ミスター世界の食文化紀行

“ミスター世界”こと、関根正和さんによる「食」に関するライトハウスの人気コラム。食体験にまつわる楽しい話題や、移民の国アメリカなど、本誌掲載コラムのバックナンバーをセレクトしてご紹介します。世界各国の珍しい食材や独特な調理方法、料理の特徴など、読めば新たな発見があるはず!

ミスター世界…世界230以上の国・地域を旅し、本場の食体験と、LA界隈の4000軒以上のレストラン食べ歩きの経験をもとに、食文化評論家として活躍。

ライトハウス編集部
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韓式食堂習慣②

前回に続いて、近くて遠い国、韓国のひと味ちがうマナーについて。 韓国レストランのテーブルで、日本人がすぐに気がつくちがいは、ずらっと並んだ副菜(パンジャン)やキムチたちの種類の多さとともに、ゴハンが金属のお椀に入っているということだろう。 お箸のほかに、金属のスプーンが置いてあるところもちがう。   お箸も、アメリカのコリアンレストランでは割り箸だが、韓国に … »ミスター世界の食文化紀行「韓式食堂習慣②」の続きを読む

韓式食堂習慣①

韓国については「近くて遠い国」とよく言われるが、言い得て妙だとおもう。 似ているところが多いからこそ違いが目立つのだろうが、今回は日本とはひと味ちがう、韓国におけるレストランでの習慣について。   もちろん個人差があり、アメリカではアメリカナイズしている人もいるから一概には言えないのだが、平均的に言って、いろいろおもしろいちがいがある。   まず、日本よりお … »ミスター世界の食文化紀行「韓式食堂習慣①」の続きを読む

ジビエってなに?

ジビエとはなんぞや。 漢字だと「地冷え」? それとも「痔冷え」かな? さもなきゃ「耳鼻江」っていう女性のなまえ? 日本語だとなんとも重々しいサウンドだが、じつはこれはフランス語で「gibier」。猟の獲物のことである。英語でいえば「game」だ。 これから秋が深まって、冬になるとその季節となる。   フランスをはじめヨーロッパの食道楽たちは、それが楽しみで、 … »ミスター世界の食文化紀行「ジビエってなに?」の続きを読む

世界にひろがるロースト・ビーフ

鎌倉に、ローストビーフの老舗で、有名な店がある。そこに行ってみた友人が、ひとりまえ6千円で注文して出てきたローストビーフがあまりに薄くて小さいので、つけ合わせはいらないから肉だけもう1枚追加してくださいとたのんだら、薄い肉がもう1枚でてきて、請求書はちゃんと1万2千円になっていたそうだ。   それで、おいしかったのかどうかは話題にならなかった。 日本ではこう … »ミスター世界の食文化紀行「世界にひろがるロースト・ビーフ」の続きを読む

みず

あれあれ、ミスター世界とやら、ついにネタがなくなったとみえて、『水』なんかについて書いてるよ、といわれるかもしれない。 じつはこれで117回になるこのシリーズ、まだまだネタが切れる予定はないので、ご安心ください(ご容赦ください)。   僕にいわせれば、食事中にのむ水、これはけっこうポイントであると思っているわけで、今回はそれについて書きたかったのである。  … »ミスター世界の食文化紀行「みず」の続きを読む

るれ・え・しゃとー

Photo by Masakazu Sekine 今年の夏はモロッコに行った、というのは前回書いたのだが、じつはその行き帰りはフランスで数日間ずつ過ごしてきた。 数十回目のフランスだが、今回のメダマはシャンパーニュ地方のランスという街のホテル。ランス(Reims)は世界に名だたるシャンペンの中心地で、そこにある、Chateau Les Creyeresという … »ミスター世界の食文化紀行「るれ・え・しゃとー」の続きを読む

モロッコの風タジーヌ

今年の夏はモロッコに行ってきた。 モロッコは以前にも何度か訪れ、北から南まで旅をしたこともあるが、今回は古都マラケシュと、大西洋に面したリゾートのアガディール、そして西サハラの砂漠だった。 マラケシュの旧市街は、十数年まえに行ったときとまったく変わっていなかった。あいかわらずのすばらしい異国情緒である。   「マラケ・シュは迷路のマ・チ…」という松田聖子の歌 … »ミスター世界の食文化紀行「モロッコの風タジーヌ」の続きを読む

