹家食堂の王さん(山東人)が、肉絲麺を作って客にだすときに、「よし出来た」という意味で「好了」(ハオラ)と言うのを妻タツさんが聞いて命名したと書いてあ … »ミスター世界の食文化紀行「ラーメンの逆輸出」の続きを読む

ライスのマナーに結論を

結婚式などのハレの席で、料理とともに白いライスがお皿に盛られて登場、テーブルにはナイフとフォーク、みなさんは、さあどうやって食べますか? このテーマはむかーしから常に話題になってきたことで、いろんなひとがいろんな意見をいったり書いたりしている。   日本の伝統的なテーブルマナーとされるものでは、フォークの背にナイフでライスをぬりつけて食べろ、といわれてきた。 … »ミスター世界の食文化紀行「ライスのマナーに結論を」の続きを読む

四川料理の真髄に迫る

辛い料理と辛くないスープの組み合わせ(Photo by Masakazu Sekine) 白状します。 僕は今まで中華料理について偉そうなことをいっぱい書いてきましたが、四川料理の本場、四川省には一度も行ったことがありませんでした…。 もちろん、LAの四川レストランはたくさん食べあるいたし、香港や北京では四川料理店にもいろいろ行ってみた。   しかしこの夏、 … »ミスター世界の食文化紀行「四川料理の真髄に迫る」の続きを読む

パン

こりゃまた短い題名!  しかもずいぶんベーシックな食べものだな、と思われたかもしれないが、これがなかなか重要なテーマなのである。   僕は、なにを隠そう、LAに住みはじめてから30年を超えてしまったが、この地はむかしはパンがえらくまずかった。 日本に行くとずっとパンがうまいので、LAに戻るときにはよくおみや買って帰ったものだった。   10数年まえだったかな … »ミスター世界の食文化紀行「パン」の続きを読む

驚きの天津肉マン

天津狗不理の包子(Photo by Masakazu Sekine) 前号に続いてチャイニーズになっちゃったが、今夏の中国旅行で発見したいろいろな食べものについて、書きたいことがいっぱいあるのだ。そのひとつが、天津の肉マンである。   内陸にある北京から、列車にのって南東つまり海のほうへ一時間ちょっと、天津は北京にいちばん近い港町で、大都会である。感覚的には … »ミスター世界の食文化紀行「驚きの天津肉マン」の続きを読む

ナマコ

ナマコ? なんだ、今回はあんまりおいしそうなテーマじゃないなあ、と思われたかな? でも、僕にいわせていただくと、日本人は、ナマコのおいしさを知らないだけなのだ。 と、えらそうなことを書いたものの、じつは、ナマコの本当のうまさは、僕もついさっき知ったばかりなのである。   いま、北京。 ナマコはうまい、というはなしは聞いていたし、そこそこうまいナマコも食べたこ … »ミスター世界の食文化紀行「ナマコ」の続きを読む

オムレツと世界遺産

Photo by Masakazu Sekine ユネスコの世界遺産。   どんどん数がふえていて、僕にいわせれば、観光的見地からすると、ちょっと安売りしすぎなのではないかとさえ思う。 自然遺産として貴重な自然を保存しようというのはわかるし、文化遺産として歴史を将来に伝えようというのもよく理解できるが、観光客として訪れたばあい、視覚的に、または体感的に、おお … »ミスター世界の食文化紀行「オムレツと世界遺産」の続きを読む

なぜだろう、コーンポタージュ

僕は日本に住んでいたころ、コーンポタージュが大好きで、レストランに行くとよく頼んでいた。 スープというのは、こういうものだと思っていた。 でも、あるとき考えた。 なぜ日本のレストランでは、どこへいっても、スープというと、コーンポタージュとコンソメのふたつしかないのだろう。   そうして、外国を旅行するようになって、気がついた。 コーンポタージュは、日本だけに … »ミスター世界の食文化紀行「なぜだろう、コーンポタージュ」の続きを読む