暑い日はフィリピン料理

この原稿を書いている7月の下旬、LAは毎日暑い。 暑いときにはなにを食べたらいいだろう。   僕のばあい、暑い日の、とくにランチには、フィリピン料理をよく食べにいく。 フィリピンは暑い国。暑い国の食べものは、ちゃんと暑いときにおいしく食べられるようにできているのだ。 暑い日にはスイス料理だのエスキモー料理だのを食べにいきたいとは思わない(エスキモー料理店はL … »ミスター世界の食文化紀行「暑い日はフィリピン料理」の続きを読む

オッソまで愛して

アメリカのレストランでは、メニューに「Osso Bucco」などと書いてあるところがよくあるが、「Ossobuco」が正しい。つまり、厳密には「オッソブッコ」ではなく、「オッソブーコ」。 Ossoとは骨のことである。 Bucoは穴。   レストランで、小さくて目立たない店のことを「Hole in the wall(壁の穴)」ということがあるが、「骨の穴」とは … »ミスター世界の食文化紀行「オッソまで愛して」の続きを読む

麻がキーワード、麻婆豆腐

日本人にとって、中華を代表する料理のひとつ、マーボドーフ。 アメリカのチャイニーズ・レストランに入ってメニューを開くと、わかったようなわからないような料理がズラッとならんでいるが、そのなかに麻婆豆腐をみつけると、ほっとしてこれを注文する読者も多いのではないだろうか。   ウェイターに「マーボドーフ!」とカタカナ風に言ってみても、ちゃんと通じてしまう、っていう … »ミスター世界の食文化紀行「麻がキーワード、麻婆豆腐」の続きを読む

パリに行ったらメニューを食べましょう

いま、パリに来ている。 毎年少なくとも一度は来るのだが、何度来てもこころをうたれるのは、その街並みだ。 それは、ほかの街のように、「美しい街並みがある」、などというなまやさしいものではなく、表通りも裏通りも、右を見ても左を見ても、ひとつ残らずの建物が、パリそのものが、美しいのである。   そしていうまでもなく、嗚呼、フランス料理。 素朴なものから伝統的な料理 … »ミスター世界の食文化紀行「パリに行ったらメニューを食べましょう」の続きを読む

恋のエチオピア料理

人気テレビ番組、『あいのり』。 なにを隠そう、僕も大ファンである。 いろいろな国の文化や習慣を体験しながら恋がうまれていく展開がじつにおもしろい。 この原稿を書いてる時点では、舞台はエチオピアだ。 エチオピアの食べものって、どんな味がするんだろう?  と思っている視聴者も多いだろう。 その答えはこうである。   まず、オカズ類はインド料理の香辛料を倹約したよ … »ミスター世界の食文化紀行「恋のエチオピア料理」の続きを読む

粉チーズ、パスタの味もこれ次第

所はイタリアン・レストラン。 あなたたちは、スパゲッティ・ミートソースとボンゴレを注文する。 料理が到着すると、すかさずウェイターが、「パルメザンをかけましょうか?」と聞いてくる。 さて、あなたたちはどう答えますか。   じつは僕が、むかしむかし、イタリアにまだ1度もいったことがないころ、日本のイタリアン・レストランでボンゴレをたのんで、ウェイターにパルメザ … »ミスター世界の食文化紀行「粉チーズ、パスタの味もこれ次第」の続きを読む

「ブリトー」はキモチ悪い

Burritoとはスペイン語でburro(ブーロ)、つまりロバ、転じてノロマということばの縮小形で、その小さいやつ、あるいはカワイイやつ、という意味だ。発音は「ブリート」である。   日本では、どういうわけか、これを「ブリトー」と、トーをのばす人が多い。僕はそれを聞くたびにゾクッとする。スペイン語では決してそんないいかたはしない。 どっちだっていいじゃないか … »ミスター世界の食文化紀行「「ブリトー」はキモチ悪い」の続きを読む

インドの野菜料理

インド料理とくれば、タンドリチキンにカレー、そしてナン、というのが日本人にとっての定番だ。 しかし今回は、ちょっと脇役的なインドの野菜料理について書こう。 脇役といっても、以前にこのコーナーでとりあげたように、インドにはベジタリアンが多く、そのひとたちにとってみれば当然野菜は主役である。   でも、インドでノンベジとよばれる非菜食主義者にとっても、チキンやラ … »ミスター世界の食文化紀行「インドの野菜料理」の続きを読む

ビールあれこれ

「ビール」とひとことでいっても、成分や製法によっていろいろな種類があるのは読者もご存じのとおりだが、その飲みかたにおいても負けず劣らずいろいろなものがあるのはご存じだろうか。   日本人の典型的な飲みかたは、ゴルフなど汗をかいたあとに、冷た~くひやしたビールを一気にゴクゴクと飲む。そして「ア~」とか「ンメ~」とか、ときには「サイコ~」とかなんとかいう奇声を発 … »ミスター世界の食文化紀行「ビールあれこれ」の続きを読む

タンメンは中国にはない?