夏にウナギを冬にウナギを

7月23日は、『土用の丑の日』。 土用の丑の日というのは、じつは春夏秋冬それぞれにあるのだが、日本では夏だけが有名になっている。 それはウナギが関連しているからだろう。 なぜこの日にウナギを食べるかというと、「夏バテに打ち勝つために」という説が一般的だが、本来は「ウ」がつくもの、つまりウリや梅干し、ウドンなども食べる日だった、という説もある。 じつは、ウナギ … »ミスター世界の食文化紀行「夏にウナギを冬にウナギを」の続きを読む

食事の前にマンチーズ

レストランに入る。テーブルにつく。メニューを見る。 料理をえらぶ。注文もおわった。さあ、どうしよう…。 料理を待っている時間というのは、かなり退屈なものなのだ。 仲間がいれば話をしていればいいが、それでもどうも手のやりばに困る。 そういうときに、なにかつまむものがあると助かる。 つまり、マンチーズですね。 マンチーズといってもチーズの種類ではない。 Munc … »ミスター世界の食文化紀行「食事の前にマンチーズ」の続きを読む

ディジェスティーボは消化薬

昨晩はイタリア人の友人にディナーをごちそうになった。 賑やかに会話がはずみ、泣きたくなるほどおいしいパスタ、地中海ならではの香り高いエビやイカ、さわやかなイタリアン・ワインでお腹がはちきれそうになったところで、歓喜のフィナーレとなった。   デザート、そしてディジェスティーボである。 お腹が一杯なので、デザートは、軽くソルベット(シャーベット)にして、 ディ … »ミスター世界の食文化紀行「ディジェスティーボは消化薬」の続きを読む

ちょーおいしい腸粉

チャイニーズ、なかでも香港をはじめとする広東料理に、「腸粉」というものがある。 腸粉とはなんぞや? 動物の腸を粉にして飲む漢方薬? さにあらず。   まず、「粉」は、もともと中国語でも日本語と同じ意味だが、料理用語としては、いったん粉にしてから水に溶かして、さらに加工した食品のこともそうよぶ。 たとえば米の麺、つまりベトナムでいうPho は中国でいえば「粉絲 … »ミスター世界の食文化紀行「ちょーおいしい腸粉」の続きを読む

ヘンなフランス語

前回は、アメリカにおけるヘンなイタリアンのはなしだったので、今回はヘンなフレンチについて書こう。   と思ったら、これがあんまりない。   イタリアのほうは古くから移民がとても多く、かれらの食文化が長いあいだにアメリカナイズしていったのだろうが、フランス系にはそういう歴史がないようだ。   しいていえば、エスカルゴ(かたつむり)。フランス料理の代名詞のように … »ミスター世界の食文化紀行「ヘンなフランス語」の続きを読む

まだある! イタリアにはないイタリア料理

みんながイタリア料理だと思っているけど、イタリアにはありません」シリーズの第3弾。スパゲッティー・ミートボール、シーザーズ・サラダを紹介したことがあるが、今回はまとめてご紹介する。   まずはガーリック・トースト。 アメリカ人にとって、イタリアン・レストランにガーリック・トーストがないなんて、コーヒーにクリープがないようなもの。チャイニーズ・レストランにフォ … »ミスター世界の食文化紀行「まだある! イタリアにはないイタリア料理」の続きを読む

おなかがすいたらグーラッシュ

今回はハンガリー料理。   どうしてこのタイトルにしたかというと、ハンガリーについて考えていたら、ハングリーという単語が頭に浮かんできた、という学術的にいって、たいへん理にかなった理由である。   僕は東欧の国はすべて旅したが、うまいものに関しては、共産主義の後遺症もあってか、あまりめぐりあわなかった。そのなかで、ハンガリーだけ例外的に食べものをエンジョイし … »ミスター世界の食文化紀行「おなかがすいたらグーラッシュ」の続きを読む

そもそもサラダとは?(サラダの由来)

このあいだ、サラダを食べていて、ふと思った。 なぜ日本では「サラダ」、っていうんだろう。 英語の「salad」が語源なら、「サラド」となりそうなもんだが。 フランス語も「salad」、ドイツ語は「salat」、イタリア語は「insalata」、スペイン語は「ensalada」、中国語では「沙律(サーラ)」…。   あ、ポルトガル語がサラダ「salada」だ! … »ミスター世界の食文化紀行「そもそもサラダとは?(サラダの由来)」の続きを読む

マンドゥー・デイシジョ!

今回は韓国のマンドゥー、つまり饅頭(まんじゅう)である。 饅頭とは言っても、韓国では、日本や中国でいうような丸いパンの中に具や餡をつめたものではなく、まさに餃子のことである。 蒸した餃子のことを「チン(蒸)マンドゥー」、水餃子、つまり湯で煮た餃子のことを「ムル(水)マンドゥー」と言う。 そして焼き餃子のことは、なんと「ヤキマンドゥー」と言う。ヤキという日本語 … »ミスター世界の食文化紀行「マンドゥー・デイシジョ!」の続きを読む

兄弟愛のチーズステーキ

今回は珍しくアメリカ料理。   料理というほどでもないかもしれないが、フィラデルフィアのサンドイッチ。これは日本やヨーロッパにくらべてアメリカではかなり少ない、ご当地名物のひとつである。 ニューヨークのホットドッグ、ボストンのクラムチャウダー、テキサスの巨大ステーキ、サンフランシスコのサワードウなどもその部類だ。   フィラデルフィアはもともと、アメリカでも … »ミスター世界の食文化紀行「兄弟愛のチーズステーキ」の続きを読む

イタリアン・レストラン食習慣

以前書いた、「韓国レストランの食習慣」がご好評をいただいたので、調子にのって今回はイタリアン・レストランでの習慣について。 韓国の次なら中国じゃないの、と思われるかもしれないが、日本の多くのひとが知ってるつもりで知らない習慣ランキングNO.2がイタリアなのである。   まずは、パンの食べかた。 レストランに入ると、テーブルにすぐ「pane」つまりパンがバスケ … »ミスター世界の食文化紀行「イタリアン・レストラン食習慣」の続きを読む

エスニック上級者コース、モヒンガー

ミャンマーのモヒンガー。文中の屋台ではなく、高級レストランで撮影(Photo by Masakazu Sekine) モヒンガー?? なんだそれ、モモンガーの親戚? エスニック好きの読者でも、モヒンガーをご存じの方はそう多くはないだろう。これは、ミャンマーを代表する料理のひとつである。   ミャンマーは、以前ビルマと呼ばれていた国である。「ビルマ」はイギリス … »ミスター世界の食文化紀行「エスニック上級者コース、モヒンガー」の続きを読む

煨麺

「煨麺」。さてこれはなんと読むのでしょう。 「くまめん」かな?いや、「隈」なら「くま」だが、「煨」はちがう。 「煨」は、日本語で「うずみ火」と読む。なんと美しいひびきのことばだろう。 灰の中などに埋めた火のことである。『なかなかに 消えは消えなで うずみ火の』とは新古今和歌集の歌だ。 中国語では「ウェイ」と発音する。 現代の中国語では、「とろ火でとろとろ煮る … »ミスター世界の食文化紀行「煨麺」の続きを読む

謹賀新年

みなさんは今年もおせち料理を食べましたか? ここはアメリカ。それなのに、ちゃんと日本のおせち料理が食べられる。カリフォルニアはすばらしいところだと思いませんか。   さて、そのおせちだが、漢字で書けば御節料理、つまり1年に5つある季節のかわりめを祝う、日本独特の伝統料理だ。 一家みんなでお祝いをする正月だから、このときだけは主婦も仕事はお休み。かまどの火も落 … »ミスター世界の食文化紀行「謹賀新年」の続きを読む