このあいだ、ある日系ラーメン店でタンメンをすすっていたとき、ふとあることに気がついた。 タンメンって、中国にはないなあ。 いや、正確にいうと、ただ単に「タンメン」とよぶものはないのである。 スープ麺のことを「湯麺(タンメン)」というのだが、どういうスープ麺なのか、どんなグが入っているかという説明がかならずつく。 搾菜肉絲湯麺とか牛肉湯麺、蝦仁湯麺といったたぐ … »ミスター世界の食文化紀行「タンメンは中国にはない?」の続きを読む

ちょっとおかしいシャーベット

ちょっとおかしい日本やアメリカの食習慣、その第3弾である。 1弾目は食後にのむカプチーノ、2弾目には食事の始めのフレンチ・オニオン・スープときたので、今回は食事の途中にでるシャーベットについて。   みなさんも、結婚式の披露宴やホテルでの宴会などのハレの席に出たとき、コースディナーの途中にシャーベットが登場した経験のあるかたは多いだろう。 どうしてここでシャ … »ミスター世界の食文化紀行「ちょっとおかしいシャーベット」の続きを読む

オニオングラタンの素顔

フランスを代表する料理のひとつ、オニオン・グラタン・スープ。 フレンチレストランに行ったら、なにはともあれ、これから食事をスタートしたいですね。 …という人、いますか?   ちょっと待ってね。 たしかに、フランスに行くと、おいしいオニオン・グラタン・スープ(Soupe al’oignon Gratine)を食べることができる。 ほんのり甘いオニオ … »ミスター世界の食文化紀行「オニオングラタンの素顔」の続きを読む

ほんもののカプチーノ?

コーヒーに、しっかりあわ立てたミルクをたっぷり入れた、カプチーノ。 イタリア旅行の楽しみのひとつといってもいい飲みもので、そのなまえの由来をご存じのかたも多いだろう。そう、カプチン派の修道僧からきている。   カプチン派とは、16世紀にフランチェスコ会から分かれたカトリックの一派で、「cappuccio(イタリア語で頭巾)」をかぶる習慣からこう呼ばれる。その … »ミスター世界の食文化紀行「ほんもののカプチーノ?」の続きを読む

ハーカオ、シューマイ!

この冬、香港に行ってきた。返還後はじめてである。 がっかりだった。 10年くらいまえまでは毎年行っていたのだが、返還が近づいて物価がすごくあがったりしてから、足が遠のいてしまった。   以前は行くたびに感激した香港の味だが、今回ははたしてどう感じるだろう。この10年のあいだに、LA界隈のチャイニーズの味のレベルもますますあがった。 もう香港に行かなくても、L … »ミスター世界の食文化紀行「ハーカオ、シューマイ!」の続きを読む

わたしのキャベツちゃん

フォアグラだのトリュフだのといった高級食材もふくめて、いろいろな料理や食材をとりあげてきて、「とつぜんキャベツとはどうした?」と、言われそうだが、これがじつは僕にとってはとても重要なものなのである。   僕はこどもの頃からやたらキャベツが好きで、バター炒めのキャベツで自分の部屋の床から天井までを一杯にしてみたいといつも思っていたものだ。長じて、いまは毎週末、 … »ミスター世界の食文化紀行「わたしのキャベツちゃん」の続きを読む

いろいろあるネー、キムチ

つい何年かまえまでは、日本ではロクに知られてなかったものなのに、韓国ブームにのってあっというまに一般化してしまったキムチ。 漢字では「沈菜」。   韓国家庭におけるキムチの意味あいとか作りかたについてはよく雑誌にのっているから省くとして、当地の韓国系レストランで食べられるキムチについて書いてみよう。 まずは種類である。   いちばんよくあるのが白菜のペクキム … »ミスター世界の食文化紀行「いろいろあるネー、キムチ」の続きを読む

雑煮はどこから来た?

みなさんは今年も雑煮を食べただろうか。 日本では、全国どこでも、正月に雑煮を食べるという習慣があるのだが、その味は地方によってかわる。 大きく分けると、関東では醤油仕立て、関西では味噌仕立てだが、どんな味噌を使うかとか、具はなにを使うかというようなことが、地方によって細かくきまっている。   それはそれでおもしろいのだが、そもそもなぜ日本では正月に雑煮を食べ … »ミスター世界の食文化紀行「雑煮はどこから来た?」の続きを読む